音声言語医学
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25 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 会沢 房子, 伊林 克彦, 山崎 元義, 大西 洋司
    1984 年 25 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    従来, 超皮質性感覚失語症の責任病巣として, 後部境界領域が考えられてきた.
    われわれは, 前大脳動脈閉塞症と同時に, 超皮質性感覚失語を呈した症例を経験したので報告する.
    症例は, 64歳右利き男性.完全発作発症40日前になんとなくしゃべりにくいということと, きわめて軽い右片麻痺に気づいた.この時のCTスキャンでは, 左後大脳動脈領域に一致して, 側頭葉から後頭葉にかけて境界不鮮明な低吸収域がみられた.
    その後, 下肢に強い右片麻痺と強い言語障害が出現して, 来院し, 標準失語症検査の結果, 超皮質性感覚失語と診断した.
    患者は, 1.5年後, 上顎腫瘍で死亡.剖検では左内頸動脈血栓による左大脳半球の萎縮の他に, 左前大脳動脈および後大脳動脈領域に古い梗塞巣を認めた.
    前大脳動脈閉塞症状と, 超皮質性感覚失語が同時に出現していることより, われわれは, 本例の超皮質性感覚失語の責任病巣は, 左前大脳動脈領域の梗塞巣であろうと考えた.
  • 渡辺 宏, 小宮山 荘太郎, 金苗 修一郎, 野口 敦子, 藤家 郁子
    1984 年 25 巻 2 号 p. 133-139
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    嗄声を主訴とする音声障害者の障害の程度を音声機能検査法を中心として軽, 重2つに分類した.発声機能検査は音声の強さ, pitch, 平均呼気流率の3つのパラメータを二次元的に同時比較しながら検討した.症例は声帯ポリープ, ポリープ様声帯, 慢性喉頭炎, 声帯結節, 反回神経麻痺等である.その結果嗄声の程度が軽くある程度音楽的素養を持つ症例に, 嗄声をカバーしようとする喉頭の代償機能が認められ音声検査上で他の障害者とは, pitch―呼気流率, 音圧―呼気流率のパタンではっきりと区別できた.すなわち, 一般に音圧やpitchが増すと平均呼気流率は増加する傾向にあるが, 代償機能を示した症例群では音圧をやや強くしたりpitchを上げたりすることによって, 高い値を示す呼気流率を最小限におさえ, 喉頭の機能を維持しようとする現象が観察された.ただし, この現象は個々の疾患に特徴的なものではなかった.
  • 能登谷 晶子, 鈴木 重忠
    1984 年 25 巻 2 号 p. 140-146
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    2歳2ヵ月から6歳7ヵ月まで聴能訓練と文字言語を並行して指導した, 聴力レベル98dBの一重度聴覚障害幼児の言語発達を検討し, 音声言語に及ぼす文字言語の効果について考察した.
    主な結果は以下のようであった.1) 文字言語は音声言語より習得が容易であった.2) 文字言語から音声言語への移行が認められ, 5歳0ヵ月に音声言語の発達は文字言語のそれに追いついた.3) 本例が6歳7ヵ月までに獲得した受信語彙数は, 音声・文字言語とも約4, 000語に達した.同時期の音声発信語彙数は約3, 000語であった.4) 本例の6歳代におけけ語彙, 文, 機能語の発達は同年齢の健聴児の発達レベルにほぼ相当した.
    以上の結果より, 先行して習得された文字言語は, 音声言語の発達を促進したと考えられ, 早期からの文字言語の導入は, 聴覚障害幼児の言語発達遅滞の改善に有効であることがわかった.
  • 阿部 雅子, 澤島 政行
    1984 年 25 巻 2 号 p. 147-154
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    裂のない先天性鼻咽腔閉鎖不全症の中で, 臨床的に軟口蓋麻痺と診断された46例の臨床症状を検討し, つぎの知見を得た.
    1) 軟口蓋麻痺症例は言語障害に気付かれてから診断確定までに長期間を要し, 早期診断の困難さが示唆された.
    2) 生育歴上, 重複障害が多いこと, 初期の言語発達がやや遅いこと, 乳児期のミルクの鼻漏出などが多く認められた.
    3) 構音障害は開鼻声, 鼻漏出による子音の歪み, 声門破裂音が多く認められたが, 口蓋裂児と比べ, 口蓋化構音が少なかった.
    4) 鼻咽腔閉鎖不全に咽頭弁形成術を行ったが, 開鼻声の消失に長期間を要した.また, 軽度開鼻声の残存したものや, 鼻閉の出現したものも認められ, 咽頭弁の調節の難しさが示唆された.
    5) 鼻咽腔閉鎖機能改善後の異常構音に対する構音訓練成績は, 口蓋裂や機能的構音障害と比べて, とくに差は認められなかった.
  • 長畑 正道
    1984 年 25 巻 2 号 p. 155-168
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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