音声言語医学
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67 巻, 1 号
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総説
  • ─Dysarthria診療の手引き2023年版のクリニカル・クエスチョンより─
    田中 康博, 田村 俊暁, 椎名 英貴, 藤田 賢一, 苅安 誠, 中川 尚志
    2026 年67 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/10
    ジャーナル 認証あり

    「Dysarthria診療の手引き2023年版」からの2つのクリニカル・クエスチョン(CQ)を解説し,具体例を示した.2つのCQはともに臨床家が多面的な視点をもつことが重要で,音声言語にとどまらない知識とアプローチが必要となる.
    評価の留意事項(CQ07):評価においては発声発語器官や発話症状の把握にとどまった評価ではなく,疾患特徴や全身状態にも評価の視点を拡げておきたい.包括的な評価を行うことで,疾患の推察や予後予測にまでつなげることができる.
    AACの導入(CQ31):AACシステムの導入は,可能な限り早期に検討すべきだが,全例に対して一元的に行うことが正しいとは限らない.特に進行性の神経変性疾患の患者では,発話以外の手段に移行することが負のイメージを与え,心理面の低下を招くことがある.コミュニケーション手段の確保のみにとどまらず,心理面を考慮した幅広い知識と寄り添う気持ちが求められる.

  • ─Dysarthria診療の手引き2023年度版のクリニカル・クエスチョンより─
    田村 俊暁, 田中 康博, 苅安 誠, 椎名 英貴, 藤田 賢一, 中川 尚志
    2026 年67 巻1 号 p. 9-17
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/10
    ジャーナル 認証あり

    Dysarthria診療の手引き2023年版の2つのクリニカル・クエスチョン(CQ),dysarthriaに伴う発話異常に対する構音訓練(CQ26)と話し方の指導(CQ27)は,発話明瞭度の改善を目的とし,主に構音の明瞭性に焦点を当てて実施される.構音訓練は,異常な構音パターンを調節することで,構音の正確さを高めることを目標とする.構音訓練には,ミニマルペアを区別して発話させる対照的生成ドリルや,知覚的に許容可能な語の生成を目指す明瞭度ドリルがあり,多くの場合代償的構音を用いる.話し方の指導は,話者が新しい発話様式を習得するのに役立ち,構音訓練を組み合わせることで相乗的な効果が期待できる.発話様式には,大きな声で話す,短く区切って話す,ゆっくりと話す,はっきり話すがある.特に,ゆっくり話すための発話速度の調節法は,明瞭度の改善に即時的効果が期待できるが,症例に適した指導とより般化しやすい方法の選択が臨床家の課題である.

  • ─Dysarthria 診療の手引きの解説─
    椎名 英貴, 田村 俊暁, 田中 康博, 苅安 誠, 藤田 賢一, 中川 尚志
    原稿種別: 総説
    2026 年67 巻1 号 p. 18-26
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/12
    ジャーナル 認証あり

    Dysarthria(発語運動障害)は,発声・構音・プロソディーの障害を伴い,発話明瞭度の低下を招く.構音時の音の誤りは明瞭度低下に大きく影響する.本稿では「Dysarthria診療の手引き2023年度版(Clinical Practice Manual for Dysarthria 2023)」のクリニカル・クエスチョンで示された,dysarthriaにおけるリハビリテーションの目標設定と音の誤りの特徴を解説し相互の関連性を示す.リハビリテーションの目標は,国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health: ICF)に基づく包括的視点を取り入れ,心身機能,活動,参加の各側面に適合する形で設定されるべきである.構音の評価にあたっては鼻音化,構音点の誤り,無声・有声の交替などの特徴を整理し訓練戦略につなげることが重要である.症例を通じて誤り音の分析とSMART基準に基づく目標設定の実践例を提示する.適切な評価と介入を通じて,患者のコミュニケーション能力の向上を図ることが,本領域の課題である.

原著
  • 田口 亜紀, 阿部 百花
    原稿種別: 原著
    2026 年67 巻1 号 p. 27-36
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/12
    ジャーナル 認証あり

    音声治療は行動変容法に基づいており,患者のアドヒアランスをいかに高めるかが課題の一つとされている.本研究では,音声機能検査コンピュータースピーチラボ(CSLTM)の音声訓練ゲームソフトVoice Gamesを用いて音声訓練を施行し,その有効性を検討した.対象は嗄声のない県立広島大学学生31名(男性15名,女性16名),平均年齢は20.4歳であった.
    Voice Gamesの周波数・音圧訓練を用い,訓練前後の音声機能(最長発声持続時間(MPT),生理的声域,音圧域,AC/DC比)を比較した.また,訓練回数を10回群・20回群に分け,訓練効果の違いを検証した.訓練による音声疲労は,Vocal Fatigue Index(VFI)にて検討した.結果,周波数訓練,音圧訓練の両方で生理的声域が拡大した.音圧訓練では,AC/DC比上昇を認め,Voice Gamesによる即時的効果が確認された.訓練回数では,音圧訓練後の生理的声域のみ20回群で訓練効果が大きかった.VFIによる疲労度の検討では訓練回数による差は認めなかった.
    本研究の結果より,Voice Gamesを用いた音声訓練の有効性が期待できると考えられた.

  • 春原 則子, 宇野 彰, 後藤 多可志
    原稿種別: 原著
    2026 年67 巻1 号 p. 37-42
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/12
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は,語彙力が健常平均−1SD以下の日本語話者の発達性ディスレクシアのある児童における,聴覚法による漢字書字学習の有効性について検討することである.読み書きに関する認知機能と漢字書字の成績に有意差のない,音声言語の語彙力に問題のない12名(良好群)と語彙力が弱い12名(不良群)において聴覚法による漢字書字練習を実施した.群,練習方法,評価時期(直後,1ヵ月後,3ヵ月後)の3要因分散分析の結果,群の主効果は認められず,練習方法と時期の主効果および,練習方法と評価時期の交互作用が有意であったことから,語彙力が十分ではない発達性ディスレクシア児においても,漢字書字練習に聴覚法を導入しうることが示唆された.

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