音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
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40 巻 , 3 号
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  • 小山 正
    40 巻 (1999) 3 号 p. 193-208
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    象徴機能の発達により, 1歳を過ぎた頃には象徴遊びや言語がめざましく発達し, 1歳台後半にボキャブラリースパート (Vocabulary spurt: 以下VSとする) がみられる.VSには子どもの認知発達が大きく反映されている.本研究では, 1語発話期における子どもの認知発達 (特に他者認識の発達) とVSとの関連性を明らかにするため, ひとりの健常児を対象として, 子どもの日常生活における人形を用いた象徴遊びと言語発達を縦断的に観察した.
    その結果, 日常生活場面における人形を用いた象徴遊びには, 子どもの日常経験が遊びのテーマとして次第に取り入れられていった.そこには子どもの他者認識の発達が反映され, それとともに表出語彙の獲得に進展がみられた.VSは, 象徴遊びに他者のふりがみられ始めた後に起こった.VSがみられて, 人形を用いた象徴遊びでは, 現実経験の再現遊びが出現し, 遊びのなかでことばによる表示もみられ始め, 自立語2語による2語発話が出現した.人形を用いた象徴遊びは, 母親が子どもに対して日常的に行っている養育行動のふりへとその後変化し, 養育行動のふりでは, 実際に母親が行うように, みたて, マイム, ことばを駆使して遊びを精緻化することがみられた.このような遊びの過程で, 子どもはメタ言語能力を発達させるのではないかと考えられた.
    本研究の結果から, (1) 1語発話期における日常的経験の広がりが, 家庭での人形を用いた象徴遊び, 表出語彙の発達に影響していること, (2) 1語発話期にみられるVSには, 他者のふりを行うことにみられる他者認識や表象化能力の発達がかかわっていること, の2点が明らかとなった.
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  • 中島 悦子, 塩田 純一, 河村 満
    40 巻 (1999) 3 号 p. 209-216
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    左被殻出血で失語と右片麻痺を呈した多言語併用例を報告した (55歳, 右利き, 男性) .本例は, 言語の習得時期, 習得環境, 言語体系が異なり, 琉球方言―日本語標準語スペイン語併用者と考えられた.血腫除去術後, 習得したすべての言語で重度の運動性失語が認められた.言語間の重症度は, 従来の言語の習得・使用状況説に加えて脳の損傷部位や失語の病型が関与すると考えられた.本例の発話の回復は, 言語治療に用いかつ学校で学んだ標準語で良好であり, 妻が使用した母国語の琉球方言や親しんだスペイン語は不良であった.本例は, 琉球方言とスペイン語を聴覚的に習得したのに対し, 標準語は聴覚とともに日本語の文字として視覚的にも習得している.すなわち本例の言語間の回復の相違は, 従来の言語の習得条件, 使用状況, 心理的要因説に加えて, 脳の損傷部位や失語の病型, 習得方法が影響を及ぼし, さらに言語治療の有無でも回復に差が生じたと考えられた.
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  • 伊澤 幸洋, 小嶋 知幸, 加藤 正弘
    40 巻 (1999) 3 号 p. 217-226
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    仮名の読み書きは良好である一方, 漢字に失読失書症状を呈した失語例に対して, 漢字一文字の音読みの改善を目的に2種類の訓練法を適用し, 訓練効果の比較検討を行った.1つは当該漢字を含む熟語をキーワードとして対連合学習する訓練 (以下, キーワード法訓練) , もう1つは漢字一文字と読み仮名との対応を直接再学習する訓練 (以下, 非キーワード法訓練) である.2つの実験を構成し, 自然治癒の要因を統制した上で, 2種の訓練効果を比較した.実験1は5日間のキーワード法訓練, 実験2は5日間の非キーワード法訓練とそれに続く5日間のキーワード法訓練からなるA-Bデザインである.結果, キーワード法訓練では統計的に有意な効果が得られ, 訓練終了後もその効果が持続することが確認された.一方, 非キーワード法訓練では効果が得られなかった.キーワード法による音読は, 文字を直接音韻に変換する情報処理過程が障害された際, 文字から意味を経由して音韻にいたるルートによって文字から音韻情報を引き出す手法である.これまで仮名一文字の書字や音読の訓練手法として報告されてきたキーワード法が, 本症例では漢字の音読みにも利用可能であることが確認された.また, 本症例の症状から, 同じ形態から音韻への変換でも仮名と漢字では処理過程が異なり, 障害の程度に乖離がありうることが示唆された.
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  • 飯田 悦子, 宇野 彰, 加我 君孝, 中城 みな子
    40 巻 (1999) 3 号 p. 227-233
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 右上肢の運動麻痺を伴う右利き失語症者が非利き手で操作したWAIS-R動作性検査の特徴を探ることである.対象は右利き健常者, 右利き麻痺を伴う失語症者各16名.初めに, 右利き健常者のWAIS-R動作性検査の使用手を制限しない通常の条件と左手操作条件の結果を比べ, 次に, 上肢の巧緻動作が反映されない検査であるRaven色彩マトリックス検査 (RCPM) とWAIS-R動作性検査について失語症者と健常者の左手操作を比較した.その結果, 健常者においては通常の条件に比べ左手操作条件では「符合」「組合せ」の評価点, およびPIQが有意に低いことが明らかとなった.失語症者のWAIS-R動作性検査では健常者の左手操作に比して, すべての下位項目で有意に得点が低下していた.健常者に比べて右麻痺を伴う失語症者のWAIS-R動作性検査結果が低下する要因として, 失行症状, 一般の高次運動機能検査では検出できないような巧緻性の低下などが示唆された.
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  • 大塚 登
    40 巻 (1999) 3 号 p. 234-241
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    臨床における構音評価は複数検査者の聴覚判定の一致度によって通常なされるが, 複数評価者の確保は難しい問題である.同様に選別検査も訓練された複数検査者の確保, 静かな検査場の確保の問題がある.
    小学校低学年児の中には側音化構音によると思われる書字の誤りがみられるものがいること, 自己音声の単音聞き書き取りで一般児と同程度には正答できないことが報告されている.この事実をもとに, 次の手順を530人の小学1年生に実施し5人の側音化構音児を選別したので報告する. (1) 学級担任に書字検査を実施してもらう. (2) 言語指導員が書字検査で逸脱値をとった子どもに面接し, 聴覚判定を行う. (3) 同時に, 言語指導員が単音聞き書き取り検査を行う. (4) 筆者が面接し, 聴覚判定と単音聞き書き取り検査を行う.なお, 結果的には (2) の手続きは必要なかったと思われた.
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  • 新美 成二
    40 巻 (1999) 3 号 p. 242-247
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    声帯に病変があると, 声質が劣化することは衆目の認めるところである.そこで病的音声の生成の機構を知るためには声帯振動を子細に観察しなければならない.観察方法は数多くあるが, 中でもストロボスコピーは, その簡便さ, 安全さ, さらに経済性から臨床ではよく用いられる.しかし原理的に不規則な声帯振動の観察には適していないために, その臨床応用には自ずから限界がある.
    最近, 電子工学および計算機を用いた情報処理技術が進歩し比較的手軽に声帯振動を高速撮影をすることが可能になってきた.
    今回の報告ではこのような方法を用いることによって声帯振動と声の質との関係, さらに聴覚印象の異なる音声の生成機構について解説を行った.
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  • 山本 智矢, 山下 弘之, 宮崎 洋, 増田 孝, 池田 佳充, 真子 弘子, 小宮山 荘太郎
    40 巻 (1999) 3 号 p. 248
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 岩田 義弘, 岩田 重信, 高須 昭彦, 竹内 健二, 大山 俊廣, 加藤 久幸, 横山 尚樹, 齋藤 正治, 門山 浩, 戸田 均
    40 巻 (1999) 3 号 p. 249-259
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    声門下圧測定を含む, 空気力学的検査を行い, 各疾患ごとに空気力学的パラメーターについて, 正常・声帯ポリープ・反回神経麻痺・声門癌の1072例について臨床的評価を試みた.空気力学的検査は発声に関わる能力を, 高さ (基本周波数) , 強さ (音圧) , 呼気流率などを物理量として表すことである.日常臨床において, 他の検査所見とともに発声障害・発声困難の原因の究明や, 治療前後の比較, 手術の評価・経過観察にも有効であると考える.
    発声機能検査を行い個々の測定結果を比較した場合, 単一のパラメーターの値は発声機能の複雑な一面を示し, 疾患に特異的な結果を示さなかった.パラメーターを組み合わせることで, 声門閉鎖の状態などの病態を検討できることを示した.特に声門下圧の測定は, 喉頭抵抗, 声門下パワー, 喉頭効率などの直接的な算出に必要であり, 2次パラメーターの結果は, 発声障害の病態を評価する上で有用と思われる.
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  • 磯貝 豊
    40 巻 (1999) 3 号 p. 260-271
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    喉頭ストロボスコピーの臨床的意義は, 音声障害の原因が声帯振動の障害によるものなのかどうかを, 解析・診断することにある.
    発声は, 喉頭調節と呼吸調節が統合された行為であり, 人間は幅広い調節帯域 (発声可能帯域) を有しているので, 発声条件を考慮して, どのような発声条件のときに声帯振動の障害 (音声障害) が顕著になるか?を明らかにすることが重要である.
    デジタルサブトラクションX線ストロボスコピーを用いた前頭面からの観察によって, 人発声時の声帯振動の本質は, 声帯内側下面から上面外側に向かって連続的に移動する粘膜隆起を波頭とする進行波現象であることが明らかにされた.
    また, ストロボモーションアナライザーを用いた喉頭ストロボグラフィーによって, 喉頭ストロボスコピーの声帯振動画像と音声関連信号を同期的に記録し, 両者の関係を定量的・客観的に解析できるようになった.
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  • 今泉 敏
    40 巻 (1999) 3 号 p. 272-277
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    声の望み通りに制御しえる特性 (可制御性) を検査し, 音声治療の効果を評価する音響分析システムを開発した.これを使用して健常者音声, 各種音声障害者音声, 声楽音声を対象に, 基本周波数の遅いゆらぎと速いゆらぎなどの音響的特性を解析した.その結果, 音声障害者における声の可制御性の低下には疾患に応じた特性があることや, ラインケ浮腫患者の音声は音声治療によって有意に改善したことが示された.声の音響学的検査が声を望み通りに制御する機能の評価や音声治療の定量的評価に有効であることが示唆された.
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