音声言語医学
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32 巻, 4 号
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  • 蓼原 東紅, 小池 薫
    1991 年 32 巻 4 号 p. 343-346
    発行日: 1991/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    声帯結節患者, 特に教師の場合, 頻回なvoice therapyができないため, 積極的な手術治療を施行した。その結果, 術後の発声が楽になり, 自覚的に声の調子が良くない時に, できる限り声の安静に努める姿勢が生まれ, 好結果が得られた。
  • 伊藤 元信, 古川 政樹
    1991 年 32 巻 4 号 p. 347-353
    発行日: 1991/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    舌切除後, 種々の皮弁を用いた再建手術を受けた10症例について, 発話明瞭度判定を中心とした評価を行った.10例中, 4例については, 言語訓練を実施し, 訓練前後の単音節・単語明瞭度を比較した.
    明瞭度判定の結果はおおむね先行研究の結果と一致するものであったが, 切除範囲と明瞭度との関係, 術後の経過期間と明瞭度との関係については, 必ずしも先行研究結果とは一致しなかった.言語訓練の結果, 4例中2例で明瞭度の明らかな改善が得られた.
    これらの結果をふまえて, 舌切除後の構音障害の特徴, 明瞭度判定の方法論上の問題, 言語訓練の適応基準, 言語訓練効果について考察した.
  • ―後天性吃音・失語症・発達性吃音の比較―
    苅安 誠, 大平 芳則, 柴本 勇
    1991 年 32 巻 4 号 p. 354-359
    発行日: 1991/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    吃音 (発達性・後天性) , 失語症 (伝導・ブローカ) および健常成人の4コママンガの説明課題の発話サンプルをもとに, 発話流暢性を比較した.この結果, 非流暢率では脳損傷群, 吃音率は吃音群の方が高く, 健常群はいずれも低かった.主な非流暢性のタイプは, 後天性吃音で語句のくり返し, 発達性吃音で語の一部分のくり返しとブロック, 失語症群は語句のくり返しと挿入, 健常群は挿入であった.非流暢性の質的側面からみると, 後天性吃音は, 吃音の類型ではなく, 同じ脳損傷後遺症である失語症と発話の障害メカニズムが似ていると考えられる.
  • ―コミュニケーションノートの活用を中心に―
    小嶋 知幸, 宇野 彰, 加藤 正弘
    1991 年 32 巻 4 号 p. 360-370
    発行日: 1991/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    22例の失語症者に対して, 実用的なコミュニケーション補助手段として, 日常生活上重要性が高いと考えられる事物の写真, 絵, 文字をカテゴリー別に貼付したノート (以下コミュニケーションノート) を作成し, 活用の状況を調査, 検討した.その結果, 1.コミュニケーションノートを自発的に活用するためには, 知的機能, コミュニケーションへの積極性, 社会的関心, コミュニケーション環境などの条件を良好に満たしている必要がある, 2.ノートは, 比較的発症初期から実用的なコミュニケーション補助手段となりうる, 3.ノートが有効でない話題もあり, 話題に応じたコミュニケーション手段の使い分けが必要である, 4.ノートの活用に際しては, 患者のみならず, 日常生活上患者と身近に関わる家族や介護者を含めた総合的な指導が必要である, と考えられた.
  • 城間 将江, 本多 清志, 河野 淳, 舩坂 宗太郎, 熊川 孝三
    1991 年 32 巻 4 号 p. 371-377
    発行日: 1991/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    多チャンネル型人工内耳装用患者の語音聴取能に影響を及ぼす要因を調べるために, 母音と子音の明瞭度の評価結果と患者の個体要因および電気生理学的要因との関連について統計学的に推定した.
    個体要因として年齢と失聴期間を, 電気生理学的要因として使用電極数と最小可聴電流値 (Tレベル) , 最大快適電流値 (Cレベル) , TレベルとCレベルの中間値 (平均電流レベル) , TレベルとCレベルとの差 (ダイナミックレンジ) を選定した.
    単相関分析の結果, 母音の明瞭度と高い相関を示す要因は認められなかったが, 子音の明瞭度と電流刺激域値との間には比較的高い負の相関が認められた.また, 重回帰分析の結果より, 電流刺激域値が低いこと, 使用電極数が多いこと, ダイナミックレンジが広いことの3項目が子音の明瞭度を高める要因の組み合わせであると推定された.
  • ―健常成人と失語症との比較―
    岩田 まな, 佃 一郎
    1991 年 32 巻 4 号 p. 378-386
    発行日: 1991/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    失語症患者の話しことばの評価基準を検討するために, 健常成人100名 (男女各50名) に対しSLTAまんが説明の検査を行い, 出現した語, 総語数, 説明には不要な語の割合, 不要語の内容, 6段階評価について分析した.また健常者と比較するために失語症患者30名 (流暢型, 非流暢型各15名) にも同様の検査と分析を行い, 得られた知見からSLTAまんが説明検査の問題点を指摘した.
    (1) 基本語に含まれていない「風」の出現率が基本語と同率であったので, 基本語を基準に評価するのであれば, 「風」も基本語に入れた方が良いのではないか.また関連語の位置付けが曖昧であると思われた.
    (2) 基本語の数だけでまんが説明を評価するのは妥当ではない.内容の伝達という質的側面を評価する方法を考えた方が良い.
    (3) 健常群の説明文にもよどみと思われる語が6.8%の割で含まれていた.よどみとは具体的に何をさすのかを明確にし, 出現許容範囲を決めた方が良い.
    (4) 健常群に6段階評価を行ったところ, 段階6と評価された者は56%にすぎず, 言語に障害をもつ患者の話しことばを評価するには現行の評価基準は厳しすぎると考えられた.
    (5) 出現した語の分析, 総語数, 構文など分析方法を検討することによって失語症患者のコミュニケーション能力を測れるのみならず失語症タイプの弁別も可能と考えられた.
  • ―失語症の重症度と年齢による検討―
    綿森 淑子, 竹内 愛子, 伊藤 元信, 遠藤 教子, 福迫 陽子
    1991 年 32 巻 4 号 p. 387-396
    発行日: 1991/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    失語症患者229名 (64歳以下の若年群123名, 65歳以上の高齢群106名) を対象に, 非言語的な手段による伝達能力をも含む広い意味でのコミュニケーション能力と年齢との関係を検討する目的で, 実用コミュニケーション能力検査 (CADL検査) と失語症検査を施行し, 以下の知見を得た.
    1) 失語症の重症度が軽~中度の患者においては, 両検査とも成績に年齢差はみられなかった.一方, 重度の患者では, 失語症検査の成績には年齢差が認められなかったが, CADL検査の成績には年齢差が認められ, 高齢群の成績が有意に低かった.
    2) コミュニケーション・ストラテジーの利用に関しては年齢差は認められず, 高齢・重度群でも積極的なストラテジーを利用しており, その成功率も若年・重度群と変わらなかった.
    3) 今回の結果は, 高齢・重度の失語症患者に適した訓練法開発の必要性を示唆するものと考えられた.
  • 相野田 紀子, 細川 多佳子, 和泉 慶子, 山下 公一
    1991 年 32 巻 4 号 p. 397-405
    発行日: 1991/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    NICU入院患児11例について, 耳鼻咽喉科言語外来で行った言語評価, 訓練・指導をretrospectiveに考察し, 医学的なhigh-risk factorsを有する患児の前言語期言語ケアについて検討した.初診時の症例は小児内科あるいは小児外科の管理下にあり, 月例は1ヵ月以下が5例, 2~3ヵ月が3例, 6~8ヵ月が3例であった.評価は, 医学的諸検査の他に, 聴覚および発達, コミュニケーション行動の側面を対象として行った.両側聴覚障害, 発声不能 (気管カニューレ装着中) はそれぞれ2例, 言語発達遅滞は全例, 精神発達遅滞は7例に認められた.訓練は正常発達過程に基づいたプログラムで実施し, さらに患児とのコミュニケーション形成について, 看護スタッフおよび家族, 特に母親に対する指導を強力に行った.長期的な結果はまだ得られていないが, NICU入院児の言語ケアの必要性を強調し, 今後の課題を挙げた.
  • 岩田 重信, 大津 有二郎, 小島 秀嗣, 竹内 健二, 青木 幸夫
    1991 年 32 巻 4 号 p. 406-412
    発行日: 1991/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    発声機能の測定を目的に, 微小圧力計 (TC-P-2-RV13-6) を経鼻的に声門下約3cmに抽入固定し, 声門下圧を抽出し, 同時に発声機能装置PS-77より得られたPitch, IntensityとAir flowのパラメータをPC-9801VM2 (メモリー640Kbyte) に読み取らせ, 声門抵抗, 声門下パワー, 音響パワー, 喉頭効率 (音響エネルギー/声門下パワー) を求め, これらパラメータの相互関係を時間軸上の表示, ならびに二次・三次元表示を可能とした自動解析プログラム (PI-100) を開発した.本プログラムは声門下圧測定時の圧微調整, 温度補整を自動化し, 周囲雑音の除去を計った.
    今回, 正常者の胸声, 頭声発声における各パラメータの解析データを提示し, 本システムが発声のメカニズムの解析や, 発声障害の客観的評価に応用できると考え, その概要につき報告した.
  • ―言語療法部門の技術移転に関する報告―
    白坂 康俊
    1991 年 32 巻 4 号 p. 413-427
    発行日: 1991/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 田中 美郷
    1991 年 32 巻 4 号 p. 428-429
    発行日: 1991/10/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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