日本医真菌学会雑誌
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36 巻 , 4 号
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  • 田口 英昭, 宮治 誠, 西村 和子, 石川 信泰, 陳 瑞蛾, 徐 敏麗
    1995 年 36 巻 4 号 p. 283-289
    発行日: 1995/10/31
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    最近開発された新たなCandidaマンナン抗原検出法(ビーズ法)の有用性を知る目的で現在臨床の分野で最も高感度で信頼性の高いと思われるavidin-biotin enzyme-linked immunosorbent assay (AB-ELISA)と同一血清を用いて比較検討した.被験血清はCandida albicansを感染させたBALB/c雄マウス(健常マウス)およびcyclophosphamide投与した同マウス(CP投与マウス)から得た.臓器(脳,心臓,肝臓,脾臓,腎臓)の培養結果は健常マウスおよびCP投与マウス共に感染1日日から実験終了時までの間全匹でいずれかの臓器で陽性を示した.組織学的に腎臓における菌の発育は健常マウスでは散発的であったがCP投与マウスでは旺盛であることが認められた.健常マウス血清中のマンナンの最高値は2病日目に認められAB-ELISAでは21.3ng/ml,ビーズ法では33.3ng/mlであったが,CP投与マウス血清では3病日目に最高値を示しAB-ELISAでは100ng/ml,ビーズ法では166.6ng/mlであった.また,ビーズ法の検出限界は血中マンナン量として約0.8ng/mlでありAB-ELISA法とほぼ同程度の感度を示した.この事よりビーズ法はマンナン抗原検出法として充分有用であることが示された.
  • 杉本 理恵, 加藤 卓朗, 西岡 清
    1995 年 36 巻 4 号 p. 291-295
    発行日: 1995/10/31
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    家庭塵埃からの白癬菌の分離により家庭内複数感染が判明した3家庭例を報告した.症例1は55歳,男性でTrichophyton mentagrophytesによる足白癬である.治癒後の家塵からもT.mentagrophytesが分離され,妻にもT.mentagrophytesによる足白癬があることが判明した.妻の治療により家塵からのT.mentagrophytesの分離集落数は漸減した.症例2は56歳,女性でT.mentagrophytesによる足白癬である.治癒後の家塵からもT.mentagrophytesが分離され,夫にT.mentagrophytesT.rubrumによる足白癬があることが判明した.夫の治療により家塵からのT.mentagrophytesの分離は漸減し,9ヵ月後には消退した.症例3は38歳,女性でT.mentagrophytesによる足白癬である.患者治癒後も家塵よりT.rubrumが分離され,義父にT.rubrumによる足白癬があることが判明した.家塵からの白癬菌の分離は家庭内複数感染の存在を明らかにするのみならず,患者の病状と鋭敏に対応し,治療効果に対する重要な指標になると考えられた.
  • 中林 淳浩, 中村 哲雄, 二宮 淳也, 渡辺 秀義, 清 佳浩
    1995 年 36 巻 4 号 p. 297-302
    発行日: 1995/10/31
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    脂漏性皮膚炎患者より分離されたMalassezia furfurの生菌浮遊液(0.2g/ml)0.2mlを,剃毛したモルモットの背部と耳介後面,および,C3Hマウス並びにBALB/c nu-nuヌードマウスの背部に1日1回連日塗布した.モルモットについては,生菌試料の他,菌体抽出分画液,Dixon液体培地,およびエベラクトンBを添加した生菌試料を各々連日塗布した.モルモットへの生菌試料の塗布の結果は,7日目頃より脂漏性皮膚炎類似の鱗屑を伴う紅斑が出現し,25日目には背部12部位中9部位,耳介後面12部位中10部位に同様の病変を認めた.今回初めて塗布した初回塗布群に比べ,以前に塗布実験を行い,今回再び塗布した再塗布群に,より早期に病変が生じた.エステラーゼ阻害物質であるエベラクトンBの添加によりこの病変形成は抑制された.ヌードマウスへの結果は,背部に粃糠様鱗屑が認められたが,C3Hマウスには病変が形成されなかった.モルモットへの菌体抽出分画およびDixon液体培地の塗布の結果は,いずれも病変の形成に至らなかった.
    以上の結果から,M.furfurが脂漏性皮膚炎の一因であることが強く示唆され,さらに,その成因として,接触アレルギーの他,菌による皮脂の分解産物の直接作用も関与していることが推測された.
  • 亀井 克彦, 横山 耕治, 伊藤 純子, 加治 晴夫, 西村 和子, 宮治 誠
    1995 年 36 巻 4 号 p. 303-307
    発行日: 1995/10/31
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    抗真菌剤が示す抗菌力は,しばしばin vivoとin vitroとで大きく異なることが知られており,真菌症治療における問題点の一つとなっている.この現象が起こる理由の一つとして生体のdefense mechanismと抗真菌剤とが協力して抗菌力を発揮している可能性が考えられる.そこで,flucytosineが,マウス腹腔マクロファージの存在下に示す抗菌作用を,近年,深在性真菌症の原因菌として注目されているCandida kruseiを用いて検討した.チオグリコレート培地により,ICRマウスの腹腔マクロファージを誘導,分離した後,flucytosineの存在下でC.kruseiを加え,24時間後に逆培養しcolony forming unit数から抗菌力を判定した.その結果,1) マクロファージはC.kruseiに対し静菌作用を有する,2) flucytosineは,C.kruseiに対し単独では0.1-1μg/mlの範囲では有意な抗菌作用を示さず,10μg/mlに至って初めて抗菌作用を示す,3) マクロファージの存在下では,flucytosineは単独投与の場合の1/100の濃度に当たる0.1μg/mlの濃度から,抗菌作用を示すこと,等が示された.この結果から,マクロファージとflucytosineがin vitroで協同作用を持っていることが明らかになった.これは,現在施行されている抗真菌剤のMIC測定法と臨床効果との解離の一因となっている可能性があり,in vitroにおける抗真菌剤の抗菌力判定法に関し,新たな検討の必要性を示唆するものと考えられる.
  • 中村 哲雄, 二宮 淳也, 浜口 太造, 清 佳浩, 滝内 石夫
    1995 年 36 巻 4 号 p. 309-313
    発行日: 1995/10/31
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    38歳、左1,3指爪甲の黄濁と左手掌ほぼ全体の角化を主訴に来院.初診時のKOH直接鏡検にて,爪甲下角質には多数の胞子の集団と菌糸が認められたが,手掌の鱗屑からは多数の菌糸以外に明らかな胞子様菌要素は認められなかった.当初爪カンジダ症と手白癬の診断にて,イトラコナゾール内服,テルビナフィンクリームの外用による治療を開始した.しかし初診時に施行したサブロー培地による培養の結果,爪,手掌の両者からCandida parapsilosis, C.tropicalisの2種類の菌が分離され,治療開始1週間後の,爪および手掌の鱗屑のパーカーKOH直接鏡検所見も同じ結果であった.しかし,培養の結果は,爪は同じカンジダが培養されたものの,手掌の鱗屑からは何等の菌も培養されなかった.同時に施行したthiamin,inositol含有BHI培地による培養でも菌は培養されなかった.抗カンジダ血清を用いた酵素抗体法では,爪には無数の菌要素を認め,手掌の鱗屑には少数の菌要素がPAS陽性部に一致して検出された.以上の検査所見から,爪カンジダ症及び角質増殖型カンジダ症の合併と診断した.
  • 小松崎 久乃, 坪井 良治, 冉 玉平, 吉池 高志, 小川 秀興
    1995 年 36 巻 4 号 p. 315-319
    発行日: 1995/10/31
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    スポロトリコーシスの血清診断と治療終了のマーカーとして患者血清中のSporothrix schenckii由来のプロテアーゼ抗原量を測定することを最終目標として,その予備実験をin vitroで行なった.すなわち,精製したS.schenckiiプロテアーゼ(II)を抗原として家兎でポリクローナル抗体を作製し,この抗体を用いて酵素免疫測定法(ELISA)を設定し,最小抗原検出濃度を測定した.その結果,S.schenckiiプロテアーゼを約0.1μg/mlで検出できる可能性が示唆された.また,この測定系ではCandida albicans由来のプロテアーゼとは交叉反応しなかった.つぎにS.schenckiiをアルブミンを窒素源とする液体培地で培養し,菌数,プロテアーゼ活性及びプロテアーゼ抗原量の推移を測定した.その結果,プロテアーゼ抗原量は経時的に増加し,培養6日目には約25μg/mlとなり,菌数プロテアーゼ活性と比較的良く相関した.以上の結果からS.schenckiiプロテアーゼ抗体を用いた培養液中のS.schenckiiプロテアーゼ抗原量の測定がin vitroでは充分可能であることが示唆された.
  • 赤松 まゆみ, 石井 康子, 松尾 聿朗, 大城戸 宗男, 堤 寛, 加藤 禮三
    1995 年 36 巻 4 号 p. 321-325
    発行日: 1995/10/31
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    46歳,男性.初診の約20年前から右足関節外果の小さい皮下腫瘤に気づいていた.自覚症状がないため放置していたが,腫瘤が急激に増大したため受診した.腫瘤は,直径2×1.5cmの淡紅色,軽度隆起した硬い皮下腫瘤で,一部に面靤様皮疹を認めた.組織学的検査では,真皮にPAS,Grocott染色に陽性のセメント様物質を中心とした肉芽腫性病巣が散在していた.生検時に排出された多数の黒色顆粒と組織片をサブロー培地で培養したところ,それらのいずれからも黒色の真菌集落を得た.菌の特徴は,1) 組織内顆粒は直径1mm大の黒色で硬い,2) 分離菌の集落の表面は灰褐色,短絨毛状,裏面は黒色,3) 培地への色素拡散は殆どない,4) 分生子は容易に産生されず,5)発育に温度依存がある,室温(約27℃),30℃の順に発育は良好,37℃では発育せず,であった.以上の結果とexoantigen test1)より,Madurella griseaと同定した.病変部は全摘術にて完治した.本症例は,本邦での同菌種による足菌腫の第1例である.
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