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法と心理
Online ISSN : 2424-1148
Print ISSN : 1346-8669
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シンポジウムの企画趣旨と法的意思決定に関する認知バイアス研究の方向性
特集 裁判官の意思決定と認知バイアス
藤田 政博
2025 年25 巻1 号 p. 1-8
発行日: 2025年
公開日: 2026/06/15
DOI
https://doi.org/10.20792/jjlawpsychology.25.1_1
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本シンポジウム「裁判官の意思決定と認知バイアス」では、人間であれば誰もが持つ認知の偏りが裁判官の判断にどのように影響するかを検討し、予断を防ぐための実践的対策を探った。西愛礼氏は刑事訴訟法における「予断」の概念とその防止策を論じ、認知心理学的視点から誤判のメカニズムを分析した。藤田は認知バイアス研究の歴史を概観し、裁判官が確証バイアスやキャリーオーバー効果の影響を受けるリスクを指摘した。佐野剛史氏・金塚彩乃氏は東京五輪贈収賄事件を題材に、同一裁判官が関連事件を担当することの問題点を考察し、忌避制度の課題を指摘した。村山浩昭氏は元裁判官の視点から、裁判官が予断を抱くメカニズムと実務上の対応を論じた。全体を通じて、法的意思決定におけるバイアスを認識し、適切な対策を講じる重要性が確認された。
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(385K)
東京五輪贈収賄事件において同一の裁判官が関連事件を担当することの是非
特集 裁判官の意思決定と認知バイアス
佐野 剛史, 金塚 彩乃
2025 年25 巻1 号 p. 9-16
発行日: 2025年
公開日: 2026/06/15
DOI
https://doi.org/10.20792/jjlawpsychology.25.1_9
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刑事訴訟法は、裁判官が関連事件を担当することを否定していないが、公平性に疑義が生じる場合に備え、当事者が裁判官を変更を申し出る制度――忌避制度――を置いている。もっとも、実務的には訴訟遅延防止を理由に、忌避申立てが簡易却下されるケースが多い。東京五輪贈収賄事件では、複数の事件、多数の共犯者がおり、先行する関連事件で有罪判決を下した裁判官が後続する無罪主張の事件を担当している。この運用のもとで、公平な裁判は実現できるのだろうか。刑事司法制度はこの運用を許容し、有罪無罪を判断する裁判官は「私は予断なく判断できる」と考えているが、果たしてそうだろうか。訓練を受けた裁判官であっても、過去に形成した心証を完全に排除した状態で新たな事実認定を行うことは困難ではないだろうか。私たちは、東京五輪贈収賄事件において、こうした問題意識を踏まえて忌避申立てを行った。本稿では、この忌避申立ての経過を題材に、心理学という科学的手法を用いて、現代の刑事司法制度を再検討すべきであることを述べた。
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(412K)
裁判官から見た予断
特集 裁判官の意思決定と認知バイアス
村山 浩昭
2025 年25 巻1 号 p. 17-23
発行日: 2025年
公開日: 2026/06/15
DOI
https://doi.org/10.20792/jjlawpsychology.25.1_17
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裁判官は事件審理前に一定の結論を持つ「予断」を避ける義務があるが、人間である以上、完全に排除することは難しい。本稿では刑事事件における除斥・忌避制度を裁判官の立場から分析し、特に共犯事件を担当した裁判官の公平性について議論する。裁判官は、被告人ごとに証拠関係を厳格に区別することによって予断排除に努めており、最高裁も共犯事件を担当した裁判官が忌避対象とはならないと解釈している。しかし、実際には共犯事件の情報を完全に排除できないため、一定の予断を抱く可能性は否定できない。また科学的証拠の過信や「秘密の暴露」を過大評価するなど、裁判官の認知バイアスが誤判の原因になる可能性もある。裁判官自身が予断やバイアスを認識し、理学的知見を事実認定に積極的に活用する必要性について指摘する。
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(378K)
裁判官における予断のメカニズム
特集 裁判官の意思決定と認知バイアス
西 愛礼
2025 年25 巻1 号 p. 24-29
発行日: 2025年
公開日: 2026/06/15
DOI
https://doi.org/10.20792/jjlawpsychology.25.1_24
ジャーナル
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「予断」は裁判官内においても危険視されてきたものの、渦中の裁判官にとってそれを自覚することが困難であることから、実際に誤判が生じた後の後付けの誤判原因として批判されるにとどまっていた。予断による誤判のメカニズムを考えると、①証拠外情報のインプット、②証拠外情報に沿う心証(予断)の形成、③公判審理における予断に沿う情報のさらなるインプット、④予断の増強、⑤予断に気づかぬまま最終判断、と定式化できる。そして、①につき初頭効果、②につきヒューリスティックス、③につき確証バイアス、④につき認知的一貫性と認知的不協和、結論バイアスや動機づけられた推論、⑤につき知識の呪縛やソースモニタリングの失敗、というように各過程に心理学的作用が働いている可能性がある。このように予断を心理学的に分析することで裁判官を人間として捉え直し、誤判冤罪の予防に役立てるべきである。
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(367K)
外国語通訳を介する子どもの司法面接の課題と対応
法と心理学会第25回大会 ワークショップ
赤嶺 亜紀, 田中 晶子, 水野 真木子, 上宮 愛, 羽渕 由子, 仲 真紀子
2025 年25 巻1 号 p. 30-37
発行日: 2025年
公開日: 2026/06/15
DOI
https://doi.org/10.20792/jjlawpsychology.25.1_30
ジャーナル
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(393K)
裁判官は自白について何をどのように判断しているのか―心理学的供分析で検討されている点との比較のために
法と心理学会第25回大会 ワークショップ
村山 満明, 中川 孝博, 石塚 章夫, 門野 博, 徳永 光
2025 年25 巻1 号 p. 38-45
発行日: 2025年
公開日: 2026/06/15
DOI
https://doi.org/10.20792/jjlawpsychology.25.1_38
ジャーナル
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(401K)
NICHD プロトコル Revised 版―国内における研究動向と今後の展望
法と心理学会第25回大会 ワークショップ
田中 晶子, 羽渕 由子, 仲 真紀子, 田中 周子, 奥野 雄一郎, 趙 儀珊
2025 年25 巻1 号 p. 46-53
発行日: 2025年
公開日: 2026/06/15
DOI
https://doi.org/10.20792/jjlawpsychology.25.1_46
ジャーナル
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(374K)
市民は児童相談所と虐待をどのように捉えているか
質問紙調査に基づく検討
向井 智哉, 岩谷 舟真, 貞村 真宏, 田中 晶子, 松木 祐馬, 湯山 祥, 井奥 智大, 綿村 英一郎
2025 年25 巻1 号 p. 54-67
発行日: 2025年
公開日: 2026/06/15
DOI
https://doi.org/10.20792/jjlawpsychology.25.1_54
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児童相談所の円滑な機能と児童虐待の効果的な防止のためには、市民の理解を確保することが必要不可欠である。しかし、児童相談所に対して一般市民がどのように考えているかを検討した実証研究は管見の限り存在しない。そこで本研究では、市民が児童相談所に対してどのような捉え方をしているか、そして捉え方によりどのようなグループに分かれるかを分析することを目的とした。ウェブ調査会社に登録する816名のデータを用いて分析したところ、各変数の平均値は理論的中点付近かそれ以上に分布しており、市民の捉え方は概して肯定的ないし中間的であり、否定的ではないことが示された。また、非階層的クラスタ分析を実施したところ、4つのクラスタが抽出され、そのうち2つは児童相談所に対して比較的肯定的な人が所属するクラスタであり、残りの2つは比較的否定的な人が所属するクラスタであった。これらの結果に基づき、クラスタの種類ごとに異なる働きかけが必要であることを述べた。
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(529K)
東住吉事件の判決・決定の分析
裁判官は供述について何をどのように判断しているのか
村山 満明
2025 年25 巻1 号 p. 68-83
発行日: 2025年
公開日: 2026/06/15
DOI
https://doi.org/10.20792/jjlawpsychology.25.1_68
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東住吉事件の裁判書を資料として、裁判官が何をどのように判断しているのかの検討を行った。その結果次のようなことが明らかになった。東住吉事件の裁判書は有罪方向あるいは無罪方向での一面的な判断を重ねていて、対立仮設型の検討は一部を除いて行われていない。有罪判決と再審開始決定ないし無罪判決では、同じ証拠、特に供述に対する評価が反対になっていることからすれば、特に有罪判決ではその評価は供述を含む各証拠について証拠そのものの性質に基づいて判断しているのではなく、先にその証拠評価についての結論を得た上で、その供述の信用性に評価している可能性を否定できない。裁判書では、供述の一貫性などの他に、供述内容が人の行為として自然な内容であるかどうかによってその信用性を判断しているところが多い。対立仮設検討型供述分析でポイントとなる点については、裁判書では検討されていない。心理学的供述分析は、従来の裁判官の判断手法を補うところがあると思われる。また、裁判官がベイズ意思決定論を踏まえた定式化を意識した判断をするようになれば、裁判官の判断方法と心理学的供述分析の接点も見出しやすくなると考えられる。
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(570K)
初入覚醒剤事犯受刑者の教育プログラムにおける効果測定に関する検討
メタ認知に着目した自己評価の正確さについて
受田 恵理
2025 年25 巻1 号 p. 84-100
発行日: 2025年
公開日: 2026/06/15
DOI
https://doi.org/10.20792/jjlawpsychology.25.1_84
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刑事施設における教育プログラムについて、より妥当な効果測定方法を検討するために、メタ認知に着目して自己評価の正確さを検証した。自己防衛が働き難く、教育プログラムとは無関係な一般知識問題における予想得点と実際得点の差を指標として用いた結果、先行研究と同様に回答の歪み(実際得点が高い者ほど予想が正確で、実際得点が低い者ほど過大評価する傾向)が確認された。一方、メタ認知尺度と一般知識問題における得点差の間にはほとんど相関が見られなかったことから、本研究に用いたメタ認知尺度は領域固有性が高い可能性が示唆された。また、一般知識問題に対する自己評価のバイアス(過小評価や過大評価)と教育プログラムの効果測定に用いた尺度得点の間には評価のバイアスに一貫性が確認されなかった。よって、今後は両者で異なる認知バイアスが生じている可能性や教育プログラムに関係する行動指標に対する自己評価のバイアスについて、検証する必要があると考える。
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(631K)
「刑事裁判とバイアス」研究に向けて
法学研究の視点から
緑 大輔
2025 年25 巻1 号 p. 101-106
発行日: 2025年
公開日: 2026/06/15
DOI
https://doi.org/10.20792/jjlawpsychology.25.1_101
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刑事裁判における認知バイアスの影響を意識した「注意則」研究の意義を論じる。心理学的知見を刑事裁判で証拠として用いる際には、証拠の関連性や鑑定に該当するか否かが問題となりうる。例えば、実験を伴う心理学研究を証拠とするには、当該事件の状況の再現性や法則性が求められる。また、鑑定として「特別の知識経験に属する法則」として認められる必要がある。他方で、心理学的知見を「注意則」として裁判実務に活用することは、これらの法的な障壁を回避しながら実務家に知見を定着させる手段となり得る。注意則は、証拠としての厳格な要件を満たさずとも、裁判官の判断を補助し、認知バイアスの影響を抑制する。また、注意則の研究は、過去の裁判例の分析に基づ いて裁判官が考慮すべき要素を整理する伝統的な手法と、心理学的アプローチの橋渡しとして機能する。以上の観点から、刑事裁判上の認知バイアスに関して未解明である事項は少なくないことを例示した。
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(447K)
高野隆・河津博史/著『刑事法延弁護技術[第2版]』
書評
湯浅 大樹
2025 年25 巻1 号 p. 107-109
発行日: 2025年
公開日: 2026/06/15
DOI
https://doi.org/10.20792/jjlawpsychology.25.1_107
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(290K)
村山浩昭・葛野尋之/編『再審制度ってなんだ?―袴田事件から学ぶ』
書評
指宿 信
2025 年25 巻1 号 p. 110-112
発行日: 2025年
公開日: 2026/06/15
DOI
https://doi.org/10.20792/jjlawpsychology.25.1_110
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(333K)
東アジア法と心理学会第13回大会参加報告
海外学会参加報告
向井 智哉
2025 年25 巻1 号 p. 113-114
発行日: 2025年
公開日: 2026/06/15
DOI
https://doi.org/10.20792/jjlawpsychology.25.1_113
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