日本医真菌学会雑誌
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34 巻 , 3 号
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  • 石崎 宏
    1993 年 34 巻 3 号 p. 243-251
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    Sporothrix schenckiiCeratocystis stenoceras, 皮膚糸状菌, 黒色真菌についてミトコンドリアDNA (mtDNA) 分析を行った。本邦のS. schenckiiはmtDNAの制限酵素切断パターンから11タイプに分けられ, またタイプと分離地域とに関連がみられた. さらにS. schenckiiC. stenocerasとは極めて近縁であるが別種であることが明らかとなった. 皮膚糸状菌では異なった種が同一の切断パターンを示す例があり, 糸状菌の分類は分け過ぎで再検討の必要が示唆された. Exophiala jeanselmeiは断片サイズの多様性から種としてまとめられず, complexと考えられた. またExophiala moniliaeの一部はE. jeanselmeiの一部と同一の切断パターンを示し, E. moniliaeの独立性について疑問が示唆された. 一方, Exophiala dermatitidisは全株とも同一の切断パターンを示した.
  • 渋谷 和俊, 若山 恵, 直江 史郎
    1993 年 34 巻 3 号 p. 253-263
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    日和見感染症として発症する代表的な深在性真菌症の中から, カンジダ症, アスペルギルス症およびクリプトコックス症を選び, いくつかの実験を加え, 病理組織学的に検討した.
    この結果, 白血球減少状態では, 著明な菌の増殖に対し壊死や炎症細胞浸潤が極めて微弱であることや菌の組織内への侵入や増殖の防御にも末梢血中の白血球が深く関与していることなどが, より明瞭となった. また, 化学療法の進歩が, 白血病患者におけるカンジダ症の抑制に奏効し始めている可能性が, 本学の剖検例の推移から指摘された. 一方, 原発性および続発性肺クリプトコックス症を比較すると, 後者では嚢胞病変を形成することが多く, 実験的にはCD4+細胞を抑制することで再現することが可能であった.
    ヒトのImmunocompromized conditionは, 多数の防御能減弱因子の複合状態であり, Immunocompromized hostにおける易感染状態の程度や質と病理組織学的変化との相関を明瞭に規定することは, 現時点では困難な事象と考えられる. しかし, 病理学的に真菌感染巣は, 生体の動的な防御反応である炎症の一断面として捉えられ, 特にImmunocompromized hostに成立する病変では, 滲出反応が著しく乏しい点を特徴の一つと考えたい.
  • 望月 真弓, 久米 光, 鶴田 陽和, 朝長 文弥, 奥平 雅彦
    1993 年 34 巻 3 号 p. 265-273
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    compromised hostのうちとくに内臓真菌症を高率に続発する白血病と悪性リンパ腫を対象として内臓真菌症の発生を宿主の感染免疫抵抗性の低下の程度から有効に予知する方法を試案し提起した. すなわち, 白血病剖検例に関して各種臨床検査値を調査し, それらの検査項目 (変数) について真菌感染例と非真菌感染例の2群間の判別分析を行った. その結果, 末梢血中好中球数 (X2), 末梢血中単球数 (X4), 総白血球数1000/μl以下の連続した病日数 (X6) および体温 (W1) の4変数からなる次の線形判別式 (Z1) が得られた.
    Z1=-100.5427-0.00401× (X2) -0.01057× (X4) +0.05622× (X6) +2.61331× (W1)
    本式により白血病剖検例の内臓真菌症例21例と非真菌症例19例を含む計40例中38例が正しく判別された (判別正解率95%).
    また, 白血病臨床例においては, Z1が7日以上連続してプラスを示した場合に内臓真菌症例と判別するとした時, 44例中39例が正しく判別された.
    一方, 悪性リンパ腫剖検例について同じ変数を用いて同様の判別分析を行った結果, 次の線形判別式 (Z2) が得られた.
    Z2=-6.3247-0.00037× (X2) -0.00883× (X4) +0.20138× (X6) +0.14510× (W1)
    本式により悪性リンパ腫剖検例の内臓真菌症例7例と非真菌症例13例の計20例中16例が正しく判別された (判別正解率80%).
    以上より, ここに示した易感染性判別式が内臓真菌症の予知に極めて有用であり, 臨床応用に価することが確認された.
  • 岡田 薫, 重松 美加, 高木 宏治, 江口 克彦, 三角 博康, 下野 信行, 澤江 義郎
    1993 年 34 巻 3 号 p. 275-283
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    九大第一内科における悪性血液疾患に合併した感染症を, 深在性真菌症を中心に検討した. 1980年から1991年までの141例の剖検例の直接死因をみると, 約半数の70例が感染死であり, うち44例 (63%) が深在性真菌症によるものであった. アスペルギルス症が30例と最も多く, 次いでカンジダ症の8例であった. 感染死の年次別推移では, アスペルギルス, 細菌によるものはどの年次にも見られたが, カンジダ, サイトメガロウイルス, ニューモシスチス・カリニによる感染死は1985年以降減少している. 1985年, 1988年および1991年に入院した200例の悪性血液疾患について, 発熱または顆粒球減少期をエピソードとして抽出し, G-CSF使用例と非使用例にわけて対比して検討した. G-CSF使用群において, 顆粒球減少期間が短縮し, 感染が明確な症例が多く, しかも敗血症, 肺炎などの重篤例の占める割合が圧倒的に高かったにもかかわらず, 死亡率は低値であった. G-CSF使用群に全身性カンジダ症による死亡率が1例, 非使用群ではカンジダ症が2例, アスペルギルス症による死亡例が4例認められた.
  • 林 紀孝
    1993 年 34 巻 3 号 p. 285
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    福岡大学病院開設以来Adult T-cell Leukemia (ATL), Malignant Lymphoma, Leukemiaの3疾患について, 表在性真菌症の合併率を調べてみた.
    ATLでは13例中6例に白癬 (5例) カンジダ症 (3例) がみられその合併率は46.1%と極めて高率であった. Malignant Lymphomaでは53例中12例に白癬 (11例) とカンジダ症 (1例) が認められ, 22.6%とやや高かったが, Leukemiaでは8例中1例に白癬の合併がみられたのみで12.5%とその頻度にかなりの差がみられた. とくにATLでは発症初期に細胞性免疫能の低下が起こることが知られており, ATLの症状が出現する前に表在性真菌症を生じたり, 既存のそれが増加拡大したりして, しかも抗療性を示す例が多く, このような症例の全身状態の検索により今回のような重篤な基礎疾患が発見されることも多い. その際血液検査だけでなく皮膚生検も診断のための有用な手段となり得る.
  • 二木 芳人, 橋口 浩二, 副島 林造
    1993 年 34 巻 3 号 p. 287-293
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    癌患者における深在性真菌症発症の宿主要因について, 剖検症例での診断例及び真菌敗血症例を対象として臨床的検討を加えた.
    剖検例での癌患者の真菌症合併率は6.0%で, 血液疾患群や他疾患に比して低率であった. また, 重症感染例も少く, 消化管candida症の多くは偶発的感染と考えられた. 重症例は肺真菌症が多く, 既存の肺病変や放射線療法が発生に関与している可能性がうかがえる. 種々の医原性要因の関与も明らかであるが, 特定の要因ではなく, 多くの要因が複合的に影響している結果となった. 敗血症例の検討では, 癌患者での死亡率は血液疾患群のそれに比して高く起炎真菌も常在性candida属が主であった.
    以上の成績より, 現段階での癌患者の真菌症は, 終末感染としての性格が明らかであるが, 今後, 化学療法の強力化なども予想され, より適切な対応が必要となってくるものと考えられる.
  • 河野 茂, 光武 耕太郎, 松田 治子, 田中 研一, 前崎 繁文, 川上 和義, 安岡 彰, 宮崎 幸重, 賀来 満夫, 古賀 宏延, 原 ...
    1993 年 34 巻 3 号 p. 295-301
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    Immunocompromised hostにおける肺真菌症の診断は, 従来剖検などの病理学的診断法にたよっていたが, 菌学的および血清学的診断法の進歩により, 臨床診断が可能な症例が増加している. 特に, 肺クリプトコックス症では症例の積み重ねにより, その臨床的特徴像が明らかとなっており, 莢膜の特性による病原性やマクロファージとリンパ球を介した生体防御機構などの解明も進んで, 分子生物学的手法を駆使した診断法の開発が進められつつある. 肺アスペルギルス症は診断や治療が極めて困難で, その症例は増加傾向にあり, 大きな問題となっており, また, 肺カンジダ症は, さらに臨床的特徴が少なく, 臨床診断が困難である. これらの疾患について, 病理学的解析に基づいて概説するとともに, 臨床診断の可能性について述べた.
  • 長尾 桓, 杉本 久之, 内田 久則
    1993 年 34 巻 3 号 p. 303-309
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    現在行われている臓器移植はすべて同種移植であり, その術後には拒絶反応抑制のための免疫抑制療法を生涯必要とする. すなわちすべての臓器移植患者はimmunocompromised hostである. 1978年のシクロスポリンの開発以来, 世界では心, 肝, 膵, 腎などの移植が盛んに行われているが, わが国ではこれまで腎移植と小数例の生体肝移植, 膵移植が行われているに過ぎない. 1990年末までのわが国における腎移植症例7,740例中1,203例がすでに死亡し, その内669例で死因が明らかにされているが, 230例 (34.3%) で感染症が死亡原因であった. 真菌性肺炎による死亡は7例であった. 筆者らの施設における1991年末までの腎移植症例は276例であるが, そのうち19例 (7.0%) で真菌症が問題となった. 19例の平均年齢は32.5歳であり, 発症は1年以内が12例 (63.2%) と多かった. 免疫抑制法はアザチオプリン, プレドニゾロンを中心とする例が15例, シクロスポリンを中心とする例が4例であった. 死亡は8例であったがすべて1980年代前半以前の症例であった. 検出された病原体はCandida 10例, Cryptococcus 7例, Aspergillus 1例, Mucor 2例であった. 真菌以外との混合感染は7例でみられ, CMVとの混合感染が5例と多くみられた. 感染部位としては肺炎, 敗血症, 脳脊髄膜炎が主なものであった.
  • 平野 隆雄, 橋本 博史, 廣瀬 俊一, 森 健
    1993 年 34 巻 3 号 p. 311-316
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    膠原病疾患患者が真菌感染に罹患しやすいのは知られた事実である. それは, 真菌感染症に陥った膠原病患者の診断, 治療が現状では難しいと言う事実がある. 自験SLE309例中, 感染症の報告例30.9%あるうち, 呼吸器感染症8.1%, 尿路感染症6.5%, 消化器感染症3.9%であった. この感染症の起因菌に, 真菌感染症の頻度が高く, カンジダ症11.9%, クリプトコッカス症3.2%, アスペルギローシス2.1%と高い数字を示した. 膠原病疾患が真菌感染症にかかりやすい点は大きく考えて2点あると思われる. その1つは, 膠原病患者自体, 免疫不全状態であること, また今1つは, 治療のため, 大量のステロイドホルモン或いは, 免疫抑制剤を用いることにより宿主の免疫能低下を増強し, 真菌感染に陥り易くなることである. このような重大な真菌感染症を予防するためには, 前述した2つの因子, 即ち外的因子 (治療薬剤の用量, 真菌症の診断), 内的因子 (宿主の免疫能) をモニタリングすることが重要である.
  • 鈴木 薫, 河崎 昌子, 石崎 宏, 大川 光央
    1993 年 34 巻 3 号 p. 317-324
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    Candida albicans 88株 (金沢医科大学分離61株, Duke大学分離27株) よりミトコンドリアDNA (mtDNA) を抽出した. mtDNAは制限酵素Hae III, BamH I, Xba Iによる切断パターンの組み合わせにより19タイプに分けられ, mtDNAの著しい多型性が示された. mtDNA切断パターンによるタイピングはC. albicansの同定や疫学的研究手段として有用と思われる.
  • 加藤 卓朗, 西岡 清, 佐野 隆夫
    1993 年 34 巻 3 号 p. 325-330
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    ヒトのMicrosporum canis感染症は動物から感染することが多いとされる. 本研究では患者宅で飼育されている動物についてヘアーブラシ法を用いて検索した. 対象は当科を受診した本症患者の22家庭 (うち6家庭は飼育せず) で飼育されているネコ20匹, イヌ7頭, ウサギ2匹である. なお22家庭中患者を含めた家族78人を診察したが, 頭部白癬11例, 体部白癬21例を認め, 本症に罹患していない人が46人いた. 動物は可能な限り来院させ, 病変の有無を診断し, ヘアーブラシ法による培養を行った. 連れて来れない時は病変の有無については問診を行い, 家でのブラッシングにより培養した. 菌が陽性で飼い主が希望するときは, グリセオフルビンを内服させ, 2週ごとに培養を行った. 飼育動物とヒトの罹患率をみるとネコを飼育している家庭ではヒトの罹患率が高値であった. 動物ではネコは20匹中18匹に病変を認め, 20匹すべてより菌を検出した. 発育集落数は病変のあるネコでは多かった. 一方イヌは全く病変を認めなかったが, 7頭中3頭から菌を検出した. 治療開始後, ネコからの菌量は4~6週後に急に減少することが多く, 10週後には10匹中6匹が陰性となった. 以上より本症の感染源として, ネコが最も重要であり, ヘアーブラシ法による培養の集落数はネコの病変の有無の判定になると結論した. またイヌは患者宅で飼育されていても感染源でないこともあると考えられた.
  • 山下 えり子, 久米 光, 塩谷 茂, 望月 真弓, 奥平 雅彦
    1993 年 34 巻 3 号 p. 331-341
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    内臓真菌症の制御のためには本症の早期診断と発症早期の抗真菌剤の投与が最も重要となろう. 今回我々は血液疾患患者を対象に, 発症早期の診断と治療の開始を目的として, 定式化したプロトコールを作製し, その診断プロトコールの臨床的有用性を評価すると共に, 確診例および疑診例に対するfluconazole (FLCZ) 投与の効果について検討した. 対象は1989年7月から1991年4月まで当院血液内科に入院した患者200例のうち, FLCZが投与された69例中, 各種の検査やFLCZの投与量など診断や薬効評価に適当と思われた30例について検討した. 確診例は20例で疑診例は10例であった. 確診例はカンジダ症19例, トリコスポロン症1例であり, うち2例は剖検によって肺アスペルギルス症の併発が確認された. 確診例のFLCZの平均総投与量は3637.5mg, 平均投与日数は18.8日で有効率は80%であった. 疑診例としてFLCZが投与された10例は全て急性白血病患者で, 易感染指数がプラス (低顆粒球数の病態と抗生剤不応性の発熱) の連続日数は平均6.1日であったのにもかかわらず, 最終的に真菌症の続発はみられなかった. FLCZによる副作用は併用薬剤 (latamoxef, minocycline) とともに中止することで回復した白血球減少と, 流涎が各々1例ずつであった. これら一連の検索結果から, 発症早期の診断と治療の開始に資することを目的に作製した検索プロトコールは, 実地的観点から有用であろうことが示唆された. また発症早期に用いる場合のFLCZの有効性と安全性が改めて確認された.
  • 金井塚 生世
    1993 年 34 巻 3 号 p. 343-349
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    我々はCandida albicansのsecretory aspartate proteinase遺伝子の塩基配列中にpolymerase chain reaction (PCR) 法による増幅領域を設定し, 273bpの標的DNAがC. albicansで明らかに増幅されることを報告してきた. 今回はこの方法を用いて, 病理組織学的に内臓カンジダ症と診断された剖検材料20件のパラフィン包埋組織からDNAを抽出し, PCR法で診断可能か否かを検討した. その結果, 全例に273bpのDNA断片の増幅が観察され, サザンプロットハイブリダイゼーションでC. albicansのプローブDNAの結合が確認された. しかも, 対照としたカンジダ症でない内臓および脳のパラフィン包埋組織19件からは目的とするDNAの増幅は認められなかった. また, このPCR陽性のパラフィン包埋組織20件に抗カンジダ抗体を用いた免疫組織化学染色を行ったところ, 20件すべてに菌要素の多寡はあるものの陽性所見が認められ, 対照群ではすべて陰性であった. このように, PCR法を用いることにより, 内臓カンジダ症のパラフィン包埋組織からもC. albicansのDNAの検出が可能であることが明らかとなり, 本法はカンジダ症の新たな診断法となり得ることが示唆された.
  • 松本 博子, 杉浦 丹, 繁益 弘志, 仲 弥
    1993 年 34 巻 3 号 p. 351-355
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    左右鼻根部から頬部にかけて八の字形に分布する, 境界明瞭な不整形肉芽腫性びらん局面を呈した85歳, 女性のスポロトリコーシス例を報告した. 外傷やステロイド等の外用の既往はなく, 自家接種により特異な皮疹を呈したものと考えられた. 病理組織学的にPAS及びGrocott染色では明らかな真菌要素は認められなかったが, ファンギフローラY蛍光染色を施行したところ, 速やかに真菌要素を見出すことができた. ファンギフローラY蛍光染色は各真菌に対する特異性は認められないが, 染色時間も短く, 手技も簡単で, PASやGrocott染色に比べて共染するものが少なく, 短時間で組織中の真菌要素が見出し得る点で有用と思われた.
  • 内田 勝久, 山口 英世
    1993 年 34 巻 3 号 p. 357-363
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    表在性カンジダ症患者由来のCandida albicans新鮮分離株を用いて新規アリルアミン系抗真菌剤terbinafine (TBF) に対する感受性試験および耐性獲得試験を行った.
    Casitone培地による寒天希釈法を用いて測定した分離株に対するTBFのMICは〓0.16~>80μg/mlの広い範囲内に分布し, 幾何平均値は13.195μg/mlであった. これと平行して測定した対照薬bifonazole (BFZ) のMICは1.25-10μg/mlの範囲内にあり, 幾何平均値は1.708μg/mlであった. Yeast nitrogen base (Difco) に1%グルコースを添加した培地を用いる微量液体希釈法により測定した分離株6株に対するTBFのIC50およびIC90の平均値はそれぞれ0.46, 3.25μg/mlであり, BFZについてはそれぞれ1.37および3.05μg/mlの値が得られた. この結果から, IC90はBFZのほうが低く, IC50はTBFでより低い傾向がみられた. TBF含有寒天培地にC. albicans分離株8株を20代に亘って継代培養を行ったが, その間TBF感受性の1/10以下の低下は認められなかった.
    これらの実験からTBFはC. albicans新鮮分離株に対して明らかな抗菌活性を持ち, しかもBFZに比べ広いsub MIC範囲を有すること, また耐性化をひき起こす可能性が低いことが示された.
  • 渋谷 和俊, 若山 恵, 富田 勉, 小澤 英治, 内田 勝久, 山口 英世, 直江 史郎
    1993 年 34 巻 3 号 p. 365-371
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    アスペルギルス症の病変形成の動的過程を追跡する目的で, Aspergillus fumigatusの分生子浮遊液をラットの腸間膜上に滴下し, 菌糸の発育・伸長および白血球の応答の動態を微速度撮影により観察した. Cyclophosphamide (CY) 非投与ラットの腸間膜上の分生子は, 接種後6時間以内に, その大半が好中球によって貪食され, 菌糸の伸長や血管壁への侵入は認められなかった. 一方, CY投与ラットでは, 接種後9時間以内に, 腸間膜上での分生子の出芽と菌糸の伸長が起こり, 一部の菌糸は血管内に侵入し, 約30時間で血栓形成や出血が観察された. また, 初期の菌糸侵入部においては, 内膜面に中心陥凹を伴った隆起が認められ, この陥凹部から菌糸の先端が内腔に侵入する像が観察された.
    以上の結果から, 腸間膜組織において分生子は白血球遊走を刺激すること, 発育菌糸の伸長による物理的な破壊効果のみならず, 何らかの細胞障害性菌体成分が組織破壊に関与している可能性が示唆された.
  • 蜂須賀 裕志, 楠原 正洋
    1993 年 34 巻 3 号 p. 373-379
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    症例は71歳, 男性, 福岡県久留米市在住. 1992年1月中旬に右前腕に表皮剥離, ビランを生じ近医皮膚科を受診した. 生検にて真皮内にPAS染色陽性の真菌類似の細胞を多数認めたために, 久留米大学病院皮膚科に紹介された. 初診時, 右手関節から前腕伸側にかけて隆起性紅斑局面があり, 表面に鱗屑および痂皮を認めた. 痂皮の直接鏡検にて円形で胞子様の細胞を多数認めた. 組織学的に表皮の偽癌性増殖および真皮内に肉芽腫の形成があり, PAS染色およびグロコット染色陽性の細胞を多数認めた. 組織片をサブローブドウ糖寒天培地にて室温で培養し, カンジダに類似した白色クリーム状のコロニーを分離した. 分離株の塗抹標本では細胞内に娘細胞を形成する特徴的な形態を認めた. 分離株の形態ならびに糖利用試験の結果より本分離株をPrototheca wickerhamii Tubaki et Soneda 1959と同定した. 以上より本症をプロトテコーシスと診断した. プロトテコーシスは無葉緑素藻類であるプロトテカにより生じる稀な感染症であり, 本邦でもその報告は自験例を含めて9例のみである.
  • 加藤 治子, 山下 えり子, 藤野 由美, 徳弘 英生
    1993 年 34 巻 3 号 p. 381-384
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2010/11/18
    ジャーナル フリー
    A 51 year-old man was admitted to the hospital with fever and general fatigue. He was diagnosed as acute lymphoblastic leukemia after examination showed the existence of lymphoblasts in the bone marrow.
    Remission induction therapy caused severe suppression of the bone marrow. He suddenly complained of left chest pain, and a chest X-ray showed an abnormal shadow in the left upper lobe. Pulmonary fungal infection was suspected and intravenous amphotericin B was administered. The abnormal shadow on the chest X-ray improved but remained. Lobectomy of the left upper lobe was then performed. Histology of the resected lobe showed non-septate hyphae, and mucormycosis was diagnosed. Anti-leukemic chemotherapy was again bigun, but no relapse of mucormycosis was seen.
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