日本舌側矯正歯科学会会誌
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2011 巻 , 22 号
日本舌側矯正歯科学会会誌
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 吉田 教明
    2011 年 2011 巻 22 号 p. 3-10
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/12
    ジャーナル フリー
    舌側からの矯正治療は、装置の審美性を求める患者にとって、大変魅力的な治療法であり、われわれ術者にとっても今後の矯正治療の需要を拡大する上で大きな可能性を秘めたツールといえます。また、治療のメカニクス、技術、材料にも近年目覚ましい進歩がみられます。しかしながら、唇側からの矯正治療と比べると、改良の余地はいまだ残っているように思われます。唇側からの矯正と比較して、舌側からの矯正治療法では、はるかに熟練した技術が必要であることは自明ですが、必然的にバイオメカニクスに関するより卓越した知識が不可欠となります。効率的な治療を行うためには、舌側からの矯正装置に関する基本的な力学、歯の移動の生体力学的原則を理解する必要があります。逆に、適正な治療メカニクスを適用しなければ、治療の長期化、歯根吸収など様々な偶発事故を併発するリスクも高まります。ここでは、治療の効率化を妨げる要因を明確にし、それらを回避する方法をバイオメカニクスの手法を用いて検証したいと思います。次に、前歯の効率的な移動コントロールを達成する空隙閉鎖のメカニクスについて考察したいと思います。
  • 中島 健, 西田 吾朗, 山野 薫, 笠行 弘和
    2011 年 2011 巻 22 号 p. 11-20
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/12
    ジャーナル フリー
    近年、成人の矯正治療受診率が高くなる傾向にあり、特にリンガル矯正治療患者においては大部分が成人の患者である。
    日々忙しい臨床の現場で働くにつれて、患者の様々な情報を把握するのは、容易な事ではないと考え、すべての患者情報をIT化管理し、瞬時に理解できるシステムを開発することとした。
    受付業務としては、院内LANはもちろんのこと、遠隔操作でも予約管理・患者情報管理・患者への情報発信が可能なシステムを導入した。
    また、口腔衛生および画像管理ではDental X (株式会社プラネット)を導入し、チェアーサイドPCやi-Padを使用して、検査結果などの一元管理および患者への口腔衛生指導に活用している。
    さらに、RECS社と共同して矯正用電子カルテシステム ORTHO-REXを開発し、診療室と受付間において、タイムラグなく情報が共有できるようになった。また、アナログカルテではできない細やかなフォローが可能となった。
    この3つのシステムを相互連動させることによって、煩雑な業務から開放され、患者とゆっくり話しができる時間を持てるようになった。ひいては患者への情報提供も、豊富で確実なものとなり、トラブル等も軽減できると考える。
  • 片岡 彩乃, 小森 成, 今井 絵美子
    2011 年 2011 巻 22 号 p. 21-29
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/12
    ジャーナル フリー
    舌側面形態は複雑で、歯面を直視できないことが多いことから、既製のブラケットをダイレクトボンディングすることが困難である。そのため、現在までに様々なブラケットポジショニングの方法やインダイレクトボンディングシステムが開発されてきた。しかし、トランスファートレーやコアを用いた方法は、いずれも複雑な技工操作が必要で経済的な負担が大きくなるのが現状である。また、複雑な技工操作は、結果としてポジショニングの誤差につながる。適切なポジションにブラケットが接着できていなければ、ワイヤー屈曲の複雑化やブラケットの脱落の可能性が高くなることが考えられる。そのため、トランスファートレーやコアを用いる方法は、いずれも治療期間の延長につながるリスクが高いことが推察される。KommonBaseはダイレクトボンディングのため、技工操作が簡便であり、位置再現性の高いブラケットベースを製作することが可能である。KommonBaseを製作する際には保存修復用のフロアブルレジンを流用していたが、fillerの含有量が多いため歯面に残ったレジンの撤去時に、アドヒーシブリムービングプライヤーのチップの破折や患者がその破折片を誤嚥してしまうこと、ディボンディング時の患者の不快感、エナメル質の破壊が起こる可能性が懸念される。このようなリスクを回避するためにKommonBase resinが実用化され、技工操作も簡略化された。そこで、KommonBaseの概要と技工操作、臨床応用について報告する。
  • 名取 晶子
    2011 年 2011 巻 22 号 p. 30-37
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/12
    ジャーナル フリー
    舌側矯正においては必ず予測模型(セットアップモデル)の製作が必要となる。今回は、そのセットアップモデル製作前に中心位(Centric Relation)で半調節性咬合器にマウントされた模型から診断、治療方針の決定を行い、そのマウント模型を用いてリンガルコアを製作し、治療終了後にCPI(Condyle position index)の改善をするとともに、比較的良好な咬合関係を得られた2症例を報告する。
  • 上田 香織
    2011 年 2011 巻 22 号 p. 38-42
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/12
    ジャーナル フリー
    舌側矯正治療患者の中には、歯肉に炎症を起こす患者がいる。ブラッシング指導を積極的に行うだけでは、炎症が消退しない事も多い。その原因として、①正面から見えない所に装置が装着されている為、歯垢がとりにくい事②全歯牙の内、ブラケットのポジショニングが歯肉に近い所に接着されている部位が存在し、ブラケットと歯肉の間に歯垢の蓄積が増加しやすい事③ブラッシング技術が個人個人によって差が存在する事④成人性歯周炎の原因菌が口腔内に多く存在するといった、宿主の細菌叢の違いとその感受性で歯肉炎になりやすい患者がいる事が考えられる。
    歯肉炎、歯周炎は細菌による感染症であると言える為、歯周治療に基づき、資料採得(生活習慣調査、パノラマX線写真、口腔内模型、ポケット診査、歯周病細菌検査)を行った。その後、歯周基本治療である、生活習慣指導、ブラッシング指導、スケーリング、抗菌剤の局所投与を行い、プロービングデプスの変化を調べ、炎症の改善が認められた。
  • 犬童 寛治
    2011 年 2011 巻 22 号 p. 43-55
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/12
    ジャーナル フリー
    私が舌側からの矯正臨床に関わり、本格的な治療を始めてから約20年経過した。その間多くの先人達の功績に助けられ、技工操作システムの確立、治療期間の短縮、適応症の拡大、ブラケットによる歯牙コントロールの適正化、インプラントアンカーの応用など、唇側からの矯正治療と比較して質の向上、さらに咬合の安定性に大きな差がなくなったことを実感している。
    今回、成人女性 のAngle classⅡdiv.1症例を舌側からの矯正で治療し、保定終了から7年経過した患者さんの資料をもとに、咬合の安定に関わるEsthetic、Biology、Function、Structureの4項目について検証したので考察する。
  • 飯田 賀代
    2011 年 2011 巻 22 号 p. 56-63
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/12
    ジャーナル フリー
    患者は初診時年齢27歳7か月の女性で上顎前歯部の叢生を主訴として来院した。大臼歯関係は左右ともにⅡ級で、オーバージェット+7.5mmであった。セファロ所見からは、下顎が後方位でANB角+9.6°であった。上下歯列ともに前歯は唇側傾斜を呈していた。下顎骨が小さく骨格的要素のあるⅡ級Ⅰ類叢生症例と診断した。過大なオーバージェットを改善するためには、下顎の抜歯は回避した方が良いと判断されたが、下顎前歯は唇側傾斜しており、下顎のディスクレパンシー量は-5.2mmであったため、上顎左右第一小臼歯と下顎左右第二小臼歯を抜歯し、治療をおこなうこととした。加強固定にパラタルバーを使用し、顎間ゴムを併用しながらⅡ級の改善をおこなった。臼歯関係はⅠ級を確立し、叢生は改善された。動的治療期間は31か月であった。保定期間は3年10か月であるが、良好な咬合関係が得られている。
  • 奥村 智永子, 岡崎 やよい
    2011 年 2011 巻 22 号 p. 64-68
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/12
    ジャーナル フリー
    歯科医院における歯科衛生士の教育は難しく悩む事が多い。特に矯正歯科医院においては一般歯科医院とは異なり結紮や口腔筋機能療法、口腔内および顔面写真の撮影、診断資料の作製をはじめとする特殊な技術や知識が必要である。さらに、リンガル、ラビアル、セルフライゲーションなど装置の種類も多岐にわたり、それぞれの装置の取り扱いも日々多様化してきているため、一度習得した知識や技術が恒久的に使えるものではない。
    また、矯正歯科医院で働く歯科衛生士は少なく、養成学校卒業後4年間の就職状況をみると、一般歯科209名に対して、矯正歯科28名と少ないことが解り(図1)、今後も矯正を専門的に指導できる歯科衛生士は少ないと考えられる。
    そこで、今回は新たなスタッフを迎え指導するにあたり、当院が工夫しているスタッフ教育の内容について3つのポイントに分けて報告する。
  • 高橋 徹, 田隅 泰三, 姫野 良祐
    2011 年 2011 巻 22 号 p. 69-83
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/12
    ジャーナル フリー
    1.上下前歯部および左側小臼歯部に叢生を伴うAngle ClassⅠ不正咬合症例・・・高橋 徹
    2.上下前歯部の叢生ならびに開咬を伴う Angle ClassⅠ症例・・・高橋 徹
    3.左右の抜歯部位を異にするアングルⅠ級叢生症例・・・田隅 泰三
    4.下顎が後退した上顎前歯の前突を伴うハイアングルⅡ級1類症例・・・田隅 泰三
    5.上下顎前突を伴うハイアングルⅠ級症例・・・田隅 泰三
    6.Angle class Ⅱ 上顎前突症例で、片顎抜歯で行なった症例・・・姫野 良祐
    7.上顎左側第二小臼歯と下顎左右側第一小臼歯の先天性欠如歯を伴う反対咬合・・・姫野 良祐
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