日本医真菌学会雑誌
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37 巻 , 3 号
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  • 竹尾 漢治, 西村 和子, 宮治 誠
    1996 年 37 巻 3 号 p. 123-127
    発行日: 1996/07/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    This is a short review of the ultrastructure observed in various types of conidial and other kinds of fungal spores as revealed by freeze-fracturing. We conclude that on the basis of ultrastructural difference the pathogenic Cladosporium species should be transferred to another genus.
  • 河崎 昌子
    1996 年 37 巻 3 号 p. 129-133
    発行日: 1996/07/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    mtDNAのRFLP (restriction fragment length polymorphism)分析によりE. dermatitidis, E. jeanselmei (var. jeanselmei), E. jeanselmei var. heteromorpha, E. jeanselmei var. lecaniicorni, E. spinifera, F. pedrosoi, P. verrucosa, C. carrionii, H. werneckiiは明確に区別され同定が可能である事が示された.またE.dermatitidisが極めて均一な種である事,E.jeanselmei,E.spinifera,E.moniliaeが複合種である事が示唆され,F.pedrosoi,P.verrucosa,C.carrionii,H.werneckiiでは種内変異はあるものの遺伝的にまとまりのある単一種である事が明らかにされた.更にF.pedrosoiF.compacta及びP.verrucosaP.americanaがそれぞれ同一種である事が遺伝的に示され,F.pedrosoiは6,P.verrucosaは10,C.carrioniiは4,H.werneckiiは9のタイプに分けられた.前3種において各タイプは地域特異的な分布を示し,後の一種では地域特異性は見られない事よりH.werneckiiが他の3種とは異なる分布の広げ方をしている事が推測された.また系統的に遠い関係にある,即ち共通の祖先から早い時期に分かれたと推定されるタイプがいずれも南米において分離されている事から,これらの菌種が北米及びアジアに比べ,より古くから南米に存在していた事が推測された.
  • Ruoyu Li, Duanli Wang
    1996 年 37 巻 3 号 p. 135-141
    発行日: 1996/07/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Until now, 10 cases of phaeohyphomycosis have been reported in China. Their causative agents were as follows: Exophiala dermatitidis (4 cases), E. spinifera (3), E. jeanselmei (1), Alternaria alternata (1) and Veronaea botryosa (1). The clinical data will be reviewed in this paper.
    The pathogenic dematiaceous fungi isolated from the phaeohyphomycosis patients were identified carefully and the conidiogenesis of these organisms was studied by using a scanning electron microscope. Besides of these, physiological and other studies were also carried out to aid the correct classification and identification. RAPD-PCR technique was applied to the genomic DNA assay of pathogenic ‘black yeasts’ and reveled highly polymorphisms in their genomic fingerprints.
    The ecological studies were carried out and seven species were isolated from the soil and rotting plant materials. Phialophora verrucosa was the most dominant species in nature in Shandong, China, followed by Exophiala spinifera and Veronaea botryosa. The pathogenicity of Veronaea botryosa and Exophiala spinifera were studied by using both normal and precompromised mice. The results show that both natural and clinical strains of V. botryosa have potential pathogenicity. E. spinifera is neurotropic and its pathogenicity is specially potential in immunodeficient hosts.
  • 西山 千秋, 飯田 利博
    1996 年 37 巻 3 号 p. 143-146
    発行日: 1996/07/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    病原性黒色真菌感染の中で最も多くみられる臨床型はクロモミコーシスである.そこで,本稿では,クロモミコーシスの発症機序について述べた.まず,最も頻度の高い原因菌であるFonsecaea pedrosoi(以下F.pedrosoiと略す)によるクロモミコーシスの病理組織所見の特徴を検討した.クロモミコーシスは他のスポロトリコーシスや白癬性肉芽腫のような皮膚の深在性真菌症と異なり,真皮上層~中層に限局して細胞浸潤が認められる.この理由は,腐生的には菌糸形で存在するF.pedrosoiが病変組織内では球状のsclerotic cellの形に変換して認められ,sclerotic cellは真皮の下方には侵入できないことと関連しているようである.またsclerotic cellは真皮上層にとどまって活発に増殖するため,菌要素に向かって遊走する多核白血球や微小膿瘍および組織球,巨細胞,リンパ球などの感染性肉芽腫の像を形成する浸潤細胞も真皮上層~中層に存在することとなり,これらの稠密な浸潤細胞の何らかの働きかけが表皮突起の延長を誘発し,本症に特徴的な経排除現象が引き起こされると考えた.そこで,F.pedrosoiの教室保存株を用いて寒天埋没法を行い,菌糸形菌要素からsclerotic cellに変換する過程を観察したところ,菌糸形からsclerotic cellへの変換は宿主側の多核白血球の遊走が重要な因子であり,またsclerotic cellは菌にとって環境条件が悪いときの耐性形態と考えられた.さらに,赤道部に隔壁を有する球状細胞も認められ,sclerotic cellの増殖する動態も観察された.次いで,腹腔内寒天埋没法と同様の操作を行った寒天ブロックをマウスの背部の表皮下に埋没させ,実験を行った結果,この皮膚寒天埋没法は本症の早期感染組織像の観察と経表皮排除現象の解明に有用な方法と考えられた.最後に皮膚寒天埋没法を用いた経表皮排除現象における免疫担当細胞について若干検討した.Nudeマウスにおいては,正常マウスと同様に菌を含んだ寒天ブロックの経表皮排除を認めたが,NK細胞の欠如しているbeigeマウスではこの現象は起こらなかった.本症の菌の経表皮排除にはNK細胞機能の関与が示唆された.
  • 仲 弥
    1996 年 37 巻 3 号 p. 147-151
    発行日: 1996/07/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    従来は外科的治療,5-fluorocytosine(5-FC)の内服(もしくはamphotericin Bの局注との併用),局所温熱療法が黒色真菌感染症の主な治療法であったが,いずれも確定的ではない.感染症である本症には,術後の醜形が予想されるような外科的切除はできるだけ避けるべきであろう.局所温熱療法は長時間の圧抵を要するとともに,年齢や部位によっては施行困難である点,また5-FCの内服は耐性菌が生じやすいという点で問題がある.
    最近itraconazole, fluconazole, terbinafineといった新しい内用抗真菌剤が本症に用いられるようになり,その有効例が報告されている.しかし,これら新しい薬剤の本症に対する有効率をみると,itraconazoleが60%,terbinafineは67%と従来の治療法とさほど変わらない.これらの薬剤の用量や使用例数を増やすことにより,有効率が上がる可能性はあるが,今後は外科的治療,温熱療法や5-FCとの併用など,これら新しい薬剤と従来の治療法を症例により上手に組み合わせて用いることも必要と思われる.しかし,未だ難治例も多く,今後の新しい抗真菌剤の開発や免疫療法の可能性の追求が望まれる.
  • 飯泉 陽子
    1996 年 37 巻 3 号 p. 153-159
    発行日: 1996/07/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    トロンボモジュリン(TM)は,血管内皮細胞上に存在する膜表面糖蛋白質と言われてきた.著者らは,最近TMが組織球のマーカーとして,慢性肉芽腫性炎症に出現する細胞成分の分類に役立つことを示してきた.今回,著者は,深在性真菌症の代表的疾患であるスポロトリコーシスを取り上げ,抗TM抗体を用いて免疫組織化学的研究を行い,既知の組織球マーカーによる免疫組織化学的染色と比較検討した.その結果,TM陽性細胞が,感染性肉芽腫に出現するCD11b,CD14,CD16,CD33,CD68,MAC387,あるいはライソザイムによって標識されるそれぞれの組織球とほとんど重複を示さず,ひとつの独立した細胞集団であることが示唆された.本研究で得られた成績は,炎症組織における組織球系細胞の分化に関し,TMが有効なマーカーであることを示す.
  • 日野原 良美, 越智 尚子, 石島 早苗, 大隅 正子, 安部 茂, 山口 英世
    1996 年 37 巻 3 号 p. 161-166
    発行日: 1996/07/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    アゾール系抗真菌剤であるイトラコナゾール(ITCZ)のマウスマクロファージ細胞膜に及ぼす作用について検討した.C3H/HeJマウスの誘導腹腔マクロファージをITCZ存在下で20時間培養し,0.0375%のデオキシコール酸(DOC)で処理した.その後トリパンブルーで染色し,その染色率を膜のDOC感受性の指標として用いた.ITCZ 0.5μg/ml以上の濃度で37℃の培養によりDOC感受性が上昇し,この感受性の変化は早期の2時間後からみられた.また4℃で培養するとDOC感受性は上昇しなかった.この作用は,ITCZ及びその代謝産物であるハイドロキシイトラコナゾールにおいて特に強く,他のアゾール系抗真菌剤では弱かった.また腸球菌製剤FK-23存在下でITCZとともに培養した場合には,DOC処理なしでもマクロファージのトリパンブルー染色性が上昇し,細胞膜の性質を変化させることが示唆された.以上のマクロファージに及ぼすITCZの作用が,ITCZの免疫調節作用とどのように関係しているかを考察した.
  • Ayako Ishiguro, Toshio Kanbe, Matsuko Doi, Michio Homma, Keizo Horibe, ...
    1996 年 37 巻 3 号 p. 167-173
    発行日: 1996/07/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    The levels of IgG antibodies specific for enolase, extracellular proteinase (EPR) and common antigens of Candida albicans, namely, the 67, 62, 29 and 25 kDa components in five children with acute lymphoblastic leukemia (ALL) were sequentially monitored by Western blot analysis. The total amounts of immunoglobulins in all sera of patients were below the normal range. Enolase-specific antibodies were detected in four of the five patients and in 38-57% of healthy children. EPR-specific antibody which was not detected in healthy children was shown only in one patient. In contrast, antibodies specific for the 67, 62, 29 and 25 kDa components were frequently detected in patients as well as in healthy children. In most cases in which specific antibodies were detected, the intensities of bands were sequentially decreased during chemotherapy, especially for the 29 and 25 kDa. Candida cells were recovered from four patients with enolase-specific antibodies. These preliminary results justify a large-scale study of quantitative tests of antibodies for enolase, EPR, and 29 and 25 kDa components of C. albicans to clarify their usefulness for monitoring candidal infection and immune status during chemotherapy in patients with ALL.
  • 能味 堂郎, 安部 茂, 池田 達夫, 山本 哲郎, 山口 英世
    1996 年 37 巻 3 号 p. 175-179
    発行日: 1996/07/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    主要な日和見感染菌であるCandida albicans,緑膿菌およびMRSAのマウス感染モデルを用いて乳酸菌Enterococcus casseliflavus NF-1004株熱水処理死菌体標品(NF-1004標品)の感染予防効果について検討した.C.albicans感染モデルに対して,NF-1004標品は腹腔内投与のみならず経口投与によっても感染予防効果を示し,対照群に比して有意に生存期間を延長させた.その際,NF-1004標品投与マウスの腎臓内におけるC.albicansの生菌数は対照群に比して有意に減少していた.このNF-1004標品の効果は,感染させる前にcyclophosphamideで易感染状態にした時に強く発揮されるという特徴があった.緑膿菌およびMRSA感染モデルに対してはNF-1004標品の腹腔内投与が感染予防効果を示した.以上の結果より,日和見感染症が予想される患者に対する予防法としてNF-1004標品が使用できる可能性を指摘した.
  • 工藤 和浩, 富田 靖, 田上 八朗
    1996 年 37 巻 3 号 p. 181-183
    発行日: 1996/07/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    73歳女性の左第3指背に生じたFonsecaea pedrosoiによるクロモミコーシスの症例を報告した.治療としてテルビナフィン1日125mgを5ヵ月間,次にフルコナゾール1日200mgを4ヵ月間内服させた.温熱療法も併用するよう勧めたが実際には充分に行っていなかった.これらの治療である程度は改善したが完治せず,治療の中断により皮疹が再燃した.フルコナゾールの内服を再開するとともに,患者を説得して温熱療法を熱心に行わせたところ皮疹が劇的に改善した.具体的には使い捨てカイロを1日18時間以上,患部に当てさせた.治療を再開して2ヵ月で完治した.温熱療法は充分な温度で充分な時間行えば極めて有効であり,手術や薬物投与による負担が減る可能性があるので,積極的に行うべき治療法であると考えた.
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