日本医真菌学会雑誌
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39 巻 , 4 号
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  • 橋本 敦郎, 山上 由理子, 辛島 礼子, 山形 英司, 那須 勝
    1998 年 39 巻 4 号 p. 187-192
    発行日: 1998/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    難治性真菌感染症は,免疫不全宿主の増加に伴って重要な感染症のひとつとして注目されている.しかし,全身状態不良のために侵襲的な検査が実施できないことが多く,その生前診断は困難である.今回,DNA検出法であるPCR法を応用した本症の診断について検討したので報告した.対象とした真菌は,アスペルギルスとトリコスポロンの2真菌で,血清を検体として検討した.それぞれのプライマーは,アスペルギルスではAspergillus fumigatusの18S rRNA,トリコスポロンでTrichosporon asahiiの26S rRNAからそれぞれ設定した.それぞれのプライマーの特異性は,人に病原性を示すと言われているアスペルギルス属5菌種,トリコスポロン属2菌種においてのみ陽性であった.さらに,当科において侵襲性アスペルギルス症と診断された29症例中21例(72%),播種性トリコスポロン症と診断された11症例中7例(64%)の血清においてそれぞれのPCR法が陽性を示した.また,非侵襲性肺アスペルギルス症において,本法はその病勢を反映するものと思われた.以上より,難治性真菌感染症において血清を検体としたPCR法は早期診断を目的とした有用な検査法のひとつと考えられた.
  • 前崎 繁文, 佐々木 英祐, 掛屋 弘, 野田 哲寛, 川村 純生, 光武 耕太郎, 朝野 和典, 田代 隆良, 河野 茂
    1998 年 39 巻 4 号 p. 193-197
    発行日: 1998/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    日和見感染症である深在性真菌症は重篤な基礎疾患を有する患者に発症し,しばしば予後不良となる.深在性真菌症は早期診断が困難で,しかも免疫不全患者では抗真菌薬の副作用のため,十分な治療が行えない症例も多い.難治化の要因には原因真菌側の要因と宿主側の要因が考えられる.原因真菌側の要因として真菌の耐性化が考えられ,中でもアゾール系抗真菌薬の耐性はその投与によって誘導され,非選択的な薬剤排出機構がその耐性に大きく関与していることが生化学的ならびに遺伝学的に証明され,今後の監視が必要である.
    宿主側の要因として,基礎疾患を有する続発性肺クリプトコックス症と有しない原発性肺クリプトコックス症と比較し,続発性では血清中のクリプトコックス莢膜多糖抗原価および画像上の改善が遅延し,基礎疾患の有無が難治化の要因の一つであると考えられた.また,肺アスペルギローマでは初診時の炎症反応が強く,さらにアスペルギルス属が分離された症例に死亡例が多い傾向を認め,難治化の要因として,発症時の宿主の状態が重要であることが示唆された.
  • 二木 芳人
    1998 年 39 巻 4 号 p. 199-202
    発行日: 1998/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    深在性真菌症はそのほとんどが難治性であり,近年では臨床的にも免疫不全患者の最も重要な合併症の1つとなっている.その対応上重要なことは,宿主状態を常に把握しその発症を予測した上での難治化防止のための早期の対応と,感染発症時には積極的かつ理論的な治療の実施が望まれる.
  • 角田 卓也, 谷村 弘, 紺谷 忠司, 稲田 佳紀, 水城 奈美
    1998 年 39 巻 4 号 p. 203-209
    発行日: 1998/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    外科領域における深在性真菌感染症について大学病院外科における現状を調査した結果,手術部位にかかわらず25%に真菌が検出され,特にCandida albicansは食道癌や胃癌手術後には2番目,肝・胆・膵癌や大腸癌の手術後には3番目に検出頻度が高い菌種であった.しかも,手術局所よりもむしろ遠隔部位の感染巣から高頻度に真菌が検出され,fungnl translocationの可能性が示唆された.
    このように,深在性真菌感染症はまれな感染症でなく,むしろ,真菌感染症であるという診断が困難なことから見過ごされてきた可能性がある.特にカテーテル敗血症からの検出菌の60%は真菌であり,最も重要な起炎菌であるといえる.
    真菌の侵入門戸として,external pathwayとinternal pathway (microbial translocation)が考えられ,external pathwayを阻止する目的でnutrition support team (NST)活動を1994年から導入し,カテーテル敗血症を2%台まで抑制することに成功した.
    深在性真菌感染症の診断法では現在でも満足すべきものはなく,できるだけ早期に臨床的に有用な真菌血症の診断法を確立する必要がある.そのため,われわれはPCR法を用いた分子生物学的診断の確立を目指し,18S rRNAのなかで,Candida属に特異的なV4 regionをprimerとしてPCRを施行した結果,外科臨床上重要なC. albicans (163bp), C. tropicalis (162bp), C. parapsilosis (164bp), C. glabrata (177bp), C. krusei (159bp)のPCR産物が得られ,一般細菌(MSSA, MRSA, Klebsiella pneumoniae, Pseudomonas aeruginosa, Staphylococcus species, Streptococcus species)ではPCR産物は得られず,このPCR法は真菌に特異的であるといえる.また,RFLPsを応用することで臨床上重要な5種類の真菌も同定でき,臨床的有用性が示唆された.
  • 石橋 康久
    1998 年 39 巻 4 号 p. 211-212
    発行日: 1998/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Ophthalmological mycosis were seen as blephlitis, conjunctivitis, keratitis, orbititis, endophthalmitis. These dideases were almost hard to diagnose and were rare and refractory to treatment. Among them, keratomycosis was most frequent and relatively refractory to treatment. Orbit mycosis was rare but most refractory to treatment. Almost of them were fatal in our knowledge.
  • 久保田 武美
    1998 年 39 巻 4 号 p. 213-218
    発行日: 1998/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    培養によると非妊婦の約15%,妊婦の約30%は膣内にCandidaを保有する.外陰膣真菌症は外陰および膣内においてC.albicans,C.glabrataなどの真菌が検出され,かつ,かゆみ,帯下の増加などの訴えや炎症症状を示す疾患を指す.治療には抗真菌剤が用いられ,我が国では経口剤の適用はなく,膣錠,クリームなどによる局所投与法がなされてきた.初回治療により80-90%の例は臨床的・真菌学的に治癒に至るが,菌陰性となった例の7-34%(使用薬剤によって再出現率は異なる)は数週間後に膣内にCandidaが再出現し,あるものは再び発症する.これら難治性の要因としては自己腸管から膣への再感染,性感染,検出感度以下の少数の真菌の膣内残存などのほか,宿主の感染防御機構の変化,薬剤耐性などの関与が挙げられるが,未だ明確ではない.期待できる方法としてはケトコナゾールより副作用が少ないとされるフルコナゾール,イトラコナゾールの経口剤の使用がある.外国では,これら経口剤の外陰膣真菌症における治験例が多数報告されている.幸いに他の真菌性疾患とは異なり外陰膣真菌症では獲得耐性は問題になっていないようであるが,抗真菌剤の長期連用による予防投与は真菌の耐性菌の発現をきたす事実が他疾患領域で判明してきた.これらの経口剤が治療抵抗性外陰膣真菌症にいかに応用できるか検討が望まれるが,現在のところ治療抵抗性外陰膣真薗症に対する確立された対策はない.
  • 松田 哲男, 松本 忠彦
    1998 年 39 巻 4 号 p. 219-223
    発行日: 1998/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    近年の皮膚科領域の抗真菌療法の目ざましい発達にも拘わらず,完治に持ち込めない症例がある.難治性皮膚真菌症は「現在用いられる標準的な治療法では治癒が困難な皮膚真菌症」と定義される.その要因として宿主側,菌側の因子や的確な診断と治療が挙げられる.日和見真菌感染症,黒色真菌感染症などを例にこれらを論じる.
  • 石井 則久
    1998 年 39 巻 4 号 p. 225-228
    発行日: 1998/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    HIV感染症では細胞性免疫能,特にCD4陽性T細胞が低下するため,種々の感染症を発症する.皮膚真菌症も必発で,臨床像は多彩で重症であるが,治療に困難をきたす例は少ない.しかし,薬剤を多種,大量に使用することもあるので,耐性菌の出現や菌交代現象などに対して注意深い観察が必要である.
  • Takeshi Mori, Makiko Matsumura, Toyoko Oguri
    1998 年 39 巻 4 号 p. 229-233
    発行日: 1998/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    A patient with myelofibrosis complicated by recurrent candidemia died despite treatment with amphotericin B and fluconazole. Autopsy revealed systemic candidiasis with fungal verrucae in the right ventricle and the root of the pulmonary artery. The strains of Candida albicans isolated from the blood had become resistant to amphotericin B and fluconazole during therapy, as well as to other azole antifungals that had not been used. Pulsed-field gel electrophoresis showed that the resistant isolates had the same genotype as the sensitive strains isolated before treatment, but a chromosomal change in >2.0 Mb-bands was observed after treatment. It was thus proved that these repeatedly isolated C. albicans strains which were causing the continued fungemia in our patient were all the same strain and were acquiring resistance to antifungal agents during the therapy.
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