音声言語医学
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36 巻 , 2 号
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  • 森岡 悦子, 宇野 彰
    36 巻 (1995) 2 号 p. 177-183
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    失読, 失書の症例について, その症状と言語訓練の経過から, 障害メカニズムについての検討を行った.症例は, 52歳, 男性, 右利きで, 損傷部位は左側頭後頭葉内側面皮質皮質下領域であった.失読および失書は, 仮名は軽微で, 漢字に顕著であった.読字, 書字ともに, 類形的誤りと類音的誤りが頻出した.それぞれの障害水準を山鳥の漢字処理の仮説モデルに対応させると, 読字における類形的誤りは「視覚系から文字心像への過程」で, 類音的誤りは「視覚系の単語範疇化過程から意味野への過程」で生じたと考えられた.また, 書字における類形的誤りは「書字素実現の過程」で生じ, 類音的誤りは「漢字文字心像系列選択の過程」で生じたと考えられた.本症例の失読および失書は, それぞれ2つの独立する障害機序に基づく障害であることが示唆された.
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  • 柴 裕子, 溝尻 源太郎, 野崎 智嗣
    36 巻 (1995) 2 号 p. 184-191
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    声門閉鎖不全は, 声帯突起の部位は閉鎖し声門膜間部にのみ閉鎖不全がみられるものと, 声帯突起の部位が閉鎖せず声門軟骨間部から声門膜間部にかけて後方を底とした三角形の声門閉鎖不全がみられるものとに大別される.後者は, Posterior Glottal Chink (PGC) と呼ばれ, 声帯結節との関連が注目されている.われわれは, 声帯結節31例をPGCの有無によってPGC (+) 16例, PGC (-) 15例に分類し, 比較検討した.その結果, 1.PGC (+) 群では硬起声や, 起声時の声帯の過内転が高頻度にみられ, PGCと過緊張性発声の関連が示唆された.2.声帯結節31例の音声は, 平均すると気息性を特徴とする軽度の嗄声で, 総合的嗄声度ではPGC (+) 群がPGC (-) 群より悪化していた.音響分析の結果には両群間に差はなかった.3.PGC (+) 群はPGC (-) 群より発声時の声門間隙が大きく, 呼気流率の上昇と発声持続時間の短縮がみられた.
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  • 福田 友美子
    36 巻 (1995) 2 号 p. 192-196
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    日本手話の語彙に関するデータベースを開発するにあたって, まず, 使用の目的に応じた語彙基準を設定して約950語を選定した.次に, 手話語彙の動作が再現できるような表記体系を作製し, その表記体系に従って, 選択された各語彙を動作の要素に基づいて記述した.それをデータベースの枠組みの形にまとめ, 語彙に含まれている他面的な情報を, 計算機プログラムによって検索できるようにした.一方, 2人の女性の話者による手話の語彙の動作をレーザディスクに録画した.そして, 計算機制御の再生装置を用いて, データベースのプログラムにリンクさせることによって, データベースのどの表記項目からでも, 該当する手話の映像が, 瞬時に検索できるようにした.
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  • 伊藤 元信, 大澤 富美子, 飯塚 直美
    36 巻 (1995) 2 号 p. 197-205
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    25歳男性, 脳外傷, 左側頭葉損傷, 失語 (非典型, 中等度) , 発症後23ヵ月経過の患者に対して, 単一被験者治療実験法の交互訓練デザインに従って, 聴覚的理解障害の改善訓練を行い, 2種類の技法の訓練効果を比較した.第1期では口頭指示を繰り返し与えて, コップやハサミなどの日常物品を操作させる訓練と, 口頭指示を与えることに加えて指示内容を書いた文を提示し物品を操作させる訓練を行った.その結果, 前者の訓練の方がより有効であった.しかし, 訓練効果の般化は生じなかったため, 第2期の訓練を追加した.第2期では, 口頭指示を繰り返し与えて, 色, 大きさ, 形の異なるトークン (厚紙の札) を操作させる訓練と, 口頭指示を与えながら指示内容を書いた文を提示しトークンを操作させる訓練を行った.その結果, 第2期では前者の訓練の方が有効であり, かつ, 訓練効果の般化も認められた.さらに, 訓練終了後2ヵ月経過した時点での再評価の結果, 訓練効果の持続が確かめられた.
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  • 西尾 正輝, 星 研一, 桜井 美和子, 遠藤 利江
    36 巻 (1995) 2 号 p. 206-217
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    嚥下障害を合併したdysarthria1例に対して臨床的マネージメントを行った.治療プランの立案においては, 嚥下と発話の動作を比較し神経生理学的および解剖学的関連性と相違に着目し, 障害モデルを基盤とした.その結果, 嚥下と発話の機能は平行して著明に改善し, 嚥下障害の重症度は6段階評価尺度でレベル1から5へ, 単語明瞭度は18.5%から89.1%となった.今回の結果から嚥下障害を合併したdysarthria例に対しては, 嚥下と発話の神経生理学的および解剖学的関連性と相違に着目することによって機能障害および能力障害レベルの治療プランが明確化し効率的な治療結果を両者に同時に得ることが可能であると示唆された.また, 嚥下障害のマネージメントにおいては, チーム・アプローチの重要性が示された.
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  • 今井 智子, 佐藤 真由美, 道 健一
    36 巻 (1995) 2 号 p. 218-227
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    舌部分切除後に構音障害を示した1症例に対して舌接触補助床 (PAP) を装着して構音訓練を行い, 発語明瞭度を用いて評価したところ, 以下の結果を得た.
    1.構音訓練はPAP完成後の術後4ヵ月から計13回 (5ヵ月間) 行った.
    2.訓練は最も明瞭度の低下している/k/音から開始し, 音節, 単語, 文章の順で系統的訓練を行った.
    3.明瞭度は訓練前には55.2%であったものが, 訓練後には76.2%となり, この変化は訓練による治療効果と考えられた.
    4.舌接触部位別では, 明瞭度はいずれの部位でも10%以上の改善が認められたが, 特に訓練音/k/を含む舌後方音において著しい改善が得られた.
    5.構音様式別では, 特に破裂音および弾き音で20%以上の著しい改善が得られた.
    6.舌切除患者に対するPAPと構音訓練の併用は有効であることが明らかとなった.
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  • 岩田 重信, 高須 昭彦, 竹内 健二, 岩田 義弘, 戸田 均, 加藤 隆一
    36 巻 (1995) 2 号 p. 228-234
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    甲状軟骨翼に作った窓枠の断面に固定するミゾ付挿入シリコン片を作製し, これを甲状軟骨形成術1型の声帯内方移動に応用した.この手術は, NLA麻酔下に局所麻酔にて行うことで, 術中患者に声を出させ, 患者の満足度を知ることのみならず, 術者もその音声改善の効果を判定できる.甲状軟骨翼の開窓孔を通して, 麻痺声帯を正中方向に圧迫移動させ, ミゾ付シリコン片を挿入固定し, 声の改善の程度を確認できる.この手術の前後で発声機能検査を施行し, その改善の程度を調べた結果, 甲状軟骨形成術 (I型) は, 正中位と副正中位固定症例に有効であり, 固定用のミゾを持ったシリコン片は, 長期にわたり移動を認めず, 良好な発声機能を保持できた.術後の発声機能パラメータの変動は, 麻痺固定位に関係なく, 術前後で声門下圧はあまり変化せず, 呼気流率と声門下パワーの低下, 声門抵抗と喉頭効率の上昇を認めた.
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  • 伊藤 友彦
    36 巻 (1995) 2 号 p. 235-241
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    メタ言語知識とは言語に対する自覚的知識をいう.本研究は, 構音, 発話の流暢性に対するメタ言語知識の発達を検討したものである.被験者は3歳から6歳までの普通児80名であった.刺激語が, 正常な言い方, 正常な構音からの逸脱を含む言い方 (「構音の誤り」) , 語頭音節のくり返しを含む言い方 (「音節のくり返し」) の3種類, 実験者によって口頭で提示された.対象児は, 刺激語をよく聞いて, おかしかったらおかしいというように教示された.その結果, 以下の点が明らかになった.1) 「構音の誤り」に対してメタ言語知識を持つ者は, 3歳, 4歳ではそれぞれ, 20%, 25%にすぎなかったが, 5歳では75%, 6歳では100%であった.2) 「音節のくり返し」に対してメタ言語知識を持つ者は, 3歳, 4歳ではそれぞれ, 15%, 30%と低かったが, 5歳では80%, 6歳では100%であった.これらの結果が吃音, 構音障害研究にとってもつ意義について論じた.
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  • 平間 淳司, 垣田 有紀
    36 巻 (1995) 2 号 p. 242-250
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    病的音声のF0のゆらぎのスペクトルを計測した.計測されたスペクトルのパターンに着目し, そのパターンを4個の因子 (傾斜特性f-n, 盛り上がりの高さP, 先鋭度Q, 中心周波数fp) で近似した.スペクトルのパターンからF0のゆらぎを生成できる‘Slope-Peak’modelを提案した.このモデルを用いて, F0にゆらぎを加えた合成音を作成した.その合成音を聴取することにより, モデルを記述する因子が, roughとvoice tremorの病的音声のカテゴリに与える影響を調べた.その結果, 以下のことが得られた.
    (1) roughの聴覚印象を強く与える場合: (a) 傾斜特性が小さく (f-n, nは小) , スペクトルの盛り上がりは低域よりも高域に存在し (fpは小) , かつ盛り上がりの高さが大きい (Pは大) .
    (2) voice tremorの聴覚印象を強く与える場合: (a) 傾斜特性が大きく (f-n, nは大) , スペクトルの盛り上がりは高域よりも低域に存在し (fpは大) , かつ盛り上がりの高さが大きい (Pは大) . (b) 先鋭度Qが大の場合も, voice tremorの聴覚印象を強く与える.
    (3) roughとvoice tremorとを比較すると, 低域と高域のゆらぎの特徴が対称的である.すなわち, roughは, 低域に比べて高域のゆらぎが支配的である.一方, voice tremorは, 高域に比べて低域のゆらぎが支配的である.
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  • 張 道行, 田中 美郷
    36 巻 (1995) 2 号 p. 251-255
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    東京都では平成4年1月より三歳児健診に聴覚検査が取り入れられたが, その成果を知る目的で, われわれの臨床を訪れた就学前のコミュニケーション障害児 (特に難聴児) の動向を調べ, 次の知見を得た.1) 平成4年7月より平成5年5月末までの間に, 難聴または言語障害を心配してわれわれの臨床を訪れた乳幼児 (0歳~6歳) は300例であったが, その精密検査結果は, 全受診者の70%に難聴が認められ, 難聴の検出率は3歳未満群で79%, 3歳以上群で62%であった.2) 保健所から紹介された年間の初診患者数は過去4年間の年間平均受診数に比べて約3倍に増加していた.この増加は3歳児に限らず, それ以下の年齢児にもみられ, 3歳児聴覚検査の波及効果と考えられた.この成績は3歳児聴覚検査の必要性および有用性を示唆するが, しかし難聴児早期検査のためには, 今後聴覚検査に対する関心を3歳以下の低年齢児に向ける必要がある.
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  • 大森 千代美, 野中 信之, 中川 弘, 川野 通夫, 中島 誠
    36 巻 (1995) 2 号 p. 256-264
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    言語発達が良好だった重度難聴児1例のことばの発達を, 療育場面のビデオテープ12本と指導記録簿, 母親から聞いた生育歴をもとに検討し, 難聴児のことばが育つには何が大切かを考察した.対象は初診時年齢1歳3ヵ月, 平均聴力レベル約110dB, 現在普通学級4年生在籍中の女児.
    療育開始時から母子は視線や表情, 動作などからお互いの意図を読み取り, 動作的にやりとりしていた.指導者は子どもが始めたことに合わせて応じるとやりとりが続くことを母親に示した.1歳5ヵ月, 給食の準備のようすを再現し, 象徴遊びが始まった.1歳6ヵ月, ことばを使い始め, 2歳3ヵ月, 身振りとことばで母親と短いやりとりができた.この症例を通して難聴児のことばが育つには, 以下のことが大切だと確認された. (1) 母子の間に情動的関係を育てる. (2) 子どもの認知を育てる. (3) 生活の中で, 身振りと表情, ことばでやりとりする.
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  • 広瀬 明美, 進藤 美津子, 加我 君孝, 田中 美郷
    36 巻 (1995) 2 号 p. 265-273
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    6歳2ヵ月時の交通外傷による脳挫傷後に, 左前頭頭頂側頭葉に広範な梗塞をきたし, 重度の構音失行を伴う失語症を生じた左利きの後天性小児失語症の男児1例について, 発話の回復過程を中心に報告した.本例は, 受傷後約1ヵ月間は緘黙状態を生じ, その後動詞の常套語句を用いて流暢な2~4語発話が可能になった.徐々に発話の音節数が合致し, 母音部分の正しい構音が可能になった.後に子音の構音障害が改善し, 受傷後1年3ヵ月以上経過して, 音声での日常のコミュニケーションが可能になった.発話の回復過程においては構音とプロソディの乖離がみられ, 構音失行が重度であったにもかかわらず, 構音面に先行してプロソディ面に回復が認められた.これは, 本例は左中心前回が比較的保存されていたこと, 左利きの交叉性失語であること, 小児であったこと, 情緒的に退行し, コミュニケーション意欲が高まっていたことなどの要因が関係していると推察された.
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  • 大澤 富美子
    36 巻 (1995) 2 号 p. 274-285
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    ダウン症児の構音を音韻プロセス分析により音の誤り方の側面から検討し, 健常児の結果と比較した.対象はダウン症就学前児20名 (平均5歳8ヵ月) , 精神発達遅滞は軽度から中等度で2語文以上の表出言語があった.対照として, 健常2歳児20名 (平均2歳7ヵ月) を用いた.25単語構音検査結果を, 正常構音発達途上にみられる13の音韻プロセスに関して分析した.その結果, 両群の全体としての音韻プロセスの出現傾向を検討すると, ダウン症群の構音発達は健常2歳群より遅れていることが考えられた.しかし, 両群の個別の結果を検査子音の正答率と音の誤り方が13プロセスに該当する率の関係について検討すると, ダウン症群の結果は一様ではなく, 健常2歳群に近いものとそれとは異なるものに大別できた.したがって, ダウン症群の構音には, 音の誤り方の側面からみて, 遅れてはいても正常構音発達の経過をたどるものとそれとは異なるものがあることが示唆された.
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  • 能登谷 晶子, 立石 恒雄, 鈴木 重忠
    36 巻 (1995) 2 号 p. 286-291
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    前言語期における聴覚障害児の指導法について報告した.障害が高度の例には視覚経路を活用する, また視覚的な過程を経た後に聴覚的な過程へと移行させる方法を取りいれるという考えから, 以下の3つの段階に沿って臨床を行っている.第1段階は, コミュニケーションの存在に気付かせる段階の指導.第2段階は, コミュニケーションの相互性に気付かせる段階の指導.第3段階は, コミュニケーション関係を定着させ, 言語記号の理解の成立をはかる段階の指導である.本研究では, 0歳代から訓練を開始できた95dB以上の高度難聴児4例を対象に, 各段階の経過について検討した.その結果, 第1段階は生後3ヵ月頃までに通過し, 第2段階は生後6ヵ月以降に認められるようになり, 第3段階は1歳前半までに成立することがわかった.したがって, 0歳代から訓練を開始することにより, 健聴児とほぼ同様の時期から言語記号の獲得が可能であることがわかった.
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  • 高橋 ヒロ子
    36 巻 (1995) 2 号 p. 292-297
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺の発話能力を64年脳性麻痺群73名 (出生年月1964年3月~1969年4月) と86年脳性麻痺群52名 (同, 1986年4月~1991年3月) で比較した結果, 発話可能な運動性構音障害は64年群31名 (42.47%) から86年群10名 (19.23%) に減少し, 発話不可能なものは64年群15名 (20.55%) から86年群26名 (50.00%) に増加していた.脳性麻痺における言語障害の重度化に基づいて, 従来の運動性構音障害の改善に重点を置いた言語治療を発展させ, 広範なコミュニケーション機能の拡大を前言語期から導入する言語治療のプログラムを提起した.
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  • 加藤 正子, 岡崎 恵子
    36 巻 (1995) 2 号 p. 298-305
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    口蓋裂に伴う問題は多様であるが, 最も大きなものの1つはスピーチの障害である.口蓋の手術は1歳前後に行われるため, 口蓋裂児の前言語期はちょうど手術前の乳児期にあたり, 子供は裂のある状態でスピーチの獲得を行わなければならない.裂の存在により哺乳・摂食行動や音の産生が制限される.このことは発語器官の感覚・運動学習を困難にさせ, 言語期のスピーチに影響を及ぼしていると考えられる.また高頻度でみられる滲出性中耳炎や親の養育態度も言語学習に影響を与える.したがって, 口蓋裂乳児に対しては哺乳の指導, 喃語音の産生の増大をはかる聴力の管理, 望ましい言語環境を作るために親のカウンセリングを行うことが言語指導の主な内容となる.口蓋裂の治療は多くの専門スタッフからなるチームで行われる.その中で早期から言語治療士がかかわる意味は問題の発見と予防の他に, チームのコーディネーターとして働き, 子供の全体的な発達を援助することにある.
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  • 小山 正, 神土 陽子
    36 巻 (1995) 2 号 p. 306-314
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本稿では, われわれが前言語期から早期言語指導を行い, 発達レベルが同程度であるダウン症女児2例におけるその後の言語発達について, 主に日常生活における語彙獲得のスタイルとその内容, 2語発話に表現される意味関係構造の発達を, 個人差という視点から, 特に指導場面での象徴遊びにみられた認知スタイルとの関連で検討した.
    象徴遊びからみられた2例の認知スタイルの違いは, 初期の語獲得の方向性としてある語群の獲得と, 1つの語群でのレパートリーの広がりに影響を与えていると考えられた.すなわち2例のうち, 認知スタイルがholistic, 模倣的と考えられた子どもは, 累積表出語彙50語レベルでは修飾語の獲得が進んでいた.一方, 認知スタイルがanalyticで独創的に象徴遊びを展開する子どもは, holisticなタイプの子どもに比べて1つの語群での内容の広がりがみられていた.また, 語の機能分類では, 累積100語前後の段階で, holisticで模倣的なタイプの子どもは動作語を多く獲得している以外は2例に大きな差が見出せなかった.このような個人差は, 2語発話の意味関係構造の広がりにおいてより明らかとなり, holisticで模倣的なスタイルの子どもは, analyticな子どもに比べ, 2語発話の出現は遅れるものの2語発話で表現される意味関係構造に広がりがみられていた.
    以上のような結果を基に, 本稿では, 前言語期における精神発達遅滞児への早期言語指導をめぐって, 個人差を踏まえた発達心理学的立場からの指導の基本的考え方について言及した.
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  • 森永 良子
    36 巻 (1995) 2 号 p. 315-321
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    learning disabilities (LD) は, 治療教育的配慮を必要とする認知能力障害を前提に1960年代にアメリカで提唱された概念である.その背景にはMBD (微細脳障害) を始めとする既存の学習障害とは異なる認知能力の偏りから生ずる学習上・行動上の不適応の症状があった.発達に伴って生起する多彩な症状に対しての治療は, 感覚運動訓練, 言語治療, 治療教育と多岐にわたっている.
    ここでは, LDの主たる問題である言語を中心に, LDの診断を (1) 他の認知障害との鑑別診断 (2) LDのサブタイプにっいて述べた.
    LDの治療にあたっては言語の概念化の過程における非言語的な役割りの重要性を考慮しての言語治療が必要であると考える.
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  • 平野 実
    36 巻 (1995) 2 号 p. 322
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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