足白癬の実態調査として,健康な医学部の大学生,研究職の会社員,普段ストレッチブーツを着用している女性の集団で,直接鏡検,斜面培養,Foot-press培養法(FP法)と,病識や治療歴を問うアンケートを行った.大学生は平均年齢23.9歳の58名で,直接鏡検陽性は13名(22.4%),斜面培養では
Trichophyton rubrum 2株,
T. mentagrophytes 6株が分離された.FP法を行って菌の散布,付着も検討した結果,菌を散布している罹患足(散布)は12/116足(10.3%),菌を散布していない罹患足(非散布)は4/116,菌が付着しているのみの非罹患足(付着)は3/116で,実際の足白癬罹患者は14/58名(24.1%)と考えられた.平均年齢34.8歳の会社員37名では,直接鏡検陽性は21名(56.8%)で,
T.mentagrophytesのみ分離された.散布は29/74足(39.2%),非散布は10/74,付着は3/74で,実際の罹患者は24/37名(64.9%)であった.平均年齢21.0歳のブーツ着用女性31名では,直接鏡検陽性7名(22.6%),
T. rubrum 2株,
T. mentagrophytes 5株が分離され,散布は8/62足(12.9%),非散布は1/62,付着は5/62であった.罹患者のうち大学生6/14名,会社員16/24名,ブーツ着用女性4/7名は病識があったが,治療をしていたのは大学生2名と会社員6名のみであった.治療していない大学生12名中10名,会社員とブーツ着用女性は全員,菌を散布していた.若年層でも足白癬罹患率はかなり高く,原因菌種は
T.mentagrophytesが優位である可能性が示された.
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