法と心理
Online ISSN : 2424-1148
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4 巻 , 1 号
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  • 一瀬 敬一郎
    原稿種別: 本文
    2005 年 4 巻 1 号 p. 1-23
    発行日: 2005年
    公開日: 2017/06/02
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    本シンポジウムは「広津和郎の松川裁判批判の今日的継承」をテーマに行われた。松川裁判の一審及び二審の裁判官は、事実認定を誤って死刑判決を含む有罪の判決を出した。半世紀後の現在でも裁判官たちは誤判を犯している。では裁判官はなぜ誤判を犯すのか。この問題についてパネリストの浜田寿美男会員は、「裁判官が分析する人の言葉は、供述者が『時の渦中』で体験したことを想起して述べたものである。裁判官は、事実認定において、自分の目の位置(パースペクティブ)を『時の渦中」にいた供述者の視点(パースペクティブ)に合わせて言葉を分析する必要がある。ところが裁判官は、この『時の渦中』から遊離したところに目の位置をすえて言葉を分析するために誤判が生み出されている。ここには個々の裁判官たちの資質や能力に還元できない、事実認定における構造的な問題点がはらまれている」と主張する。本シンポジウムの各パネリストは、広津和郎が書いた『松川裁判』を引用しながら、広津が証人や被告がおかれた具体的な状況や心理を重視してアリバイや自白を検討していることを指摘した。広津が行った松川裁判批判は供述分析の貴重な実践例であり、これに事実認定に関する法と心理学的研究が学ぶべきものは大きい。
  • 金 秉俊
    原稿種別: 本文
    2005 年 4 巻 1 号 p. 24-35
    発行日: 2005年
    公開日: 2017/06/02
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    本論文は、1992年韓国で発生した殺人事件を素材にする。K警察官が犯人として逮捕されてから虚偽の自白をし、第1審および第2審において有罪判決(懲役12年)を受けた。その後上告し、最高裁の判決が下る前に真犯人が捕まった。Kが無罪で釈放されるまでの過程を通し、彼の虚偽自白をめぐる関係者たちの構造と、虚偽自白が発生し、真実が明らかにされるまでの心理過程をフランスの精神分析家であるJacques Lacanの理論に従い、理解しようとしたものである。Lacanは主体($)と支配記標(S_1)、知識(S_2)、対象(a)の位置を中心に真理と関連した4つの談論を提示している。本論文では、K警察官の虚偽自白は、取調べ官たちの「主の語らい」と「科学の語らい」、被告人の「ヒステリ-の語らい」が結合して虚偽自白の壁を形成していると解釈した。そして、このような虚偽自白の壁を崩すための談論として、「分析家の語らい」の必要性とその条件および内容について述べた。
  • 藤田 政博
    原稿種別: 本文
    2005 年 4 巻 1 号 p. 36-46
    発行日: 2005年
    公開日: 2017/06/02
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    今般の司法制度改革において、市民と法曹がともに評議を行う「裁判員制度」が刑事の重大事件について導入されることが決定された。裁判員制度では、原則として裁判官3人、裁判員6人の評議体で評議されるが、公判前整理手続において、検察官、被告人及び弁護人に異議のないことが裁判所によって確認された場合、裁判所の決定により、裁判官1人、裁判員4人という異なる人数構成の評議体によって評議が行われる。市民と法曹がともに協働して評議に当たることが期待されるこの制度にあって、法曹が市民参加者をどのように認知して評価するかは、協働の達成の上で重要であると思われる。そこで、本研究では、模擬裁判を見た上で、実際に市民との評議を経験した法曹を対象に質問紙調査を行い、その結果をもとに、法曹の市民に対する評価がどのような点で異なるかについて報告し、上記の人数比のほか、影響していると思われる要因について考察する。
  • 山崎 優子, 伊東 裕司
    原稿種別: 本文
    2005 年 4 巻 1 号 p. 47-59
    発行日: 2005年
    公開日: 2017/06/02
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    本研究の目的は、仮想的に裁判員の立場から被告人を裁くことを求められた場合、参加者は証拠不採用となった被告人の自白の供述書を無視することができるか、また採用証拠をストーリ一モデルにもとついて評価するかについて確かめることにある。実験1は社会人、実験2は学生を対象に行ったが、いずれも参加者に架空の殺人事件の公判シナリオを示し、自白の存在が示された後に証拠採用となるA(採用)条件、証拠不採用となるI(不採用)条件、自白の存在が示されないC(統制)条件の3条件に分けた。A条件、I条件の参加者には自白が得られた状況についての警察官、被告人の主張を聞いた後に「自白が被告人の任意になされたか否か」について個別に判断を求めたが、この参加者自身の下した「任意性判断」とは独立に、自白の採用、不採用を条件別に公判シナリオで示した。その結果、有罪判断率(有罪判断を下した参加者の割合)は実験1、実験2ともに不採用証拠の影響を受けておらず、合理的な判断を下しているようにみられた。また社会人、学生ともにストーリーモデルにほぼ合致した判断傾向、学生の方がシナリオの内容を正確に記憶している傾向がみられた。
  • 杉森 伸吉, 門池 宏之, 大村 彰道
    原稿種別: 本文
    2005 年 4 巻 1 号 p. 60-70
    発行日: 2005年
    公開日: 2017/06/02
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    本研究では、裁判員制度での集団意思決定過程において、裁判官の有罪意見が裁判員の判断に及ぼす正当性勢力の影響(裁判官の意見というだけで、内容を吟味せず同調する影響)について、参加者の認知的負荷量を事件資料の長さなどを操作し検証した。具体的には、「疑わしきは被告人の利益に」の推定無罪原則からは必ずしも有罪と断定できない事件の資料を参加者が読み、被告人が犯罪を行ったか、有罪かなどの事前判断を個別に行ったのち、3人集団で討議した。実験群では討議中に裁判官の意見を「裁判官の意見」または「他の参加者の意見」(認知的低負荷条件のみ)として読み(統制群は見ず)、討議後同じ質問について再び個別に判断した。その結果、(1)事件資料が長く難解な場合(認知的高負荷条件)、参加者の多くが、裁判官の有罪意見を読んで有罪判断に傾いた。しかし、(2)事件資料が短く理解が容易な場合(認知的低負荷条件)、参加者は裁判官の有罪意見を読んでも有罪判断に傾かなかった(ただし無罪判断の確信度は下がっていた)。また、(3)一般市民が「疑わしきは罰せず」の原則を個人や集団で実践できるか検討した結果、有罪意見を読んだ参加者に、むしろ「疑わしいならば罰する」という判断傾向が現れた。以上の結果から、裁判員制度において、事件内容が難解で、法律家が難解な専門用語を用いて裁判を進めた場合は直接的に、また裁判が短く理解も容易な場合でも間接的に、裁判官が一般市民の意見を誘導できる可能性を否定できなかった。裁判員制度での制度設計では市民の一般的文章理解能力を十分考慮することがきわめて重要であることが示唆された。
  • 伊田 政司, 谷田部 友香
    原稿種別: 本文
    2005 年 4 巻 1 号 p. 71-80
    発行日: 2005年
    公開日: 2017/06/02
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    法的判決と一般の人々が行う主観的な「判決」はくいちがうことがある。この差はどの程度のものなのだろうか。大学生を調査対象として調査を行った。新聞報道された20の刑事事件裁判を選択し、それらの要約を示し、適切と思われる主観的判決を求めた。主観的判決は判決を知らされていない条件では平均して5.3年、判決を知らされた条件では3.6年それぞれ重い刑を科していた。また、犯罪の特徴を評価する質問への評定平均値より事例間の類似度を求め、多次元尺度構成法によって犯罪イメージの二次元空間表現を求めたところ、第1次元は「犯罪のひどさ-同情の余地」、第2次元は「意図的-偶発的」と解釈することのできる布置が得られた。
  • 森 直久
    原稿種別: 本文
    2005 年 4 巻 1 号 p. 81-91
    発行日: 2005年
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル オープンアクセス
    被疑者に対する不当な取り調べの抑止のため、取り調べ状況の可視化の必要性が叫ばれている。しかし取り調べ状況の可視化、少なくとも対話体資料の作成と開示は、被疑者だけでなく、すべての供述者についてなされるべきであろう。本論文は、実際の刑事事件を題材に、供述心理学の立場からこの問題を考察した。わいせつ事件の被害者とされている女子学生の供述調書に加え、彼女が二人の教師との間で繰り広げた、捜査初期の会話テープが分析された。このテープには、後の捜査で明らかとなるわいせつ行為の大要が含まれていた。しかし、それらはしばしば、教師の度重なる同一質問や促しの結果語られていた。また後の捜査で登場する事項が否定的に語られたり、このテープ以外ではほとんど登場しない事項が語られていたりした。被害者の供述が、このようなコミュニケーションによって整形されていったとすれば、その信用性は低いと言わざるを得ない。他方これが例外的な事態であることが判明すれば、供述の信用性と取り調べの適切さが認められたであろう。取り調べ状況の可視化がなされていたら、どちらの事態が発生していたのかを判断することも、被害者の供述が信用できるか判断することも容易であったであろう。
  • 脇中 洋
    原稿種別: 本文
    2005 年 4 巻 1 号 p. 92-106
    発行日: 2005年
    公開日: 2017/06/02
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    本論文では公判証言の変容を評価する一つの試みとして、証言の形式的特徴を数値化して分析した。分析に用いた主な指標は、トピックごとの平均応答文字数、情報付加の有無、トピック間のシフト、他の出典に依拠しているなどの応答内容の特徴、言い回しの特徴、沈黙や言いよどみである。本件ではトピックによって平均応答文字数が大きく異なり、証人は自我関与の高いトピックでは多くを語るという特性を持っていた。ところが犯行の筋書きに直接関わるトピックでは否認しているのにも関わらず終始多くを語っていなかった。また沈黙や言いよどみを、情報付加の有無と組み合わせて検討したところ、言いよどみながら情報付加がされない証言が、犯行を一部認める証言をする時期に目立ち、体験を積極的に語っていないことが示唆された。一方犯行に対する否認の度合いが増した時期には、情報が付加された証言やトピック間のシフトが増し、応答特徴や言い回しの特徴からも、積極的に証言していることが見出された。それにも関わらず犯行の筋書きについて多くを語らなかったということは、証人が犯行そのものに関与していないことを示唆していると思われる。これら証言特徴を数量的に分析する試みを通じて、証言態度の変容について一定の実証がなされた。
  • 伊東 裕司, 佐山 玲子
    原稿種別: 本文
    2005 年 4 巻 1 号 p. 107-116
    発行日: 2005年
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル オープンアクセス
    衝撃的な出来事が喚起した情動的ストレスは、出来事の中心的な情報の記憶を促進し、周辺的な情報の記憶を妨害することがいくつかの先行研究により示されている。本研究では、この情動的ストレスの記憶への効果に影響を与える中心性が、空間的中心性であるのか内容的中心性であるのかについて実験的な検討を加えることを目的とする。実験の参加者は、情動的ストレスを喚起すると期待される出来事か、そのようなことのない中性的な出来事のいずれかを描いた一連のスライドを観察し、その後、出来事に関する質問に答えたが、質問項目は空間的中心性、内容的中心性が直交するように分類されていた。再生テスト、再認テストの結果は、いずれも情動的ストレスが内容的に中心的な情報の記憶を促進し、内容的に周辺的な情報の記憶を妨害するが、空間的な中心性は情動的ストレスの記憶への効果の方向や大きさに影響しないことを示した。
  • 丸山 昌一, 西 真理子, 厳島 行雄
    原稿種別: 本文
    2005 年 4 巻 1 号 p. 117-127
    発行日: 2005年
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル オープンアクセス
    本報告では、事後情報が提示される媒体の違いが目撃者の記憶に及ぼす影響について検討した。参加者は、16枚からなるオリジナルスライドを提示された後に、事後情報として他の参加者による感想をVTRによる音声付き動画、または同一の内容を逐語化し紙面に印字したものによって提示された。ターゲット刺激3点の再認成績について各個に検討を行った結果、刺激項目の種類によっては、「ビデオ」による事後情報の提示が「紙面」による提示よりも強い誤情報効果をもたらすことが示唆された。これは「テレビなどによる視覚情報の方が事後情報として強い影響力を持つ」という仮説を支持する傾向ではあるが、本実験において用いたビデオ刺激が映像的に派手な演出を抑えたものであったことからも、紙面提示条件の誤情報検出力が上がったことによる影響も考えられた。このことは、参加者が個々のぺースで事後情報に触れることができたことによって、差異検出原理(Principle of Discrepancy Detection)が働いたものであると解釈することができる。なお提示モードにかかわらず事後情報効果を受けやすかった対象は、ある種の文脈における特定の動作を描写した項目であり、スクリプトの影響がその理由として考えられた。
  • 齋藤 哲, 三上 邦彦, 花田 里欧子, 鈴木 俊博, 村松 敦子
    原稿種別: 本文
    2005 年 4 巻 1 号 p. 128-130
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/01/08
    ジャーナル オープンアクセス
  • 平 伸二
    原稿種別: 本文
    2005 年 4 巻 1 号 p. 131-133
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/01/08
    ジャーナル オープンアクセス
  • 田村 直子
    原稿種別: 本文
    2005 年 4 巻 1 号 p. 134-135
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/01/08
    ジャーナル オープンアクセス
  • 荒木 伸怡
    原稿種別: 本文
    2005 年 4 巻 1 号 p. 136-137
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/01/08
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    2005 年 4 巻 1 号 p. 138-152
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/01/08
    ジャーナル オープンアクセス
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