音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
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38 巻 , 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
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  • 石毛 美代子, 阿部 雅子, 新美 成二
    38 巻 (1997) 4 号 p. 329-336
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    発話時にのみ舌に異常な後退現象が生じ構音障害をきたした1症例の, 言語症状, 発話時における舌の動態, 診断, 治療および経過について報告した.
    構音検査では, 歯音, 歯茎音を中心とする子音および前舌母音で, 舌の後方移動によると考えられる歪みが聴取された.超音波断層法から発話開始とともに舌が後退し, 奥舌に隆起が生じることが観察された.構音器官に形態異常や運動障害は認められず, 頭部MRI等の画像診断を含めた神経学的検査, および精神科的検査の結果からも異常所見は認められなかった.
    この症例を機能的構音障害と診断し, 系統的構音訓練を行ったところ構音障害の軽快をみた.機能的構音障害の大半は構音習得途上において生じるが, 構音習得後に生じる例もあり得ること, また, 構音訓練の適応となり得ることが示唆された.舌の運動異常は, 口顎ジストニア (oromandibular dystonia) の範疇に分類すべきであると考えられた.
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  • 舘村 卓, 高 英保, 原 久永, 森本 知花, 平田 創一郎, 和田 健
    38 巻 (1997) 4 号 p. 337-343
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    スピーチエイドの鼻咽腔閉鎖機能の改善に関わる生理学的背景を明らかにするために, Bulb-PLP (Bulb attached Palatal Lift Prosthesis) を装着している口蓋裂術後症例4例を対象に, 母音/〓/, 鼻音節/m〓/, 閉鎖性子音音節 (/p〓/, /s〓/, ts〓/) の表出ならびに口腔内圧を2, 4, 6, 8cmH2Oに保ったblowingおよび可及的最大blowingを標的活動として, 装着時・非装着時における口蓋帆挙筋活動を検討した.
    装着時におけるblowing時筋活動は, 口腔内圧に対応して変化し, 発音時には健常者での語音ごとの筋活動の順序に近似するようになった.また, 発音時筋活動は, 実験を通じて得られた筋活動の最大値によって規定された全筋活動領域の40%以下の低い領域に分布し, 健常者同様の鼻咽腔閉鎖機能の予備能が形成されることが示唆された.
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  • 田中 美郷, 針谷 しげ子, 加我 君孝
    38 巻 (1997) 4 号 p. 344-356
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本論文は高度難聴を有する一重度精神遅滞児の聴覚およびコミュニケーションの発達にもたらす補聴器の効果について述べるのが目的である.
    子供は女児で, 生後11ヵ月のとき, 難聴が疑われてわれわれの臨床を訪れた.behavioral audiometryおよび聴覚発達テストからみて, 聴力は比較的良好であると推測された.しかしながら, 2歳7ヵ月のとき, 本児には進行性難聴があることがわかり, behavioral audiometryおよび脳幹反応聴力検査で80dB程度の高度難聴と判明した.本児はただちにわれわれのホームトレーニングに参加してもらい, ここで箱型補聴器を装用させた.補聴器活用によって最初に見れた効果は, 自発的な, 自己中心的発声活動であった.本児は落ち着きのない子であったが, 羊齢が増すにつれて若干指示に従えるようになってきた.16歳のとき, 精神遅滞が重度なため言語はまだ獲得できていなかったが, 母親によると本児が補聴器を活用しているかぎり親はコミュニケーションに困難を感じないとのことであった.この例の経験からわれわれは, 本児のような高度難聴を有する重度発達遅滞児に聴覚的コミュニケーションを保障するためには, 長期にわたる忍耐強い, リハビリテーションないし教育的サービスと, 親や学校教師およびその他の関係者の協力態勢の確立が不可欠であることを強調したい.
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  • 今井 智子, 山下 夕香里, 鈴木 規子, 道 健一
    38 巻 (1997) 4 号 p. 357-365
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    後天性構音障害のスピーチを評価する目的で, 内容の簡単な質問形式の文30項目から構成される文章了解度検査を考案した.本検査を口腔・中咽頭癌術後患者19例のコミュニケーション能力の評価に適用し, 口腔・中咽頭癌患者に接する機会の少ない一般成人 (歯学部学生) に聴取させたところ, 以下の結果を得た.1.今回考案した文章了解度検査は検査者間の得点にバラツキが少なく, 検査の信頼性が高かった.2.口腔・中咽頭癌術後患者のスピーチが文章レベルで了解される程度はかなり高かった.3.文章了解度と音節明瞭度との関連では, 相関はみられたが, 文章了解度の方が有意に高い値を示した.4.会話明瞭度との関連では, 有意な相関が認められたが, 同じ会話明瞭度を示した症例でも文章了解度は異なる値を示した.今回考案した文章了解度検査はスピーチが文章レベルで了解される程度を客観的かつ定量的に評価できる可能性が示唆された.
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  • 福田 友美子
    38 巻 (1997) 4 号 p. 366-369
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    日本手話の単語の認知について, 25名の聾者を対象にして, 短期記憶とゲイト法の実験を行った.その結果, 次のことがわかった.
    (1) 手話単語の短期記憶の誤りには, 手話言語の音韻レベルの誤りが多くみられ, 音声言語と同様, 日本手話でも認知の過程で音韻レベルの分析がなされていることが示唆された.
    (2) ゲイト法の実験からは, 手話の単語の認識で, 位置・手型の音韻がまず認識され, その後に運動が認識される.以上の過程で, 単語が同定されるということが示唆された.また, 手話の習得時期が早期のほうが, 手話動作の早い時点で単語が認識される傾向にあることがわかった.手話を早期に習得したほうが, 手話を認識する上で有利であることが示唆された.
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  • 清水 充子
    38 巻 (1997) 4 号 p. 370-376
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    言語治療士が摂食・嚥下障害のリハビリテーションに携わる意義を述べた.摂食・嚥下障害は中枢・末梢の問願に起因し, 多くの場合コミュニケーションの問題を併せ持っている.言語治療士は, 摂食・嚥下の機構に関する器官の解剖生理に詳しく, 発達・認知・心理的背景など高次脳機能的な側面との関連を踏まえて, 訓練プログラムを立案, 実行できる立場にあると考えられる.米国ではこうした観点から, STによるアプローチが1980年代以降活発にぐ展開されている.続いて諸外国でもアプローチを進める動きがみえている.わが国でのアプローチ1例として, 埼玉県総合リハビリテーションセンターでの摂食・嚥下障害へのアプローチを示した.過去2年間にSTに評価・訓練の依頼を受けた新規入院患者295例のうち, 54%に評価あるいは評価後訓練を行った.また, 外傷性脳損傷による慢性期重度嚥下障害の1例に対する約1年間の訓練経過を報告した.
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  • 田山 二朗
    38 巻 (1997) 4 号 p. 377-384
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    嚥下障害のなかから構音機能障害を合併している嚥下障害に対する手術治療を中心に述べた.
    手術治療の目的は, 誤嚥を防ぎ可能な限りの経口摂食を可能とすることであるが, 失われた機能を補助する手術的治療にも限界がある.嚥下障害がひどい場合には, 誤嚥を完全に防ぐ目的に気道と食道の分離を試みる手術療法が施行されることもある.
    嚥下障害の手術治療を決定する上では, 食道透視検査・嚥下圧検査・筋電図検査などによる十分な嚥下機能の評価が必要である.さらに, 治療法の選択において, 基礎疾患, 年齢, 嚥下障害の進行, 患者の希望, 生活様式や看護の状況なども考慮に入れる必要がある.手術のみで嚥下障害が完全に消失すると考えることは早計であり, 術後のリハビリテーションも重要である.
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  • 伊藤 裕之, 加藤 孝邦
    38 巻 (1997) 4 号 p. 385-389
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    高次脳機能や坐位の保持に障害のない非進行性疾患による13例の動的嚥下障害の機能訓練の有効性について検討し, 動的嚥下障害の機能訓練は有効との結論をえた.60歳未満の症例に機能訓練が有効である可能性が高い.発症後できるだけ早期に機能訓練を開始できる症例では機能訓練が有効である可能性が高い.発症から機能訓練開始までの期間が1年を経過した症例では機能訓練の有効である可能性は低い.しかし, このことは, 発症後1年間機能訓練を続けても回復しない症例が嚥下障害の外科的治療の適応となることではない.障害の受容ができていない症例では機能訓練を行っても効果は上がりにくい.片麻痺や過勢失調がないか, あっても軽度で移動能力に障害がない症例では機能訓練が有効である可能性が高い.咽頭食道透視検査で, 食道入口部が全く開大しない症例では機能訓練に多くは期待できない.
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  • 熊倉 勇美
    38 巻 (1997) 4 号 p. 390-395
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    舌切除後の1症例を提示し, 構音機能や摂食・嚥下機能の回復を目的とするアプローチの現状を紹介した.症例は舌癌のため舌3/5切除などの後, 大胸筋皮弁による再建術を受けた70歳の男性.術後1年3ヵ月を経過していたが, 言語治療を希望して受診.咀嚼, 口腔咽頭への食塊の送り込みに困難を来し, 経管栄養に頼っていたが, 咽頭期食道期に問題なくVFにて確認した後チューブを抜去した.約1年の構音訓練で舌や口唇の可動性の回復とともに明瞭度は30%台に改善した.そして術後2年5ヵ月の時点で補綴専門医のもとで舌接触補助床を製作し, 構音訓練も継続して行った.それにより明瞭度は40%台に改善したが, 上下顎義歯の違和感が強く食塊の形成, 保持がうまくいかず唾液も貯留しやすいため嚥下機能改善を目的に患側の口蓋部を膨隆させる工夫などを加えた.
    まだ十分に満足の行く結果は得られていないが, 継続して観察と調整を行っている.
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