産業動物臨床医学雑誌
Online ISSN : 2187-2805
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2 巻, 4 号
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原著
  • 岡田 啓司, 小林 晴紀, 花田 直子, 平沼 宏子, 林 奈央, 嵐 泰弘, 千田 廉, 出口 善隆, 佐藤 繁
    2011 年 2 巻 4 号 p. 183-188
    発行日: 2011/12/30
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    挙肢を行わない簡便な蹄病診断法の確立を目的として,3軸加速度センサと跛行スコアを組み合わせて,牛の跛行の主な原因となっている蹄底潰瘍および白帯病の摘発を試みた.その結果,正常牛の歩様は外蹄から着地し内蹄で踏み切り,重心が左右にぶれない安定した歩様であるため,跛行スコアは1,加速度変量総和は3622±227m/s2で安定していた.蹄底潰瘍罹患牛は歩行時に罹患肢の内蹄と外蹄を同時に着地し,跛行スコアは2~3,加速度変量総和は7225±877m/s2であり,正常牛に比べて有意(p<0.01)な高値を示した.白帯病罹患牛の加速度変量総和は正常牛と同様の値を示したが,跛行スコアは3~4であった.よって加速度センサと跛行スコアを組み合わせることにより蹄底潰瘍と白帯病を摘発できる可能性が示唆された.
短報
  • 浜名 盛浩, 大塚 浩通, 及川 正明, 川村 清市
    2011 年 2 巻 4 号 p. 189-192
    発行日: 2011/12/30
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    負のエネルギーバランスに伴って血中β-ヒドロキシ酪酸(BHB)濃度が高くなる第四胃左方変位(LDA)牛について,アミノ酸代謝の特徴を臨床例から検討した.分娩後に発病したLDA牛24頭を対象にBHB濃度 に基づいてABHB群(BHB濃度1.2mmol/ℓ未満,10頭)とHBHB群(BHB濃度1.2mmol/ℓ以上,14頭)の2群に区分して,それぞれの血中遊離アミノ酸(FAA)濃度を比較した.その結果,HBHB群ではバリン,ロイシン,イソロイシンの有意な高値と,アラニン,セリンの有意な低値が観察された.これらの成績から,負のエネルギーバランスを伴ったLDA牛におけるFAA濃度の動態は,エネルギーの著しい不足に対応した体蛋白質の異化亢進に基づいた変化を表しているものと考えられた.
  • 稲沢 直生実, 山川 和宏, 石井 三都夫, 李 奇子, 室谷 直義, 池水 智博, 山田 一孝
    2011 年 2 巻 4 号 p. 193-196
    発行日: 2011/12/30
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ハタケシメジ抽出物がホルスタイン種哺乳子牛の成長および血液学的検査値に与える影響について検討した.試験群は,ハタケシメジ抽出物投与群(雌,n=5)と対照群(雌,n=5)とし,投与群には朝晩の哺乳時にハタケシメジ抽出物(160mg)3カプセルを投与した.試験期間は,出生から8週間とした.試験期間中,投与群と対照群との間で増体に差が認められず,投与群の血液学的および血清生化学検査値は対照群と同様の変化を示した.このことから,ハタケシメジ抽出物は,哺乳子牛の健康状態,増体および血液学的値に悪影響を及ぼさないと考えられた.
症例報告
  • 板垣 幸樹, 金 檀一, 佐々木 恒弥, デブコタ ブミナンド, 山岸 則夫
    2011 年 2 巻 4 号 p. 197-204
    発行日: 2011/12/30
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2006年1月から2010年12月までの5年間に,肢骨折の治療を受けた子牛ならびに育成牛25頭についての臨床記録を整理した.症例は黒毛和種19例,ホルスタイン種5例,日本短角種1例で,性別は雄が13例,雌が12例であった.月齢は0~13.0カ月(平均3.4カ月)で,12例(48%)が1カ月齢以内であった.体重は23~300kg (平均105.9kg)で,15例(60%)が100kg以内であった.骨折の種類は,上腕骨の骨幹骨折が3例,橈尺骨の成長板骨折が3例,中手骨の骨幹骨折が7例ならびに成長板骨折が4例,大腿骨頚部骨折が2例,脛骨の骨幹骨折が3例,中足骨の骨幹骨折が3例であった.橈尺骨および中手骨の成長板骨折におけるSalter-Harris分類は,タイプⅠが3例,タイプⅡが3例,タイプⅢが1例であった.また,中手骨,脛骨もしくは中足骨の骨幹骨折症例のうち4例は開放骨折であり,重症度を示すGustilo分類は,タイプⅠが2例,タイプⅢaが1例,タイプⅢbが1例であった.治療として,プラスチックキャストによるフルリムキャストの外固定(FLC)を橈尺骨折3例,中手骨骨折10例.脛骨骨折1例,中足骨骨折2例の計16例に行った.上腕骨骨折3例にはタイプⅠ創外固定を単独もしくは髄内ピン固定との併用で行った.開放骨折の4例中3例と脛骨骨折の1例には,貫通固定ピン(スタイマンピン)とFLCの併用による外固定(TPC)を行った.大腿骨頚部骨折2例では,予後不良のため治療を行わなかった.転帰はおおむね良好であり,大腿骨頚部骨折の症例を除き,23例中20例(87%)が治癒した.
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