音声言語医学
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24 巻, 4 号
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  • 小島 千枝子, 横地 健治, 岡田 真人
    1983 年 24 巻 4 号 p. 225-234
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    特異な経過をとった言語発達遅滞の1例を報告した.症例は9歳男児.妊娠, 分娩, 新生児期著変なし, 運動発達は正常.幼児期前半は言語理解, 表出ともになく, 対人関係の孤立, 行動異常をあわせ持つ重度精神遅滞児の病像であった.理解は, 視覚的理解が聴覚的理解に先行して得られ, 対人関係の孤立も消失してきた.5歳10ヵ月の初診時, 発語失行が認められ, 構音訓練を中心とした言語指導を開始し, 急速な発語数の増大, さらに知的機能の上昇が得られた.8歳4カ月時にはIQ (WISC) は104となり, 現在は行動上の問題もないが, なお軽微な発語失行と失文法の問題は残されている.これらの言語, 知能を構成する各種高次機能の不均一な成熟の遅れによってもたらされた, 特異な臨床表現であろうと考えられた.
  • ―失語症患者による誤り方の検討―
    亀井 尚, 佃 一郎
    1983 年 24 巻 4 号 p. 235-247
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    われわれは, 失語症患者の聴覚的理解過程における言語学的, および非言語学的障害を検出するため, Token Testの改訂版を考案した.改訂化の目的として, 言語学的操作に基づく処理能力をいかに評価するかにあった.そこで, オリジナル版Token Testより8つのタイプの文法的項目を抽出し, 項目およびユニットの数および質を系列化することを試みた.予備的実験として, 43名の失語症患者に改訂版を施行した結果, つぎのような成果を得た.
    (1) 改訂版のI~IV部における誤答数には, 一様に短期記銘力が関与していた.
    (2) 改訂版のV~VIII部における誤り方は様々であったが, 左右関係および時間的順序に関するユニットが比較的高い感度を示した.
    (3) 改訂版の成績により, 失語症患者における障害タイプを分類することはできなかった.
  • ―縦断研究―
    伊藤 友彦
    1983 年 24 巻 4 号 p. 248-256
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    幼児期にみられる発話の非流暢性と言語習得との関連を明らかにするための予備的研究の一つとして, 普通児9名の発話の非流暢性を3~6歳まで縦断的に検討した.発話は自由遊び場面からテープレコーダーによって収集した.その結果, 以下の知見を得た.
    1) 非流暢性の頻度が3歳または4歳で高く, 5歳または6歳で減少する幼児が多かった (9名中8名) .2) 3~4歳, 特に3歳では複雑な構造をもつ文や長文を多く使用する幼児ほど高い非流暢性を示したが, 6歳ではこのような傾向はなかった.3) 4~6歳にかけては複雑文, 長文の使用が増加する幼児が多かった (9名中8名) が, そのうちの7名の非流暢性は4~6歳にかけて減少する傾向にあった.4) 5~6歳に比して3~4歳で非流暢性が言語習得と密接な関連をもつ理由について考察を加え, さらに, 幼児期に一般にみられる非流暢性と吃音の初期症状との類似点と相違点を検討した.
  • ―検査成績とCT像との関係―
    戸塚 元吉, 福迫 陽子, 笹沼 澄子
    1983 年 24 巻 4 号 p. 257-269
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/01/31
    ジャーナル フリー
    左側脳硬塞による失語症患者69例 (年齢28~81歳) の失語症検査成績と脳のCT所見との関係について, 側面図に投影する方法を用いて集計し, 以下の知見を得た.
    1.多くの検査項目において側頭葉の関与が大きかった.
    2.前頭葉と特に密接な関連にあったのは次の下位検査であった.すなわち, 「嚥下機能」, 「軟口蓋の運動性」, 「単音節のくり返し」, 「音韻変化」, 「流暢性」である.また側頭葉, 頭頂葉下半部と特に密接な関連が示されたのは「復唱」であった.
    3.入・出力モダリティーが同じ下位検査であっても, 言語処理の複雑さ, ないしレベルの差異によって脳の関与のしかたが異なっていた.
    4.検査遂行にあたっての入・出力モダリティーや言語処理の複雑さ, ないしはレベルが異なっているにもかかわらず, その差異が今回の結果に反映されない下位検査も認められた.
  • 廣戸 幾一郎, 一色 信彦, 内須 川洸, 平野 実, 澤島 政行, 福田 宏之
    1983 年 24 巻 4 号 p. 270-274
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • ―その2.音響分析―
    平野 実, 斎藤 成司, 澤島 政行, 比企 静雄, 廣瀬 肇, 今泉 敏
    1983 年 24 巻 4 号 p. 275-276
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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