法と心理
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最新号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 中村 正
    2020 年 18 巻 p. 1-2
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    In September 2017, we invited Prof. David Wexler in Tokyo to hold the symposium on Therapeutic Jurispru- dence, who is the pioneer in this area of study. We tried to build on the Japanese system of therapeutic jus- tice. We discussed ways to create therapies for new offenders. After some consideration of the program and therapy for domestic violence, child abuse, drug addiction, and theft by people with intellectual disabilities, we examined the potential and direction for creating a new way to study interpersonal violence in family and criminal behavior by combining therapeutic justice with restorative justice and clinical work in the context of recovery. In this symposium, we would like to develop this method under the title of “From Punish- ment-based intervention to Harm-Reduction-based treatment.”
  • ─事例報告を中心に
    山田 恵太
    2020 年 18 巻 p. 3-5
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、障害のある人、特に知的障害、発達障害、精神障害等のある人が、刑事手続における被疑 者・被告人になっている事案について、注目が集まっている。刑務所に障害のある人や高齢の人が 多くいるという問題が明らかとなったことを発端として、そのような人たちを刑事裁判の段階から 支える「入口支援」にも目が向けられているのである。そして、その 1 つとして、弁護士と社会福祉 士等のソーシャルワーカーが連携し、ソーシャルワーカーに「更生支援計画」と呼ばれる支援計画を 作成してもらった上で、これを捜査や公判の場面で被疑者・被告人に有利な証拠として扱う活動が 行われている。本報告では、このような更生支援計画を作成する活動の紹介に加え、実際に更生支 援計画を作成してもらい、公判において立証し、これが量刑上有利に斟酌された事例について報告 した。あわせて、福祉的支援を考える上で、身体拘束中の被疑者被告人に対する意思決定支援のあ り方の問題が存在することなど、今後の課題についても報告した。
  • ケアとジャスティスの統合をとおした問題解決のための理論・実践・制度
    中村 正
    2020 年 18 巻 p. 6-13
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    生活することに特別なニーズや課題を抱えたひとたちがいる。なんらかの障害、老いに伴うまま ならない事態、病気による諸困難、多数の人とは異なる特性をもつ人たち等は生きづらさに直面し やすい脆弱性をもつ。このなかからさらに問題行動、逸脱行動、触法行動へと至ることもある。筆 者は、司法の理念である正義の実現(ジャスティス)はこうした要支援ニーズをもつひとたちに対し て回復ややり直し(ケア)を接ぎ木するべきであると考え、そのための臨床を DV と虐待の加害者に 試みている。その考えをさしあたり「治療的司法」と呼ぶことにして、社会はそのための機会と資源 を開発、提供すべきであるということを検討したい。さらに法は家庭に入らずということで親密な 関係性における暴力は長く放置されてきた。保護命令や接近禁止命令の一環として多様な行動変容 の機会を提供すべきであることもこの視野に入れておきたい。被害者のケアと加害者の更生の統合、 自己流の問題解決行動としての嗜癖的な行動を解決する司法が求められている。
  • 日本における更生支援型刑事司法を考える
    指宿 信
    2020 年 18 巻 p. 14-20
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、犯罪者の再犯防止に向けて刑罰効果よりも抱えている問題を解決することによって目的 を達成しようとする新しい司法哲学である「治療法学(therapeutic jurisprudence)」の理念の成り立ち から、この理念に基づいた司法のあり方を示す「治療的司法」概念を説明、その上に構築される具体 的制度である「問題解決型裁判所」を説明するとともに、米国を中心に世界に広がる様々な裁判所~ ドラッグ・コート、DV コートなど~の機能を紹介する。そしてわが国において再犯防止に取り組 む近年の刑事司法アクターの動きを紹介し、政府レベルや学術の世界で治療的司法と通底する多様 な動きが出てきたことに触れ、再犯防止、刑務所再入率を低下させるためには現状の施策では不十 分であることを指摘し、起訴猶予制度や出所後の支援といった現行制度を前提にした取り組みから、 問題解決型裁判所の導入によって刑事司法過程そのものを再犯防止に向けた形に変革するよう改革 することを説く。
  • 国際比較と地域での回復支援の観点から
    水藤 昌彦
    2020 年 18 巻 p. 21-28
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、シンポジウム報告を受けて、日本における「治療的司法・正義」に関わる実践、特に司法 と支援の連携についての課題の一端を提起することを試みたものである。オーストラリアにおける 司法と支援の連携の現状との比較として、(1)更生支援と問題解決型裁判所、(2)強制的介入にあたっ ての権利擁護、(3)矯正保護の分野における障がい者政策、(4)専門領域の形成と専門職養成、(5)社会 状況との関係、について概観し、今後の実践にとって参考にできると思われる点を示した。また、 地域における回復支援に関わる支援機関の課題として、目的整理、支援機関による犯罪行為者への 支援経験の少なさと罪名によるラベリング、支援機関の権力性、利用可能な社会資源の各問題を指 摘した。今後、社会安全のための統制や監視の手段として支援機関が利用されることなく、支援者 としての役割を適切に果たしながら連携を推進していくためには、シンポジウムで提起した「治療 的司法・正義の実践が、専門職支配による新たな社会統制の仕組みとならないためには何が求めら れるのか」という点に加えて、ここに示した事項を含めた、広範な課題について更なる議論を重ね ていくことが必要である。
  • 臨床心理の視点から見た治療的司法
    毛利 真弓
    2020 年 18 巻 p. 29-33
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では、「治療的司法・正義」を実践するために重要な要素の一つである、「治療的な関係性」に ついて、以下の 3 つの点から論じた。1専門家がパワーを乱用せず、また犯罪者もパワーを持って いることを自覚した「治療的矯正関係」を意識することが必要であること、2ノルウェーの実践から 学べるように、実践者と犯罪者が本当の意味で「対話」し、人間同士として出会うことの重要性、3 筆者が実施した日本の刑務所出所者へのインタビュー調査からは、受刑者が人として尊重されるこ とが肝要であることが理解できること、の 3 点である。治療的司法を実践するための法的整備等と 同時に、実践家が役割や一定のパワーを行使しつつも、犯罪者と「人と人として」出会う場と時間を どう作り維持するか、それをどう研修していくかも考慮すべきことであると考えた。
  • 司法臨床の展開(第五報)
    廣井 亮一, 篠崎 真佐子, 小池 安彦, 西田 勝志
    2020 年 18 巻 p. 34-40
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
  • 外国人を対象とした司法面接の取り組み
    羽渕 由子, 赤嶺 亜紀, ヤコブ E・マルシャレンコ, 上宮 愛, 井上 智義, 水野 真木子
    2020 年 18 巻 p. 41-48
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
  • 刑事法と心理学との協働の可能性
    竹田 収, 須藤 明, 武内 謙治
    2020 年 18 巻 p. 49-55
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
  • 外国人被告人の心理査定
    赤嶺 亜紀, 田中 周子, 田中 晶子, 柴田 勝之, 尾崎 友里加, 仲 真紀子
    2020 年 18 巻 p. 56-62
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
  • 研究と教育のアプローチの可能性について
    山田 早紀, 山崎 優子, 相澤 育郎, 金 成恩, 二宮 周平, 花本 広志
    2020 年 18 巻 p. 63-69
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
  • 日本独自の二画面同時提示方式と撮影焦点の観点から
    中田 友貴, 若林 宏輔, サトウ タツヤ
    2020 年 18 巻 p. 70-85
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    これまでの研究から取調べ録画の際の撮影焦点によって、録画映像を提示した際の自白の任意性 判断が異なる camera perspective bias が示されてきた。さらに日本の取調べ録画映像は同時に 2 つの映像を提示する特殊な方式であるにもかかわらず、この方式による影響を検討した研究はあま り存在せず、多様な研究を行うことが急務となっている。本研究では 2 つの実験を行い、取調べに おける被告人の供述についての任意性判断について、裁判員が評価する際に(1)撮影焦点による差が 生じるのか、(2)単一映像提示と日本方式に差が生じるのか、という 2 点を検討した。実験 1 では画 面大の撮影焦点と提示方法を操作し、55 名を対象に実験を実施した。その結果、撮影焦点と提示 方法のどちらも自白の任意性判断に影響することが示された。さらに実験 2 では、実験 1 での日本 方式で印象評定に与えた要因を、日本方式での画面小に異なる映像を提示することで検討した。34 名に実施した結果、現在日本で採用されている俯瞰視フォーカスにおいてもっとも自白が自発的に なされていると判断されることが示された。2 つの研究から、現在採用されている日本方式は、公 正な裁判の実現を目指すならば避けるべき形式であると示唆された。
  • 向井 智哉, 藤野 京子
    2020 年 18 巻 p. 86-98
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は、刑事司法に対する態度を測定する尺度を作成することである。刑事司法に対す る態度についての研究は、厳罰化を中心として、1970 年代以降幅広く調査・研究されている。し かしその一方で、用いられる尺度が研究ごとに異なるため、相互の比較が困難になっているという 問題点が指摘されてきた。そこで本研究では、刑事司法に対する態度を正確に測定する尺度を作成 し今後の研究に資することを目指して質問紙調査を行った。具体的には、法学や社会学において行 われてきた犯罪化に関する議論を参照し、刑事司法に対する態度に含まれると考えられる 6 つの要 素を抽出した。その後、質問紙による調査を行い、因子構造と信頼性を確認し、ならびに基準関連 妥当性の観点から妥当性の検討を行った。その結果、「処罰の厳罰化」「処罰の早期拡大化」「治療 の推進化」「治療の早期拡大化」の 4 因子からなる尺度が作成され、一定の信頼性・妥当性を持つこ とが示された。
  • 事件の発生時期に着目して
    谷口 友梨, 池上 知子
    2020 年 18 巻 p. 99-116
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    Trope & Liberman(2010)が提起した解釈レベル理論(Construal level theory)では、対象に対し て知覚した心理的距離が遠いほど中心的特徴(e.g., 行為者の特性)の観点から、近いほど対象の周辺 的特徴(e.g., 行為の生起状況)の観点から対象が表象され、また、この現象は潜在レベルと顕在レベ ルの処理両方に影響すると主張されている。そこで、本研究では 2 つの実験を実施し、事件に対す る心理的距離が被告人に対する量刑判断にどのように影響するのかを検討した。参加者にある殺人 事件について数十年前または数か月前に発生したと伝えて概要を呈示し、事件に対する潜在および 顕在レベルの推論を測定した。その結果、事件の発生時期が遠い過去であるほど、顕在レベルにお いて事件の発生原因が被告人自身に帰属されやすく、被告人に対する同情の感情が抑制され、量刑 判断が厳しくなることが示された(実験 1)。加えて、事件の発生時期の影響は潜在レベルの推論に も作用しており、事件に対する心理的距離が近いほど、被告人の置かれた状況に関する自発的推論 が生じやすくなることが示された(実験 2)。事件の発生時期によって事件に対する解釈の仕方が変 化し、それによって被告人に対する非難の程度が規定されることについて司法判断の公正性の観点 から議論された。
  • 傷害致死罪に問われた被告人Aの心理学的鑑定
    大倉 得史, 脇中 洋, 井上 雅人, 久岡 英樹
    2020 年 18 巻 p. 117-122
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    同居していた 3 名のうち 1 名が死亡した事件で、傷害致死罪に問われた被告人 A の心理鑑定を 行った事例について、鑑定人、弁護人それぞれの立場から報告した。当初 A は、3 人の共同生活に はルールを破った者が「けじめ」として暴行を受けることを申し出るという習慣があり、死亡した被 害者 C は自ら A や B に対して暴行を依頼し、死亡にまで至ったというストーリーを語っていた。 しかし、鑑定人や弁護人が面会を重ねる中で、実は相被告人 B が心理的に A や C を支配するとと もに、両名に対して激しい虐待を加えていたことを告白するようになった。鑑定人は、A が B によ る支配を受け入れやすいパーソナリティを有していたこと、A の供述変遷が B に罪をなすりつけよ うとするものではないことなどを心理学的に解明した。これにより、A の心理状態に不可解さを感 じていた弁護人の疑問も解消され、説得的な弁論を組み立てることができた結果、A が B の支配下 にあった事情を一定考慮した判決が下された。その一方で、被支配者の「強いられた自発性」につい ては、法心理学分野でのさらなる議論が必要であることが示唆された。
  • 向井 智哉, 西川 開
    2020 年 18 巻 p. 123-128
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    著作権をめぐる議論においては、近年の著作権法改正では著作権者の権利を保護するという側面 が目立つようになり、一般市民の著作権に関する意識が無視されがちであることが指摘されてきた。 このような現状においては、一般市民の著作権に関する意識を把握し、そのような著作権法の現状 が一般市民の意識と適合的であるかを検討することが有益であると考えられる。そこで本研究は、 著作権侵害の取り締まりへの支持を規定する要因を探索することを目的として、シナリオ法による 実験を行った。具体的には、先行研究を参考にし、取り締まりへの支持と、主観的・客観的な重大 性、再犯可能性、発生可能性の間の関連を検討した。その結果、(a)著作権侵害に対する取り締ま りへの支持と関連を示すのは主観的重大性、主観的再犯可能性であること、(b)客観的性質と比べ て、主観的評価は取り締まりへの支持をよりよく予測することが明らかにされた。
  • 渡辺 由希
    2020 年 18 巻 p. 129-131
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
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