右手から右上肢の皮膚リンパ管型スポロトリコーシスの1例(69歳,男性)に対し,ヨウ化カリウム(KI)総量28g(1日0.5g,8週)を投与し,丘疹が残存したためテルビナフィン(TBF)に変更,1日125mgを9週間投与し治癒に至った.
最近では,皮膚スポロトリコーシスに対する治療には,KI,温熱療法の他にイトラコナゾール(ITCZ),TBFの治療報告例が増加しており,今回我々は,本邦での過去7年間に報告された成人の皮膚スポロトリコーシスの治療方法について検討した.KIによる治療では,治癒率90.9%,平均投与期間8.1週,ITCZ(100mg/日)による治療では,治癒率86.6%,平均投与期間12.6週,TBF(125mg/日)による治療では治癒率71.4%,平均投与期間12.8週の結果であった.本邦でのKIは,短期間の治療で治癒率が高く,副作用,再発が少ないため,現在でも皮膚スポロトリコーシスの第1選択薬と思われた.KIと比較すると,ITCZ(100mg/日)は投与期間が長く,TBF(125mg/日)は治癒率,投与期間とも劣っており,TBFでは1日250mgを投与した方が無難と思われた.
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