聴覚活用による早期療育を受けた難聴児101人の6歳時点でのWPPSI知能診断検査結果について検討を行った.難聴児はいずれも知的には正常範囲 (動作性IQ90以上) で, 聴力は43~135dBの範囲であった.
言語性下位検査の分析では, 「類似」の評価点が有意に高く, 「理解」の評価点が有意に低かった.また, 言語性IQが70以上の難聴児では, 「知識」の評価点も有意に高かった.以上の結果から「類似」は難聴児にとって得意な課題であり, 「理解」は不得意な課題であり, さらに言語性IQ70以上の難聴児では「知識」は得意な課題であると結論できる.
動作性下位検査の分析では, 難聴児にとって「迷路」は応答しやすい課題であり, 「動物の家, 絵画完成」は個々の難聴児の能力差が出現しやすい課題であることが示された.
これらの知見は, 難聴児のWPPSI検査結果を解釈, 判定するために有用であると思われる.
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