音声言語医学
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37 巻 , 4 号
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  • 森岡 悦子
    37 巻 (1996) 4 号 p. 401-412
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    失語症者の実用的言語力の向上に関与する因子について, 特に言語的活動に注目して検討した.対象は72名の失語症者である.発症後約1年6ヵ月と約3年の2回の実用コミュニケーション能力検査の得点の差を「実用的言語力の向上値」とした.発症後約1年6ヵ月に調査した言語的活動と, 同時期に評価した包括的言語力 (SLTA) ・実用的言語力 (CADL) ・知的機能 (Raven Coloured Matrices) ・日常生活自立能力 (Barthel Index) と, 性別・発症年齢・原因疾患・病巣部位・失語症タイプの諸因子について, 「実用的言語力の向上値」への関与を調べた.その結果, 「実用的言語力の向上値」に対して, 言語的活動と知的機能に顕著な関与が認められた.また, 包括的言語力と実用的言語力の交互作用にも関与が認められた.慢性期において実用的言語力を向上させるためには, 包括的言語と実用的言語の練習に加えて, 言語的活動を高めることが特に重要であることが示唆された.
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  • 加藤 敏江, 荒尾 はるみ
    37 巻 (1996) 4 号 p. 413-419
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    聴覚障害児の統語の獲得は, 一般的に遅れるといわれている.聴覚障害児が, 就学時までに, どの程度の構文能力を獲得することが望ましいか, 言語能力との関連性から検討した.対象は, 就学児55名と, 就学後, 約10年間, 普通学級にインテグレートしている高校生6名の, 二つのグループの感音難聴児である.検査は, 失語症構文検査の幼児版とWISCあるいはWISC-Rを用いた.その結果, 次のような知見を得た.
    1) 就学時の構文能力と言語性IQは, 高い相関が認められた.
    2) 聴覚障害児の構文の獲得には, 細かい階層性があった.
    3) 就学時には, 少なくとも, 動作の主体が文頭の主語になる可逆文の, 意味役割と格助詞が同定できる構文能力の獲得が必要であろう.
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  • 田中 美郷, 針谷 しげ子
    37 巻 (1996) 4 号 p. 420-428
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    これまでの報告で, 重度精神遅滞があって生涯言語を獲得できない重度脳障害児には音楽が重要なコミュニケーション手段として残されていることを述べた.今回は, 乳児期から音楽的介入を受けてきた重度精神遅滞を伴う盲・重度脳障害児における音楽的コミュニケーションの発達経過を報告する.
    患者は男児で, 生後6ヵ月時われわれの臨床へ紹介されてきた.神経学的および眼科的検査で脳損傷による重度精神遅滞と盲のあることが判明した.0.5, 1, 2および4kHzの純音には100dBでも無反応であった.脳幹反応聴力検査ではクリック105dBnHLで反応が認められたが, 正確な閾値測定は困難であった.そこで, 母親には聴覚的に刺激する意味で歌を歌ってやることを勧めて, 14歳までフォローアップを続けた.
    11歳になって, COR聴力検査で本児の聴力は正常であることが判明した.しかし精神発達は依然として1歳以下の段階に留まっていた.情緒的な語を若干発するものの言語は全く獲得していない.しかしながら音楽や歌には1歳半頃より敏感になり, 6歳6ヵ月頃には知っている歌は40にも達した.現在は, 歌を歌ってやると自発的に歌いだすとか, 音楽のリズムに合わせて手をたたく.結論として, われわれは重度脳障害児ないし精神遅滞児の音楽によるコミュニケーションを発達させるには, 早期からの音楽的介入が極めて重要であることを強調したい.
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  • 岩田 まな, 佃 一郎
    37 巻 (1996) 4 号 p. 429-434
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    言語発達が良好な自閉症児3例と不良な自閉症児3例について発達経過を比較し, 以下の知見を得た.
    1) 自閉症児と関係づけをもつにはmirroringが有効であったが, 発達不良群ではmirroringに気づかせること自体が困難であった.
    2) 子供の動きや発声のmirroringを継続した結果, 子供の側から自発的に模唱が生じ始めた.不良群では模唱の発生が少なかった.
    3) 発達経過中delayed echolaliaが頻発する時期があった.良好群では過渡的現象であり, 後に象徴機能をもつ自発語となっていったが, 不良群ではdelayed echolaliaの状態に止まっていた.つまり不良群では模唱が少なくdelayed echolaliaが多い傾向があり, このことが良好群と不良群の相違であると考えられた.
    4) 不良群は言語のpragmaticsの面に問題があった.
    5) 遊びのレベルと言語発達のレベルには密接な関係があった.
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  • 三田地 (堀) 真実
    37 巻 (1996) 4 号 p. 435-442
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    人工呼吸器を装着しているために発声が困難で, かつ, 重度の四肢麻痺を呈している高位頸髄損傷患者に対して, (1) 患者の口唇の動きを読み取る, (2) 家族が考案した文字版, (3) 喉頭摘出患者用の電気喉頭, (4) 口唇・舌などを用いたサイン法, (5) 漢字Pワード, (6) ベンチ・ボイス, (7) 酸素を使用した方法, (8) 吸入器を使用した方法, (9) 人工呼吸器の呼気部を利用した方法の9種類のコミュニケーション方法を試みた.その結果, おのおのの方法にはそれぞれ利点・欠点があり, 最終的に患者は二っの方法を併用して使うに至った.つまり, ごく簡単な決まりきった内容であれば, (1) 口唇の動きを読み取る方法を, 多少複雑な内容であれば, (8) 吸入器を使用した方法を実用的に用いた.この経過から, 各コミュニケーション方法が実用的な使用に至る要因, その場合の患者の条件について検討した.
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  • 若葉 陽子
    37 巻 (1996) 4 号 p. 443-454
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    3歳の早発性吃音男児 (2歳代で発吃) 16名を対象に, 言語発達に関する情報についての質問紙と面接をその母親に実施するとともにITPA言語学習能力診断検査を実施.吃音重症度は“Scale for rating severity of stuttering”を用いて3名の言語障害の専門家が30分の観察により評定し, 1~7であった.健常児群と比較すると初語と二語文の出現時期では正常発達を示したが, 対象児は言語発達良好群と言語発達不良群の2群に分けられた.後者は7名であり, かなり高い比率であった.ITPAの下位検査の粗点を健常児群と比較すると有意な差はなかったが, 下位検査の評価点や個人内差を分析すると, 自動水準の文法構成と聴覚配列記憶, 表象水準の言語表現 (いずれも聴覚・音声回路による) が低い傾向がみられた.言語発達良好群と言語発達不良群では, PLQと聴覚受容の評価点に有意差があった.
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  • 力丸 裕
    37 巻 (1996) 4 号 p. 455-461
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本論文では音楽知覚に不可欠な音感覚を脳が創りだしているという基礎事実について述べた.目的としている音のどの物理的周波数成分 (スペクトル) にも関係のない音を, われわれがよく知覚することは, 聴覚心理学の分野では19世紀からよく知られた事実である.実は, これによってわれわれは音楽を楽しむことができるのである.たとえば, いくつかの連続した高次倍音を加えると, 「ミッシングファンダメンタル」と呼ばれる実在しない低周波の基本周波数に対応したピッチが聴こえる.この現象を容易に理解するために, これまでにみつかった心理学的事実を簡単に紹介し, さらに, 聴覚中枢におけるミッシングファンダメンタルのピッチ抽出機構と関連のある神経生理学的知見をいくつか提供した.ミッシングファンダメンタルとして知られる時間情報で創られるピッチ (時間ピッチ) が, 周波数成分に基づきスペクトルで創られるピッチ (場所ピッチ) を処理している考えられる一次聴覚野ニューロンと同じニューロンによって取り扱われているかどうかが調べられた.その結果, 一次聴覚野において時間ピッチは場所ピッチと同一のニューロンによって取り扱われているらしいことが判明している.紹介しているデータは心理学的知見とよく一致している.
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  • 進藤 美津子
    37 巻 (1996) 4 号 p. 462-467
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    脳の障害によって生じた音楽機能の障害である失音楽症 (amusia) のうち, 感覚性失音楽症の音楽認知の障害について, 従来の報告例および自験例から得られた知見について述べる.1) 音楽家の失音楽症にみられた音楽認知の障害の報告例では, 損傷部位は左の側頭葉と推定された.2) 一側の側頭葉切除例や脳血管障害例に行った音楽認知検査の報告や健常の大学生に行ったDichotic listening法による音楽認知検査の報告例などの結果から, 音楽機能は言語機能ほど一つの半球への側性化はみられていないこと, 音楽の認知に関しては両半球が関与していることが示唆された.3) 自験例の聴覚失認例ではいずれも音の強弱, 長短, 高低, 音色を正しく認知することができず, 音感が著しく低下しているため, メロディの認知も困難であったと考えられた.4) 音楽機能の障害を階層的にとらえるためには, 臨床的に有用な音楽検査の作成が今後の課題であると思われる.
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  • 河村 満
    37 巻 (1996) 4 号 p. 468-473
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    失音楽の主として表出面の障害に関して, 1.音楽と言語は脳内で別の機構を有するのか.2.音楽家と特殊な音楽能力を持たない人とでは音楽の脳内機構が異なるのか, 3.音楽機能は左半球に存するのか, 右半球なのか, 言語野に相当する音楽野は存在するのか, 4.失音楽の表出面の障害内容について検討した.
    1.については, 古くから失語症を呈した音楽家の音楽能力を検討した報告がある.これらはいずれも音楽障害と言語障害とが並行しないことを示している.自験全失語2例では歌唱の異常がみられず, 言語障害と歌唱障害とが乖離していた.これらは音楽と言語が脳内で別の機構を有することを示唆している.
    2.に関して, 音楽受容面についてはDichotic listening testでの検討がみられるが, 表出面での検討は乏しい.
    3.については, 従来のいわゆる運動性失音楽を示したほとんどの症例は右半球病変である.さらに, それらの病巣局在は前頭葉と側頭葉とがあり一定しない.
    4.に関して, 運動性失音楽として報告された症例の多くでは, 歌唱能力の障害はメロディー, ピッチにあり, リズムの異常はあまり認められない.受容面の障害を伴った自験側頭頭頂葉病変5例 (両側2例, 左2例, 右1例) でも同様の傾向がみられた.
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  • 貫 行子
    37 巻 (1996) 4 号 p. 474-479
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    これまでに筆者の発表した音楽生理心理学的研究と音楽療法研究から, 次の3つを紹介する.
    (1) 「鎮瀞的音楽と刺激的音楽に対する情動反応」を自律神経系の指標で測定すると, およそ対照的な反応傾向が示された.しかし音楽専攻生は鎮静化されにくかった.心理学的調査と生理学的反応との対応は, 刺激度に関しては一致し, 鎮静度に関しては不一致もみられた.
    (2) 「反復音型の連続聴取による影響」は, 時間の長さによって知覚体制に変化が生じ (飽和ダイナミクスという) , 催眠を誘発したり, 行動変容をもたらす.
    (3) 「痴呆症のための活動的音楽療法」を実践して脳波を測定すると, 徐波化していた痴呆脳にα波が産出されて活性化を示し, 一方, 不眠や緊張の強い患者には緩和に役立つことが示された.重度痴呆音楽療法を通じて, 患者はまず言語能力を, 次に古い歌の歌唱力を失い, リズム機能は最後まで残存することを見出した.
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  • 浅野 幸久, 神山 五郎
    37 巻 (1996) 4 号 p. 480-483
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    過去30年間に日本国内に出願された特許, 実用新案につき, 吃音矯正機器を調べた.その結果, 15件を抽出した.これらの機器は, 1) 下腹に力を入れるようにする機器4件, 2) 意識を他にシフトさせる機器3件, 3) ゆっくり発語させるための機器1件, 4) その他7件に分類された.これらはいずれも注意転換法に基づく方法と推定された.
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