音声言語医学
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53 巻 , 3 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
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総説
  • 兵頭 政光, 西窪 加緒里, 弘瀬 かほり, 岩村 健司, 高橋 朝妃, 中平 真矢
    53 巻 (2012) 3 号 p. 167-170
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    嚥下障害患者は診療所,一般市中病院,および大学病院等の基幹病院などさまざまな医療機関を受診することから,おのおのの機能に応じた役割が求められる.大学病院においては,まず,嚥下障害の病因および病態診断が重要である.われわれが提唱している嚥下内視鏡検査のスコア評価法は,障害様式や重症度を客観的に判定することができ,経口摂取の可否の判断にも有用である.嚥下障害に対する専門的治療では,患者自身や家族でも実施可能なリハビリテーション手技の指導とともに,外科的治療により経口摂取の回復や嚥下性肺炎の防止を図っている.薬物治療など新規治療法の開発やその評価も重要な役割である.また,若手医師・コメディカル・学生の教育および,嚥下障害に対する地域での診療連携体制の構築や市民への啓発活動も大学病院の責務として積極的に取り組んでいる.
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  • 楠山 敏行, 福田 宏之, 木村 晋太
    53 巻 (2012) 3 号 p. 171-176
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    声門閉鎖不全に対する代表的な外科的治療法の一つに声帯内注入術がある.わが国では注入物質としてシリコンが頻用された後,今日までアテロコラーゲン,自家脂肪,リン酸カルシウム骨ペースト等が用いられてきた.さらには分子生物学的アプローチとして増殖因子の注入も試みられている.どの注入物質にも長所と短所があり,理想的なものはいまだ存在しない.
    われわれは,注入材料の新たな可能性としてヒアルロン酸に注目し治療に用いてきた.今回,13例の声門閉鎖不全に対し声帯内ヒアルロン酸注入術を施行し,その適応と限界について検討し,以下の結論を得た.
    1.特に振動部声帯の質量補正を目的とした注入材料としての有効性を示唆した.
    2.他の注入材無効例にも有効性を示した.
    3.声帯の内方移動を目的とする場合はhard typeまたは他の術式が望ましい.
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  • 羽石 英里
    53 巻 (2012) 3 号 p. 177-182
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    職業歌手における音声障害の意味を知るために,オペラ,ミュージカル,ジャズ,ポピュラーを含むさまざまなジャンルの職業歌手9名を対象にインタビューを行った.インタビューでは,まず望ましい歌唱時の状態・身体感覚・筋感覚を言語化してもらい,次に望ましくない状態,すなわち音声障害の様子と,耳鼻咽喉科の受診等について語ってもらった.望ましい歌唱時には,呼吸の適切なコントロールにより,発声・共鳴も含めた歌うことのシステム全体が調整されていること,喉頭がリラックスした状態にあることなどが,歌手たちの言語表現から推察された.職業歌手は歌うためにさまざまな筋肉を使う「アスリート」であり,音声障害には,身体全体の調整不良が背景にある場合が考えられる.コンサートをキャンセルできない等の職業歌手に特有な「労働環境」,歌うことを職業とするがゆえの不安・ストレスへの理解も,職業歌手の音声障害への対処にあたって重要と思われる.
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  • 泉 修司
    53 巻 (2012) 3 号 p. 183-186
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    蝸牛神経から大脳聴覚野にいたる中枢聴覚伝導路は聴覚情報処理に重要な役割を果たしており,その障害によって語音弁別能の低下,聴覚失認などさまざまな症状を呈する.しかしその構造は視覚や体性感覚などと比較して非常に複雑であり,生体においてその解明を行うことは困難であった.
    拡散MRI軸索画像は,従来困難であった聴覚伝導路の評価を,非侵襲的に行うことができる方法である.脳梗塞の超急性期診断に用いられる拡散強調画像と同じ原理により,神経細胞の軸索における軸索流などの微小な動きをとらえ,通常のMRIでは区別できない神経の走行を画像化する.
    われわれは本手法を用いて,正常聴覚伝導路の構造を描出することに成功した.また中枢性聴覚障害の詳細な部位特定も可能となった.さらに拡散係数の測定,拡散テンソル解析など神経機能の定量化も今後期待される.本手法は高次聴覚機能研究の発展にとって有用な技術であると考える.
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  • 荒木 幸仁, 冨藤 雅之, 鈴木 洋, 塩谷 彰浩
    53 巻 (2012) 3 号 p. 187-193
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    当科ではBIOPEX(リン酸カルシウム骨ペースト)を用いた声帯内注入術を施行している.キットとして市販され準備や注入手技が簡便,すぐ硬化し吸収はきわめて軽微であり,長期間安定した効果が得られる.硬化する性質を利用し,後部声門閉鎖不良例に対する披裂軟骨内転効果も期待できる.拡張型喉頭鏡にて喉頭展開を行い,ビデオ喉頭鏡システム下で注入を行うことで,声帯全体の良好な視野を得ながら器具の干渉も少なく確実な注入が可能となる.注入後は硬化まで鉗子にて固定し,確実な披裂軟骨内転効果を得ることができる.治療成績も良好で,最大発声持続時間・平均呼気流率で有意な改善を認めている.また披裂軟骨内転効果を生かし,両側声門BIOPEX注入による声門閉鎖術を考案し,良好な経過をたどった症例を紹介する.BIOPEX声帯内注入術は経口的な甲状軟骨形成術I型と披裂軟骨内転術の要素を併せもった術式であると考えている.
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原著
  • 村尾 愛美, 松本(島守) 幸代, 伊藤 友彦
    53 巻 (2012) 3 号 p. 194-198
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    日本語を母語とする特異的言語発達障害(SLI)児の言語知識の特徴については不明な点が多い.本研究では,SLI児2例(A児とB児)の自然発話における格助詞の誤用の特徴について構造格と内在格の視点から検討した.その結果,A児,B児ともに,構造格の格助詞の位置で生じる誤用のほうが内在格の格助詞の位置で生じる誤用よりも有意に多かった.この点は従来の聴覚障害児を対象とした研究の結果と一致していた.しかし,構造格の格助詞の位置に生じる誤りにおいては,両児とも,他の構造格の格助詞に置換する誤りと内在格の格助詞に置換する誤りに差が見られなかった.この結果は,構造格の格助詞の位置に内在格の格助詞が挿入される誤りがほとんどなかったという聴覚障害児を対象とした研究の結果と異なっていた.本研究の結果から,SLI児では,聴覚障害児ほど,構造格と内在格の違いに関する知識が十分には獲得されていないことが示唆された.
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  • 都筑 澄夫
    53 巻 (2012) 3 号 p. 199-207
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    進展段階第4層まで進展した発達性吃音の軽減・改善例の報告は少ない.都筑(2002)は第4層の吃音者も改善しうると報告しているが,軽減・改善過程はいまだ明らかになっていない.本研究では訓練開始時に8歳から50歳の発達性吃音第4層の21例に系統的脱感作を組み込んだメンタルリハーサル法を用いた場合の訓練効果と軽減・改善過程について検討した.結果は生活場面での“恐れと行動の状態”および“発話の状態”に対する7段階(または4段階)尺度による被訓練者の主観的評価にて10例は正常域に達した.
    第1層は学童で1例,2層にいたったのは5例,3層は1例,4層にとどまったのは4例であった.学童の改善過程は進展段階を遡った.しかし成人例では第1層の状態を示さずに2層から正常域に達した.第2層ではブロックが出ても発話症状を気にせず話す行動が出現した.また第2層に戻った状態下では自己の発話に注目する行動が残った例と消失した例があり,進展時の第2層でも自己の発話等に注目する段階としない段階がある可能性が示唆された.
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  • 小泉 めぐみ, 北原 伸郎, 鈴木 康司
    53 巻 (2012) 3 号 p. 208-211
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    混合性喉頭麻痺は,喉頭麻痺に他の脳神経麻痺を合併したものと定義されている.
    今回われわれは,頭部打撲を契機に混合性喉頭麻痺を発症したが明らかな頭蓋底骨折等を認めず,原因特定に難渋した1例を経験したので報告する.
    症例は72歳女性である.転倒し,顔面を打撲した直後から嗄声,嚥下困難,鼻咽腔逆流が出現した.両眼瞼周囲に擦過傷と皮下出血斑があり,左軟口蓋麻痺,左咽頭の知覚低下,左喉頭麻痺を認めた.画像検査,髄液検査,血液生化学検査で有意な所見はなかった.ステロイドを投与したが著効せず,誤嚥が続くため胃瘻を造設した.発症から約3ヵ月で軟口蓋麻痺は改善し,3~4ヵ月で経口摂取が可能となった.
    本症例は頭部打撲を契機に発症したため,頭蓋底骨折を疑ったが,画像検査で異常はなかった.このため神経内科と種々の検査も施行したが,原因は特定できなかった.比較的軽微な頭部打撲によっても混合性喉頭麻痺をきたしうると考えた.
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  • 小坂 美鶴
    53 巻 (2012) 3 号 p. 212-218
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    3歳1ヵ月~6歳1ヵ月の典型発達児117名を生活年齢別に6群に分類し,40語の絵カード呼称課題における語彙の誤りを分析し,語彙獲得の経過を語形態と意味的側面から横断的に検討した.語彙の誤りの種類は意味的関係,機能的要素,無関連語の3項目とした.さらにそれぞれを下位分類した.40語の正答数は生活年齢との相関が認められ,生活年齢が高いほど有意に高く,4歳後半以降は産出語彙数の量的安定が認められた.3歳前半群の誤りは無関連が最も多く,次いで上位語,等位語といった意味的関係が多かった.3歳後半群では無関連が減少し,意味的関係の誤りが多かった.全体的な誤り数は徐々に減少したが,意味的関係,機能的要素の誤りは5歳後半群にも見られた.4歳後半以降は幼児語や擬音語の減少も急激に見られ,知覚的属性から脱却し,質量ともに語彙獲得の転換期と考えられた.本研究の結果から語彙獲得が年齢とともに概念化され,語形態が成人語として増加していく過程が明らかとなった.
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  • 中津 真美, 廣田 栄子
    53 巻 (2012) 3 号 p. 219-228
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    聴覚障害の親をもつ健聴の子ども(CODA)における親への通訳役割は,情報伝達にとどまらず親と社会との仲介役を担い,親子関係の形成に影響を与えることが指摘される.本研究では,CODAの児童期から成人期の通訳経験を通して形成された親子の認識とその変容を,質的側面から明らかにした.CODA成人25名,聴覚障害の親19名を対象とし,個別の半構造化面接(M-GTA)を用いて解析した.
    その結果,逐語録320,849文字から概念27種,カテゴリ6種,サブカテゴリ6種が生成された.CODAは児童期では無意識に親を擁護し,青年期では通訳と親に葛藤を生じさせるが成人期には受容した.親は,CODAの児童期と青年期ではCODAの通訳を頼るものの成人期では自立を志向する姿勢であった.CODAが,児童期に親を擁護する認識および成人期に親を受容する契機には独自性があった.親の受容にいたる心理的自立時期は個人差を示した.
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症例
  • 金子 真美, 平野 滋, 楯谷 一郎, 児嶋 剛, 水田 匡信, 倉智 雅子, 城本 修, 伊藤 壽一
    53 巻 (2012) 3 号 p. 229-235
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    瘢痕声帯・声帯溝症の病態は声帯粘膜の硬化にあり,有効な粘膜波動が阻害され音声障害が生じる.しかし現時点で確立された治療法はない.今回われわれは瘢痕声帯・声帯溝症に対し音声治療を行い,音声症状の改善を認めた症例を経験した.症例は,2010年6月から2011年6月に当科を受診し,瘢痕声帯・声帯溝症に対し音声治療を行った3例である.この内2例は塩基性繊維芽細胞増殖因子注入後6ヵ月を経過し粘膜波動の改善を認めたものの,音声疲労症状のさらなる改善を希望した症例である.他1例は嗄声の改善を希望した初診の患者である.声の誤用が粘膜波動の減弱に関連があると考えられ,声の誤用改善を目的に音声治療を施行し,過緊張性発声を緩和させ,声域拡大訓練としてVocal Function Exerciseの原理を応用した.音声治療後,全例に粘膜波動と自覚的評価の改善を認めた.音声治療によって音声症状が改善されたと考えられた.
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