産業動物臨床医学雑誌
Online ISSN : 2187-2805
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10 巻 , 5 号
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原著
  • 工藤 彩佳, 森山 咲, 鈴木 真一, 猪熊 壽
    原稿種別: 原著
    2019 年 10 巻 5 号 p. 217-221
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2020/06/02
    ジャーナル 認証あり

     ホルスタイン種の牛コレステロール代謝異常症(cholesterol deficiency:CD)は常染色体劣性遺伝性疾患のため,ヘテロ個体に症状は発現しないはずであるが,健常ヘテロ牛の血清コレステロール濃度は野生型に比べて低いと報告されている.本研究ではヘテロ個体の生産性を明らかにすることを目的として,健常ヘテロ個体の血清コレステロール濃度,乳生産および繁殖成績を調査した.臨床的に健常で生産に供される5 農場の乳牛718 頭のうち93 頭(14.9%)がヘテロであった.ヘテロ群の血清コレステロール濃度は野生型に比べて有意に低値であった.また,乳生産を評価できた2 農場のうち1 農場のヘテロ群では305 日補正乳量が野生型群に比較して有意に少なかった.他の1 農場でもヘテロ群の305 日補正乳量は野生型よりも低い傾向にあった.305 日補正した乳脂率,乳蛋白質率および無脂固形分率はヘテロ群で有意に高い,または高い傾向にあった.空胎日数および授精回数には両群で差はみられなかった.

  • 加藤 恵, 金本 淳也, 前田 洋佑, 髙橋 史昭, 鹿野 達也, 田邊 太志, 廣瀬 和彦, 渡辺 大作
    原稿種別: 原著
    2019 年 10 巻 5 号 p. 222-229
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2020/06/02
    ジャーナル 認証あり

     尿路感染症と診断された黒毛和種牛における原因菌とその薬剤感受性を調査した.2010〜2019 年までの9 年間に北里大学獣医学部附属動物病院において尿路感染症(UTI)と診断された30症例から分離された53 菌株を対象とした.単純性UTI 8 症例(雌6 頭,雄2 頭)から分離された16菌株の内訳は,Escherichia coli 25%,Trueperella pyogenes 19%,Staphylococcus spp. と Aerococcus viridans がともに13%,Proteus mirabilis 12%,およびCorynebacterium spp., Klebsiella pneumoniaeCellulomonas spp. がともに6% であった.尿石症を併発した複雑性UTI の22 症例(雄または去勢)から分離された37 菌株の内訳は,P. mirabilis 40%, E. coli 21%,Staphylococcus spp. 17%,A. viridansCorynebacterium spp. がともに 8%,および P. vulgarisKluyvera spp. がともに 3% であった.薬剤感受性試験から,アンピシリン(ABPC)とセファゾリン(CEZ) に対するグラム陽性菌の感受性率はStaphylococcus spp. を除き80 ~ 100%であったが,グラム陰性菌では ABPC に対して低感受性であった.また,エンロフロキサシン(ERFX)とマルボフロキサシン(MBFX)に対する P. mirabilisT. pyogenes および Corynebacterium spp. の感受性率は80% 以上を示したが,E. coli ではそれぞれ55%と72% であった.今回の研究から,単純性と複雑性UTI では原因菌が大きく異なり,国内で承認されている抗菌剤の中では,第一次選択薬として単純性 UTI では ABPC と CEZ が,複雑性 UTI ではCEZ が推奨された.E. coliP. mirabilis については第二次選択薬として MBFX がもっとも有効であることが示唆された.

症例報告
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