音声言語医学
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45 巻 , 2 号
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  • 春原 則子, 宇野 彰, 山中 克夫, 金子 真人
    45 巻 (2004) 2 号 p. 99-105
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    軽度理解力障害の検出を目的に, 失語症者にとって一般的に理解がより困難とされる抽象語を用いた検査法を開発した.445名の健常者のデータに基づいて健常ノルムを作成し, SLTAの「口頭命令に従う」「書字命令に従う」の得点が良好な失語症者32名の結果と比較した.同時に失語症者や家族などから理解力障害に伴う困難さを, また担当の言語聴覚士 (ST) から臨床上の理解力障害の程度について聞き取り調査を行った.その結果, 対象とした失語症例は, 本検査の視覚的な理解については健常者と同程度に可能だったが, 聴覚的な理解については健常者の-2SDを下回る者がいた.また, 失語症者自身や家族などが理解力障害に伴う困難さを感じている群とそうでない群との間, STの臨床的な評価に基づく理解力障害の重症度群間で本検査の得点に相違が見られ, 本検査はこれらを反映しうる可能性が示された.
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  • 野中 信之, 越智 啓子, 大森 千代美, 高橋 伴子, 丸山 由佳, 漆原 省三, 酒井 俊一, 中島 誠, 川野 通夫
    45 巻 (2004) 2 号 p. 106-114
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    ことぼと対人的適応の基盤である情動的認知の発達が遅れた難聴児は, 遊び相手に視線を向けること (注視行動) が少なく, 言語獲得が困難である.本研究ではそのような症例で重度難聴の子どもの遊びと言語獲得の特徴, そして療育の要点を情動的認知の発達が良好な症例と比較した.その結果, 情動的認知の発達が遅れた子どもの当初は, 相手と関わることが少ない, 象徴遊びの出現が遅い, 一人遊びとしての象徴遊びが多い, イメージの展開が乏しいという特徴があった.しかし本園での療育で, 子どもは相手との関係を能動的につくり出し, それを繰り返し試す行動 (対人的循環反応) や注視行動を示すようになり, やがて「対人的循環反応と象徴遊びとの中間型」の性質をもつ遊びの出現を経て相手遊びとしての象徴遊びが増加に転じ, 平行してことばが増加した.しかしその言語獲得には, 3ヵ年を要するなど緩慢で, 良好例が読話での言語理解にいたったのに比べ, 遅滞例は指文字・身振り・手話を必要とした.
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  • 堀 彰人, 宇野 彰, 酒井 厚
    45 巻 (2004) 2 号 p. 115-124
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    学習障害のある子どもへの支援における教育と医療との連携に関する研究である.C県の「ことばの教室」担当教師を対象に, 質問紙調査を行い分析した.その結果, 全体的に連携に対する必要性意識は高いが, 実際の連携経験は少なかった.学習障害のある児童の支援をした経験がある教師は, 経験のない教師より学習障害に関する研修を受けたりアセスメントを行ったりすることに積極的であり, 指導に自信をもち, 連携先に関する情報も多くもっていた.パス解析では, 「教育から医療への援助要請」にいたるパスは, 「研修参加への積極性」, 「保護者・担任との情報交換の活発さ」, 「アセスメント実施頻度の多さ」, 「知識獲得への自発性の高さ」と正の関係が認められた.反対に, 「指導に対する自信の低さ」とは負の関係が認められた.「教育から医療への援助要請」から「教育と医療との双方向的連携」にいたるパスも有意であった.学習障害に関する研修を受講する機会を多く設けることや, アセスメントが適切に行えるような支援を行うことがC県の教育と医療との連携を促進する要因と考えられた.
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  • 金 東順, 伊藤 友彦
    45 巻 (2004) 2 号 p. 125-130
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究は子音で始まる語と母音で始まる語で吃音の生起率が異なるかどうかを中心に韓国語と日本語の吃音を比較したものである.対象児は韓国語を母語とする吃音児15名と日本語を母語とする吃音児20名であった.6コマの連続絵と1枚の情景画を用いて発話を収集し, 分析した.本研究の結果, 以下の点が明らかになった.1) 韓国, 日本の対象児における吃音の生起率はともに母音で始まる語のほうで高い傾向があった.2) 吃音の繰り返し単位をC (頭子音) , (C) V (核母音まで) , (C) VC (尾子音まで) の3つに分けて比較した結果, 韓国, 日本の対象児はともに (C) Vを単位とする繰り返しの生起率が有意に高かった.上記2点は従来の英語において得られている結果と異なるものであった.これらの結果から, 吃音は音節構造など, 個別言語の言語学的特徴と密接に関連して生じている可能性が示唆された.
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  • 福田 友美子
    45 巻 (2004) 2 号 p. 131-138
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    手話言語を学習しやすくするために, 基本単語について, おのおのの単語のもつ語義を分類して, それぞれの語義に対応する例文を, ビデオ画像とともに提示する「日本手話一日本語辞書」を作成した.まず, (1) 使用頻度が高いこと, 次に (2) 手話独特の単語の用法をもつ単語であることを条件に, 辞書に掲載する基本単語250種を選定し, それらの単語について, 語義に関する分類を行い, 語義ごとにそれらの例文を作成して, 単語ごとに表示するようにした.1400ぐらいの例文が含まれている.手話表現については, 手話表現ビデオ (動画ファイル) を表示するほかに, 手話表現に関係する身体部位の動きについて (1) 単語のラベル, (2) 頭・体の動き, (3) 眉の形, (4) 目の形, (5) 口形を5行に分けて, 分析的な記述も載せた.また, 必要な場合には, 単語の文法的な説明も載せた.本辞書の動作環境はOS: Windows XP, 2000 (Me, 98) , メモリ: 128MB以上, CPU: Pentium III以上, HDDの空き: 5GB以上, 配布媒体: DVD.
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  • 牛嶋 達次郎
    45 巻 (2004) 2 号 p. 139
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • 牧山 清
    45 巻 (2004) 2 号 p. 140-145
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    音声外科手術の選択や適応は疾患により異なる.手術例の多い声帯ポリープ, 片側喉頭運動麻痺, ポリープ様声帯, 声帯結節に対して具体的な手術の適応や選択について述べる.声帯ポリープは初期の例を除いて手術適応がある.手術の方法は外来で行うファイバー下手術と入院で行うラリンゴマイクロサージェリーがある.ポリープの部位や形状, 麻酔方法, 患者の意向などを考慮し, 手術法を選択する.片側喉頭麻痺では音声治療と手術治療を単独, あるいは組み合わせて行う.手術治療には複数の方法があり, 個々の患者の病態に適した手術法を選択すべきである.ポリープ様声帯では禁煙を含めた声の衛生指導が重要である.呼吸障害を合併するような重症例では手術適応がある.声帯結節に対しては音声治療と手術治療を組み合わせて考える.手術治療単独では再発の可能性があることをあらかじめ説明しておく.このように, 医師は, 標準的治療法, 合併症, 手術後の経過などの情報を提示し, 個々の患者に適した助言を行う.最終的に治療法を決定するのは患者自身である.
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  • 小池 三奈子
    45 巻 (2004) 2 号 p. 146-152
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    音声の障害は器質性・機能性の要因が複雑に組み合わさって起こることが多いため, より質の高い医療を目指すには耳鼻咽喉科医と言語聴覚士 (ST) を中心としたチーム医療が不可欠である.外科的治療・薬物療法・音声治療のうち, STは声の衛生指導と音声訓練を含む音声治療を担当する.治療の適応についての判断や適切な治療方法の選択, 治療の限界を含めた目標設定等について, 医師とSTが共通の理解をもち, 患者へのインフォームドコンセントを徹底して治療を行う.音声治療の対象として機能性音声障害 (心因性を含む) があり, これは外科治療の対象にはならない.また声の濫用が原因の声帯結節などに対しては音声治療が第一に勧められる.喉頭麻痺による声門閉鎖不全例には, 音声外科と音声治療との併用が有効なことが多い.治療におけるSTの関与について, 喉頭麻痺と声帯結節を中心に述べ, 無喉頭音声のリハビリテーションについても触れる.
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  • 磯貝 豊, 福田 宏之, 久 育男, 楠山 敏行, 宇野 敏行, 藤本 裕一, 馬場 均
    45 巻 (2004) 2 号 p. 153-161
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    ラリンゴマイクロは, 喉頭直達鏡下に顕微鏡を用いて微細な手術を行うことを目的として開発された術式である.声帯ポリープのラリンゴマイクロにあたっては, 1) 喉頭原音生成の原理, 2) 声帯振動の本質, を理解する必要がある.声帯振動の本質は, 声帯内側下面から上面外側に向かって連続的に移動する粘膜隆起を波頭とするtraveling wave (進行波) 現象である.
    声帯ポリープのラリンゴマイクロの目的はポリープを切除することによって声帯振動を正常化することである.声帯ポリープの病変は粘膜固有層浅層に限局しているので, 〈取り残さない〉ように手術することはもちろんであるが, 〈取り過ぎ〉による創傷治癒の障害―陥凹 (欠損) や瘢痕化や癒着など―を起こさないように手術することが原則である.取り残した場合は再手術による修復が可能であるが, 取りすぎてしまった場合は修復が困難だからである.
    鉗子で切除する国際医療福祉大学東京ボイスセンターの福田宏之教授の手術手技とメスで切除する京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室の久育男教授の手術手技を紹介した.手術の原則は共通だが手技は対称的に異なっていた.
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  • 高橋 智子
    45 巻 (2004) 2 号 p. 162-167
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    医療分野におけるCP (critical path) は, 1980年代に米国の病院で始まり, 日本ではclinical pathとも呼ばれている.
    CP導入のためには, チームを編成し, 導入の目的を組織として明確にする必要がある.また, 疾患を選択し, どのような患者層に使用するのか, 対象患者層を明確にし, ケアの内容を充実する必要がある.
    CP導入のメリットは, 情報開示におけるインフォームド・コンセント, 患者参加型医療, 医療ケアの標準化, 共通言語としてのコミュニケーション・ツール, 在院日数の短縮, チーム医療推進, 新人スタッフのオリエンテーション, 退院計画プランがある.
    デメリットは, 個性の配慮に欠けることやすべての疾患向きではないこと, 教育・研究との兼ね合いが挙げられる.また, CP使用時には, バリアンス (CPからの逸脱した状態) が発生した場合, CPを中止しなければならない.
    音声外科的治療において, 当院では平成13年2月から声帯ポリープ (一部のポリープ様声帯と結節) で喉頭鏡下細微手術を受ける患者に対して, CPを使用している.平成14年4月~平成15年3月における声帯ポリープと声帯結節の手術患者51名に対して, CP使用患者は38名であり, バリアンス発生によりCP中止になった症例は, 2名 (発声への不安, 疼痛コントロール, 本人の希望による入院期間の延長) であった.
    手術後の沈黙療法期間中には, 症状や訴えを筆談で行うことから, 患者が遠慮がちになることを看護サイドが常に念頭におき, また, 面会者や他の患者・医療従事者に沈黙療法中であることを知らせ, 創部の安静を守りやすくする対応も必要である.当院では, 沈黙療法表示カードの導入を試み, 効果を得た.
    また, 第26回東日本音声外科研究会では, 患者の満足度の調査結果が発表されており, 疾患による特殊性, 手術法の難易度, 患者の性格などの項目に関して, 不満の原因が報告されている.その解決策の一つとして, CPの導入が有効と考えられる.バリアンス発見時に, その原因を探究・分析することが, 質の保証へとつながり, 患者満足度の向上とともに医療事故の防止に貢献すると考える.
    情報化が進んだ現代の医療は, 高度専門化している.その一方で, 患者・家族の欲求も多様化しており, 全人的な医療が求められている.病院の各職種が専門性の発揮・調整・連携強化した「チーム医療」が重要であり, 看護師は, 患者と最も接点が多く, チーム医療全体の調整者としての重要な役割が求められている.
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  • 大森 孝一, 山下 勝, 田中 信三, 安里 亮, 森 裕子, 岩城 忍, 横山 慶子, 多田 靖宏
    45 巻 (2004) 2 号 p. 168-172
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    音声外科手術はデイ・サージャリーの良い適応である.平成8年から5年間に, 西神戸医療センターで行った局所麻酔下の喉頭内視鏡手術260例のうち, 225例 (87%) で手術を完遂できた.声帯ポリープ40例では術後の発声機能は改善し良好な成績であった.京都大学病院では平成12年にデイ・サージャリー診療部が設置され, クリニカルパスを作成して運用している.術前, 術後に患者インタビューをし, リスク, 手術の受け入れ, 心配事の表現, 声の制限が可能か, などを評価する.術後, 音声改善が不十分な場合は薬物治療や音声治療を行う.音声外科手術は比較的低侵襲だが, 合併症に局所麻酔でリドカイン中毒, 全身麻酔で喉頭痙攣などがあり, 詳細な手術の説明と記録により医事紛争の予防を図る.音声外科的治療プログラムの構築には, 耳鼻咽喉科医のリーダーシップにより, 麻酔科医, 言語聴覚士, 看護師などを含めたチーム医療が重要である.
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  • 芦澤 直文
    45 巻 (2004) 2 号 p. 173
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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