音声言語医学
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42 巻 , 3 号
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  • 本庄 巖
    42 巻 (2001) 3 号 p. 205-212
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    人工内耳の最終目標は, 聴覚障害者に聴覚性言語によるコミュニケーションを獲得させることにある.人工内耳を介したかなり乏しい言語情報にもかかわらず, 良好な言語理解度は, 中枢での言語処理の重要性を示すものといえる.脳機能画像によって, 言語習得期後失聴者では側頭葉, 聴覚連合野の著明な活動がみられるが, 言語習得前失聴者では, 脳活動は一次聴覚野に限定されていることが示された.また視覚言語 (読唇) によって聴覚野の活動がみられた所見も, 脳の可塑性を示唆するものといえる.早期に人工内耳を装用した先天聾小児の観察の集積から, 彼らの言語理解力は健聴児のそれとほぼ等しいレベルに達することが示されている.また人工内耳装用者の表出言語能力は, 言語理解力のそれとよく相関することもわかっている.先天聾児の言語発達は, 小学校入学までの早期に人工内耳の装用を開始すれば, 一定の遅れはあるもののほぼ正常化するものと考えられる.音韻に関していえば, 母音だけでなく子音も装用後, 年とともに獲得され, 発語明瞭度でも補聴器装用のシルバー群 (裸耳聴力100~110dB) のそれに達する.また言語発達では装用5年後でもプラトーに達しないことがわかっている.このような表出, 認知両面における人工内耳装用者の著明な言語発達は, 言語習得期における脳の可塑性の意義を示すものといえる.したがって, 人工内耳適応のための他覚的な聴覚評価と装用後の言語のハビリテーション体制が人工内耳センターなどで確立されるようになれば, より早期での人工内耳手術が望まれる.
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  • 北川 洋子, 北原 哲, 田村 悦代, 古川 太一, 松村 優子
    42 巻 (2001) 3 号 p. 213-219
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    発声時仮声帯も振動する仮声帯発声について, 自験例の音声治療経過を過去の文献と比較し報告した.症例は66歳の男性で, 嗄声を主訴とし来院した.軽度の声帯溝症を伴った仮声帯発声の診断で, 喉頭ファイバースコープを用いた視覚的フィードバック法および音声訓練を実施した.初診より90日後の最終評価では仮声帯の接近は解消され, 声帯による声門閉鎖が得られ, 音声も良好となった.GRBAS評価においては全般的嗄声度Gは2から0へと改善し, ソナグラムの分析でも倍音波形の振幅が大きくなり, 櫛型の明瞭な調波構造となった.
    本例の仮声帯発声の原因は声帯溝症による声門閉鎖不全を代償するものと考えられた.ファイバースコープでの発声運動の視覚的フィードバック, 音声治療手技が有効であった.当院の仮声帯発声の症例は発声障害患者400例に対して5例, 1.2%であり他の文献と一致していた.
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  • 尾川 亜希子, 種村 純
    42 巻 (2001) 3 号 p. 220-226
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    読字を行う際, 音韻単位を意識する必要がある.本研究では, 小児が仮名文字言語を学習していく過程における読字能力と音韻操作能力の発達的関連性について検討するため横断的検討を行った.対象は3歳6ヵ月から9歳1ヵ月の健常児 (n=64) で, 仮名読字能力に関する検査と音韻操作能力 (分解・抽出・文字配列) の検査を行った.その結果, 健常児において各読字過程の能力が機能的な読字行為を成立させるために, 音韻操作能力の獲得が必要条件となることが明らかになった.また, 音韻操作能力も発達に伴い, 課題項目間の関連性が変化していくことが示された.
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  • 三枝 英人, 小西 知子, 岩本 容武, 新美 成二, 八木 聰明
    42 巻 (2001) 3 号 p. 227-234
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    音声障害を主訴に発見されたきわめてまれな甲状軟骨形成異常の1例を経験した.症例は50歳男性, 生来の音声障害に悩んでいた.本症例の音声障害は気息性成分の強い地声に, 声の翻転, フライ音声が突発的に, かつランダムに出現するというきわめて特異なものであった.喉頭ファイバースコープ所見では, 左側声帯遊離縁の幅が短く, 左側声帯が右側より高位に存在していること, 発声時に左右の披裂部が組み合わさるようにして閉鎖することが確認された.喉頭外表からの触診では上甲状切痕が喉頭隆起を越えて下方まで延長しており, 左側甲状軟骨板が陥凹しているように感じられた.喉頭断層写真, 喉頭CTからは, 左側甲状軟骨板が陥凹し, 左右の甲状軟骨板前方が喉頭隆起のやや下方のレベルまで離解していること, 左側声帯遊離縁の幅が短く, いわゆる唇状というべき形態を呈しておらず, また左側声帯のレベルが右側に比較して高位に存在することが指摘された.以上より, 甲状軟骨形成異常に伴う音声障害と考えられた.
    この症例に対し, 甲状軟骨形成術に対するmanual testが陽性 (左側で) であったので, 甲状軟骨形成術I型およびIV型を行った.術中, 左側甲状軟骨板が陥凹し, その表面に異常な血管の増生を認めた.また, 左右の甲状軟骨板上方が離解し, 左側輪状甲状間隙が拡大していることが確認された.術後, 著明な音声の改善を認めた.
    一般に喉頭奇形に伴っておこる音声障害は難治であるとされるが, 本症例のようにmanual testが陽性であれば積極的に甲状軟骨形成術を行ってみる価値があると考えられた.
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  • 伊藤 友彦, 香川 彩
    42 巻 (2001) 3 号 p. 235-241
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    文字獲得前の幼児の韻律単位の発達を, 語を自覚的に分節化させる方法を用いて検討した.刺激語は3音節6モーラ語3語であった.対象児は3~6歳の健常幼児80名 (各年齢20名) であった.音読課題の結果, 36名 (3歳児20名, 4歳児13名, 5歳児3名) が文字獲得前の段階であった.これらの幼児について以下の知見を得た. (1) モーラへの分節化が可能な幼児の割合は加齢とともに増加した.しかし, (2) 3語すべてをモーラへ分節化できた幼児は存在しなかった. (3) モーラと音節の両方に分節化できる幼児の割合が最も高かった. (4) モーラへの分節化が可能な幼児の割合よりも音節への分節化が可能な幼児の割合の方が高い傾向があった.これらの結果から, モーラは文字獲得前に加齢とともに発達するが, 文字を獲得した幼児ほど確立された単位となっていないこと, 音節とモーラの両方が文字獲得前の幼児に心理的に実在していることが示唆された.
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  • 阿部 雅子, 石毛 美代子, 熊田 政信, 高戸 毅, 新美 成二
    42 巻 (2001) 3 号 p. 242-248
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    小舌症と小下顎症を伴う症例 (23歳女性) の構音の状態を観察した.なお, この症例は1歳8ヵ月より5歳8ヵ月まで当外来で言語発達と構音の観察指導を行っていた.結果は以下の通りである.
    1.構音検査の結果は, /t, d, n, r/は口蓋化構音に近い歪み音になっており, /s, dz, ts/は上歯と下口唇でつくられていたが, これは5歳8ヵ月時の構音状態と同様であった.
    2.語音発語明瞭度は平均72.2%であったが, 舌尖を使う音の明瞭度は悪く, 軟口蓋音や口唇音に異聴されることが多かった.しかし, 文章の明瞭度は良好であった.
    3.構音動態をダイナミックパラトグラフとX線ビデオで観察した結果, 舌尖音産生時の舌は硬口蓋の後方から軟口蓋にかけて接していた.また, 下顎の動きにより口腔を狭くすることで, 舌が口蓋に接する部位を多くしたり, 下口唇を代償的に使うことが観察された.
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  • 川野 通夫
    42 巻 (2001) 3 号 p. 249
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 工藤 多賀, 斎藤 宏, 小寺 一興
    42 巻 (2001) 3 号 p. 250-256
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    当院で就学前に人工内耳埋め込み術を受け, 術後2年以上経過している中途失聴の小児7例において, 語音聴取能 (57s語表による語音明瞭度検査) や口話でのコミュニケーションカ (聴覚+読話でのWISC-R知能検査のVIQ) の発達を継時的に観察した.さらに, 人工内耳装用児の保護者にアンケート調査を行い, 人工内耳装用児の学校生活への適応状況について検討して, 以下の結果を得た.1.就学時の聴覚認知や聴覚音声でのコミュニケーションカが不十分な症例は, 学校適応が不良となった.2.術後2年以上経過した調査時点においても, 人工内耳装用児の語音明瞭度は補聴器装用の中等度~高度難聴児の明瞭度に相当していた.3.普通学級において, 人工内耳装用児に対する視覚情報を活用した配慮は少なかった.
    以上より, 人工内耳装用児に対して, 就学前からの一貫した難聴児教育と治療機関や教育機関のさらなる連携が必要と考えた.
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  • 大森 千代美
    42 巻 (2001) 3 号 p. 257-262
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    人工内耳幼児症例へは, 言語面だけでなく発達全般を視野に入れた援助を考慮しなくてはならない.今回は5歳代に人工内耳を装用した1例について, 術前から人工内耳装用後1年までの遊びや対人関係の発達, 聴覚を用いた話しことばや構音の獲得の4点について観察し, 幼児症例への援助の在り方を考察した.症例は1歳9ヵ月で補聴器を, 5歳11ヵ月で人工内耳を装用.術前から母親とことばでやりとりしながらごっこ遊びを展開しており, 人工内耳装用後は, 話題や状況から推測したり, 読話をすることで能動的にことばの聞き取りを補っていた.装用後1年間で多くの子音を自然習得した症例は, 友達とことばでやりとりするようになった.その過程をみると大人とのことぼのやりとりが育つ過程と共通していた.すなわち人工内耳幼児症例への援助としては, 術前から遊びを通して動作的理解やことばのやりとりを育てることが重要だと思われた.
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  • 中井 弘征
    42 巻 (2001) 3 号 p. 263
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 内藤 泰
    42 巻 (2001) 3 号 p. 264-271
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    聴皮質の一次聴覚野と聴覚連合野には細胞構築だけでなく, 発達期における髄鞘化においても明らかな差がある.ポジトロン断層法 (PET) で人工内耳を介した語音聴取中の言語習得前失聴者の脳賦活を観察すると, 一次聴覚野はある程度活動するが聴覚連合野の賦活は乏しく, 一次聴覚野の機能は先天的に規定される要素が強く, 聴覚連合野の発達は後天的な言語音聴取に強く依存していることが示唆された.また, 言語習得前失聴の小児でも人工内耳を使い続けることで聴覚連合野に語音認知の神経回路が発達し得るが, その発達は視覚言語の発達と競合する可能性がある.一方, 臨界期をすぎると語音認知の神経回路は長期間, 強固に保持されるが, 加えて, 人工内耳で符号化された語音の認知に際しては, 側頭葉の聴覚連合野だけでなく, ブローカ野や補足運動野の活動も亢進することが明らかになった.
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  • 42 巻 (2001) 3 号 p. 276
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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