法と心理
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17 巻 , 1 号
法と心理
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  • 稲葉 光行
    2017 年 17 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、足利事件、東電女性社員殺害事件、東住吉事件など、捜査過程や科学鑑定での誤りによっ て発生した冤罪事件について無罪判決が出されている。これらの事件では、本来合理的かつ中立的 であるべき科学鑑定が、心理・認知バイアスによって様々な形でゆがめられたことが冤罪を生み出 す要因の 1 つになったと考えられる。また、2016 年 4 月より、アメリカの冤罪被害救済団体であ る「イノセンス・プロジェクト」を参考に、その日本版として「えん罪救済センター」の活動が始動し た。本シンポジウムでは、日本版のイノセンス・プロジェクト「えん罪救済センター」に関わる研究 者、実務家による事例報告と議論によって、捜査過程や科学鑑定が心理・認知バイアスによってゆ がめられ、冤罪が生みだされる構造について検討を行った。
  • <特集> バイアスと冤罪─ 日本版イノセンス・プロジェクトの実践に向けて
    笹倉 香奈
    2017 年 17 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/02
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は「トンネル・ヴィジョン」に関する英米における議論を紹介することを目的とする。「トン ネル・ヴィジョン」とは、トンネルの中に入ったときのように視野が狭窄し認知の範囲が狭くなる 状態である。例えば捜査官はある被疑者に焦点を絞り、その被疑者の事件について有罪判決を得る ための証拠を選び出す。他方で、無罪方向を示す証拠を無視したり排除してしまったりする。有罪 への志向は証人や目撃者の取調べや識別手続、被疑者の取調べ、情報提供者への対応に影響を与え ることになる。この状況がトンネル・ヴィジョンであり、冤罪の原因となる。内在的な要因(認知 バイアス)だけではなく、外在的な要因(刑事司法制度を取り巻く様々な制度的な圧力)によって、 トンネル・ヴィジョンは強化される。捜査官のみならず、検察官、弁護人、裁判官など、全ての人 がある結論に固執し、トンネル・ヴィジョンに陥る。欧米では 2000 年代以降、刑事司法における トンネル・ヴィジョンや認知バイアスについての研究が進められてきた。トンネル・ヴィジョンに 陥り、冤罪を生まないようにするためにいかなる方策が必要かという点についての議論も紹介する。
  • <特集>バイアスと冤罪─日本版イノセンス・プロジェクトの実践に向けて
    遠山 大輔
    2017 年 17 巻 1 号 p. 8-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では京都府の「舞鶴高 1 女子殺害事件」における、防犯カメラ画像の鑑定の問題点について事 例報告を行なう。本件は N 氏が被害者をわいせつ目的で殴打して殺害したとされた事件であった ( 後に N 氏の無罪が確定した )。本件では、被害者と思われる人物と自転車を押す男性と思われる人 物が、遺体発見現場近くの防犯カメラに記録されていた。このカメラ画像の鑑定書が証拠のひとつ とされていた。鑑定書では、人物の服装や自転車、また耳たぶの酷似が根拠として挙げられ、N 氏 と防犯カメラに記録された人物が同一であると結論づけられていた。この鑑定書について、別の専 門家に意見を求めたところ、1 画素にどれだけ対象が記録されているかで画像の値打ちが決まり、 見えるか見えないかも決まるとのことであった。これにより、耳たぶの画像については 1 画素に 2.5 × 2.5 センチ程度しか記録されていないなど、提示された防犯カメラ画像では同一性について 論じることはできないという結論を得ることができた。鑑定は同一性判断の基準や表現について検 証可能な形で行われる必要があると感じている。
  • <特集> バイアスと冤罪─ 日本版イノセンス・プロジェクトの実践に向けて
    野平 康博
    2017 年 17 巻 1 号 p. 12-15
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では鹿児島県の「天文館強姦事件」における DNA 型鑑定と予断の問題について事例報告を行 なう。本件では第一審において被害者供述が信用できること、被害者の体内から精液が検出されて いること(その DNA 型については検出できなかったとのこと)、被告人の DNA 型が被害者の胸から検 出されたことが根拠となって、被告人が有罪であるとされた(控訴審では無罪判決が下され、確定した)。 第一審判決は、1「検出された精液の中に精子が存在したが、DNA 型は検出されなかった」という 科学捜査研究所の技官の証言を盲信していた。また2被害者が嘘をつくはずがないとして、検出さ れた精子は被告人のものであるという予断に至った。さらに3裁判所は被害者が敢えて嘘をつくは ずがないという予断から被害者供述を盲信し、供述心理学の知見が欠落していた。本件の結果から、 科捜研に鑑定を全面的に委ねることや、これを全面的に信用することには問題があるというべきで ある。DNA 型試料の採取者を医師に限定すること、再鑑定に備えて証拠を保存すること、証拠保 存から鑑定まですべての過程を可視化することなど、科捜研の DNA 型鑑定は抜本的な変革が必要 である。
  • <特集> バイアスと冤罪─ 日本版イノセンス・プロジェクトの実践に向けて
    木谷 明
    2017 年 17 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    裁判官としての実務経験から、刑事裁判でバイアスによって誤判が生まれる原因について検討す る。裁判官は検察官の提出する証拠を盲信する傾向がある。また「起訴便宜主義」によって、事実関 係に争いのある事件が起訴されることが少なくなることから、有罪推定の心証を抱いて裁判に臨み やすくなる。実感として、刑事裁判官には、A 型(「頑迷な迷信型」)、B 型(「優柔不断右顧左眄型」)、 C 型(「熟慮断行型」)がいると考えている。A 型の裁判官は、捜査に大きな信頼をおき、被告人の言 葉を信じないなど強い思い込みをもっている傾向がある。B 型の裁判官は、無罪かもしれないと 思っても周囲の意見に流されてしまいやすいという傾向がある。C 型の裁判官は、バイアスに比較 的かかりにくいが、やはり誤判と無縁というわけではない。また事件の性質でもバイアスに違いが ある。自白依存型事件では、詳細な自白を真犯人だと思い込みやすくなるし、間接事実依存型事件 では、「証拠上犯人らしくみえる」ことから被告人を真犯人だと思い込みやすくなる。以上のような バイアスを防止するには1虚偽自白生成過程への理解を深めること、2間接事実依存型事件では消 極的間接証拠について適切な評価を行なうこと、3取調べ可視化記録の影響について理解すること などの対策が必要であろう。
  • <特集> バイアスと冤罪─ 日本版イノセンス・プロジェクトの実践に向けて
    浜田 寿美男
    2017 年 17 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    刑事裁判の供述証拠にかかわるトンネル・ヴィジョン現象などのバイアスの問題について供述心 理学の観点から検討する。証拠判断の段階での視野狭窄によるトンネル・ヴィジョンだけでなく、 供述聴取の段階での捜査官の「犯人に違いない」というトンネル・ヴィジョンが供述をゆがめたり虚 偽の供述を引き出したりすることがある。これまで 40 年間、冤罪事件における供述心理学鑑定を 行なってきたが、有罪・無実方向の可能性をひとしく勘案しつつ作業を進め、そのかぎりでバイア スをできるだけ排除しようと努めている。刑事訴訟法には「事実の認定は、証拠による」と明記され ている。捜査においては最終的な認定がどうなるかを離れて、まずは白紙で種々の証拠を集め、そ こから事実の認定が行われるべきなのに、現実には予断を含む想定が先に働いて、それに左右され たかたちで証拠集めがなされることがある。また捜査官が被疑者や関係者から聴取するとき、当初 の想定に沿って質問をしたり、取捨選択したりすることもある。捜査は仮説検証であることを念頭 におきつつ、当初の想定に縛られず、常に検証の一過程にあることを忘れてはならない。実際、無 実の可能性を考慮しない執拗な取調べは虚偽自白を生みやすい。その意味で、バイアスをチェック し、防止するため、取調べの可視化が導入されたが、虚偽自白が「自発的に」なされているように映 像が記録されてしまうと、その任意性チェックは困難になる。むしろ可視化映像は「供述の起源」を チェックする上で有用なデータになりうる
  • 平岡 義博
    2017 年 17 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    科学捜査研究所の勤務経験から、科学鑑定と捜査本部の捜査に影響するバイアスについて考察し た。科学鑑定におけるバイアスとして、DNA 型鑑定のエレクトロフェログラムの閾値問題(閾値を 下げた場合、ピークとノイズを間違う可能性)、指紋鑑定における合致基準のグレーゾーンと「鑑定 可能」と「鑑定不能」のダブルスタンダード問題に言及した。いずれも捜査情報からのバイアスに影 響されやすく、結果として鑑定を誤る危険性が内在することを指摘した。 凶悪事件の捜査を担う捜査本部は、犯人検挙のため一丸となって組織力・行動力を発揮する体制 であるが、捜査情報や鑑識資料が希少なケースなどでは、犯人性を支持する情報が取捨選択されて 証拠固めされ、否定的情報が十分検討されない(被疑者検挙という目的しか見えない状態:捜査バ イアス)まま送致されることが、無罪判決や冤罪の遠因になっていると考えられる。こうしたバイ アスの危険性を認識し、これを最小限に抑える対策が必要である。
  • 質問応答が報告の正確性に及ぼす影響
    河南 佐和呼, 野呂 文行
    2017 年 17 巻 1 号 p. 32-46
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    出来事の証言や供述を求められることは、どのような子どもにおいても可能性はある。しかし、 障害のある子どもの証言研究は進んでいない。そこで本研究は、3 名の知的障害のある自閉スペク トラム症児に対して、自己動作の報告を求め、正確な報告の促進に質問者と質問応答を繰り返すこ とが影響を及ぼすか検討することを目的とした。本研究は一事例実験デザインで行われた。1 時間 の教育相談中に従事した 8 種類の活動 ( 各 4 種類の勉強および遊び ) に関して終了後に質問者が「何の 勉強 ( 遊び ) をしたの?」と尋ね、それに対して行われた報告の正確性、話題 ( 活動名 ) 数、文節数を それぞれ従属変数とした。介入として、各活動従事直後に聞き手が同様の質問を行い、参加児に活 動名を繰り返し言語化させた。介入の結果、従事した活動について正確に報告できるようになり、 報告可能な話題数も増加した。また介入手続きを撤去しても、3 名中 2 名の参加児において、正確 な報告が維持する様子が観察された。本研究より、知的障害のある自閉スペクトラム症児における 正確な報告成立の可能性と供述を求める際の課題が示唆された。
  • 法と心理学会第17 回大会ワークショップ
    羽渕 由子, 赤嶺 亜紀, 安田 裕子, 田中 晶子, 仲 真紀子
    2017 年 17 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 法と心理学会第17 回大会ワークショップ
    吉井 匡, 大久保 智生
    2017 年 17 巻 1 号 p. 55-61
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 法と心理学会第17 回大会ワークショップ
    外塚 果林, 山崎 優子, 高田 沙織, 福井 厚
    2017 年 17 巻 1 号 p. 62-69
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 荒川 歩, 滑田 明暢, 綿村 英一郎, 若林 宏輔, 笹倉 香奈, 福島 由衣
    2017 年 17 巻 1 号 p. 70-76
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 目撃者遂行型調査(Self-Administered Interview©:SAI©)の紹介
    松尾 加代, 三浦 大志
    2017 年 17 巻 1 号 p. 77-85
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    目撃者遂行型調査は目撃情報を質問紙形式で得る手法である。警察捜査における目撃者への事情 聴取は重要であるが、面接の実施には時間と人員が必要となる。時間の経過とともに記憶の汚染や 忘却が起こることが懸念されるが、記憶の想起を促進する教示と質問項目が記載されている目撃者 遂行型調査を用いることによって、同時に複数の目撃者に対して迅速に事情聴取を行うことが可能 になる。また目撃直後に目撃者遂行型調査による記憶の想起を行うことで、記憶の固着を可能にす る。Gabbert, Hope, & Fisher(2009)によって英語で開発された目撃者遂行型調査は、その後さま ざまな言語に翻訳され、その効果が世界各国で検討されている。さらにイギリスのグレーターマン チェスター警察では、大事件・大事故における捜査現場ですでに活用されている。本稿では、目撃 者遂行型調査の紹介を行った後、その効果が検討された研究のレビューを行う。そして、目撃者遂 行型調査の活用法について考察を行う。
  • 向井 智哉, 三枝 高大, 小塩 真司
    2017 年 17 巻 1 号 p. 86-94
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    理論犯罪学では“法律の感情化”と二分法的思考が厳罰傾向に影響を与えてきたという議論がなさ れている。本研究はその理論的議論を検証するため、質問紙法による調査を行い、二分法的思考、 社会的支配志向性、仮想的有能感、情報処理スタイルといった変数が厳罰傾向に及ぼす影響を明ら かにすることを試みた。その結果、検討に含めたすべての変数が有意であったが、その中でもとく に情報処理スタイルと二分法的思考が厳罰傾向の大きな予測因子であることが示された。この結果 は厳罰傾向にはある種の“非合理的”な要素が含まれており、刑罰に関する世論を理解しようとする のであれば、そのような要素を考慮に含める必要があることを示唆している。
  • 司法警察員と検視官の遺体情報の記述特徴
    入山 茂, 池間 愛梨, 桐生 正幸
    2017 年 17 巻 1 号 p. 95-101
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    縊死偽装事例では、自殺と関連しやすい情報が含まれることにより、確証バイアスが生じ、死因 の鑑別を誤る可能性がある。特に、検視官と比較して、法医学の専門的な訓練を受けていない司法 警察員における確証バイアスの影響は大きい可能性がある。本研究では、過去の縊死偽装事例の分 析を行うことにより、心理学の領域でほとんど検討されていない、縊死偽装事例に関わった司法警 察員における確証バイアスの影響について、研究の手掛りとなる知見を提供することを目的とした。 テキストマイニング手法を援用し、縊死偽装事例 1 例の検視に関わった元検視官、元法医学者、元 司法警察員の出版された記録から、遺体の部位や状況、遺体に付随する物品に関する単語および熟 語(以下、遺体情報)を抽出し、χ 2 検定および残差分析を行った。分析の結果、他殺と鑑別した元検 視官、元法医学者と比較して、自殺と鑑別した元司法警察員は、着眼する遺体情報の種類が少なく、 索状物、頸部圧迫、体重といった縊死と関連する遺体情報に着眼していた。
  • 赤嶺 亜紀
    2017 年 17 巻 1 号 p. 102-104
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 新岡 陽光
    2017 年 17 巻 1 号 p. 105-107
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 板山 昂
    2017 年 17 巻 1 号 p. 108-110
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 村山 綾
    2017 年 17 巻 1 号 p. 111-113
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 大杉 昭英
    2017 年 17 巻 1 号 p. 114-115
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 入山 茂
    2017 年 17 巻 1 号 p. 116-118
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
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