日本医真菌学会雑誌
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44 巻 , 4 号
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  • 中村 遊香
    2003 年 44 巻 4 号 p. 235-238
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    近年,生活環境の著しい変化にともない,動物に見られる真菌感染症の様相も大きな変化を示している.特に,スポロトリクスやヒストプラスマなど,従来我が国で伴侶動物からの報告のなかった疾患が認められるようになり,それらの原因菌による人への感染も危惧されている.また,分子生物学的同定技術の進歩にともない,好人性真菌による動物の真菌症が確認されるようになった.さらに獣医々療技術の急速な進歩により,悪性腫瘍に対する免疫療法,化学療法をはじめ予防獣医学の浸透によって動物の寿命も延長し,高齢動物の日和見感染症として,深在性真菌症の症例数が増加し,獣医療の現場でも人医療と同様の問題が見られるようになっている.また,罹患動物の種類にも変化が見られるようになり,以前は犬や猫の皮膚糸状菌症が人への感染源として重要視されていたが,小型のハムスターやモルモットなどの齧歯類,兎などにも注意する必要が生じている.以上のことから,動物に見られる真菌症について,原因菌種,感染動物種,日和見感染における耐性菌出現,抗真菌剤の使用方法との標準化などの問題が山積しており,これらを解決するため迅速で広範な情報交換に基づいた研究の遂行が求められている.
  • 佐野 文子, 宮治 誠
    2003 年 44 巻 4 号 p. 239-243
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    ヒストプラスマ症は世界的に分布し,我が国では輸入真菌症として取り扱われてきた.現在までに人獣合わせて数十例が報告されているが,いくつかのヒト症例とイヌ4例およびウマ1例は渡航歴や輸入歴が無いので,国内感染であると推測されている.ヒストプラスマ症はその原因菌のvarietyによりカプスラーツム,ズボアジ,ファルシミノーズム型に分類され,中でもファルシミノーズム型はウマ,ロバ等の頚部や脚のリンパ管やリンパ節を特異的に侵し,四足獣から分離されたという事実によってのみ他の2種と区別されてきた.我が国でも,戦前,軍馬を中心に2万頭以上に「仮性皮疽」として確認され,日本も本症の流行地の1つとして認識されていた.一方,本邦のイヌ症例は一様に潰瘍と肉芽腫性病巣を伴った皮膚病巣を呈し,仮性皮疽と類似した症状で,呼吸器や消化器病変を欠いていた.4例中3例はパラフィン包埋された病理組織より検出したH.capsulatumのリボゾームRNA遺伝子のITS領域の解析からヒストプラスマ症と診断されている.このような皮膚症状だけを示したヒストプラスマ症は渡航歴の無いヒト症例で確認されており,さらにこの症例で分離された菌株の遺伝子を解析したところH. capsulatum var. farciminosumと同定されている.すなわち,仮性皮疽はウマなどに限らず,本邦ではヒトにも感染する人獣共通真菌症である.よってヒト症例からの検証,臨床症状および歴史的背景から,現時点では,本邦で発症したイヌのヒストプラスマ症もファルシミノーズム型と考えられる.
  • 高橋 一朗
    2003 年 44 巻 4 号 p. 245-247
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    皮膚糸状菌の原因菌種としてはこれまでに約40菌種が記載されている1).これらは疫学的意義から,主に土壌から分離される好土壌性菌(geophilic dermatophytes),動物寄生性が強い好獣性菌(zoophilic dermatophytes),ヒト寄生性の強い好人性菌(anthropophilic dermatophytes)に分けられている.人獣共通真菌症では,普段環境中に生息している菌種が人と動物とに感染する場合,普段動物に寄生している菌が人と接触することで人に感染する場合,さらに普段は人に感染する菌種が動物に感染する場合の3通りがある2).この中でも皮膚科医の立場から最も重要なのは,動物と接触することによって,動物に感染もしくは寄生している好獣性菌にヒトが感染する場合である.これら好獣性菌はそれぞれ種々な動物から分離され,中でも最も重要な菌種は主にイヌ,ネコに感染するMicrosporum canis,主にウシから分離されるTrichophyton verrucosum,げっ歯類をはじめとして多くの動物から分離されるTrichophyton mentagrophytesの3菌種である.これらの菌種における最近の動向について概説する.
  • 高鳥 浩介, 小菅 旬子
    2003 年 44 巻 4 号 p. 249-251
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    近年,我が国ではペットや家畜から感染する様々な人獣共通真菌症が問題視されるようになった.これらの人獣共通真菌症の発生の背景には,人と動物の関係を取り巻く複雑な社会事情があることから,医師や獣医師のような異なる分野間で連携して病気の蔓延の防除に努めることが重要である.
  • 小笠原 弓恵
    2003 年 44 巻 4 号 p. 253-260
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    足白癬・爪白癬の疫学調査が世界的な規模で行われ,その罹患率は足白癬・爪白癬がそれぞれ約20%に認められ,ともに男性に多く,加齢とともにその罹患率が上昇することが明らかにされた.罹患のリスク因子として,スポーツ,平均気温,家族歴あり,罹患と関係する疾患としては,高コレステロール血症,心・血管疾患,糖尿病,骨・関節の病気などとの関係が深いことが指摘された.われわれは,医療機関を受診しない潜在的な足白癬・爪白癬患者の実態調査を試みた.その結果,潜在的足白癬・爪白癬の特徴は,男性に多く,症状スコアは低く,重症度は高い傾向がみられた,その患者背景をみるとKOH検査結果との間で罹患歴,年齢,足の形,合併症,常用している靴の種類などの間で相関関係が認められた.足白癬・爪白癬は,局所的および全身的要因が,年齢とともに互いに作用し,白癬菌の好環境を作ることにより,罹患率が上昇すると推察した.今後さらに潜在的足白癬・爪白癬の実態を明らかにすることが,両疾患の予防,診断,治療成績などの向上に役立つと考えた.
  • 河井 正晶
    2003 年 44 巻 4 号 p. 261-264
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    日常診療上,足白癬,爪白癬をはじめとする白癬は極めて頻度の高い皮膚疾患である.白癬の診断の基本となるのはKOHによる直接鏡検とサブロー・ブドウ糖寒天培地による真菌培養である,しかし菌株によっては必ずしも典型的な培養形態をとらずに,正確な同定が難しいこともある.そこで近年従来の同定法を補完する新たな分子生物学的手法を用いた分類・同定法が考案されてきた.具体的には核DNA,ミトコンドリアDNA,リボゾームRNA(18S,28S),ITS1(internal transcribed spacer 1)領域などの塩基配列を利用して,その電気泳動パターンを見ることで,あるいはdirect sequencingすることで同定する方法である.我々は白癬菌由来のアクチン(ACT)のmRNAとDNAを標的遺伝子として,菌のviabilityの評価と菌の同定をする方法を考案し,良好な結果を得た.現在のところ白癬の診断,同定には,あくまで従来の方法を十分にふまえたうえで,その目的に応じて分子生物学的手法を活用することが大切である.
  • 丸山 隆児, 福山 国太郎, 加藤 卓朗, 杉本 理恵, 谷口 裕子, 渡辺 京子, 西岡 清
    2003 年 44 巻 4 号 p. 265-268
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    フットプレス培養,患者家庭塵埃培養などによる検討結果をもとに,足白癬の感染予防策をまとめた.(1)足白癬患者の足底からは高率に白癬菌散布が生じているが,抗真菌剤の外用を行うことで散布を抑制することが可能である.(2)すでに散布された白癬菌は乾燥状態におけば1ヶ月程度のうちに急速に死滅するが,湿潤した状況下では半年以上にわたって生存する可能性があり,白癬菌に汚染された浴室やバスマットなどは定期的な清掃,洗濯などを行う必要がある.(3)靴を脱いで不特定多数のものが利用する区域では,非罹患者の足底に白癬菌の付着が生ずることが多く,靴下をはいていても菌の付着を完全に予防することは難しい.ただし,付着した白癬菌は足を拭く,洗うなどの簡単な処置で角層内へ侵入する前に除去可能である.家族内感染を防ぐには(1),(2)に従って対応し,家族外感染については(3)に従って対応する習慣を遵守すれば,新たな足白癬の罹患をかなりの程度で予防可能であると考える.
  • 森下 宣明, 二宮 淳也, 清 佳浩, 滝内 石夫
    2003 年 44 巻 4 号 p. 269-271
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    我々は健常人の踵の角質を用いて皮膚糸状菌の侵入に関する要因として温度,湿度,外傷の影響についてこれまで検討してきた.皮膚糸状菌が角質に侵入するためには,至適発育温度である27℃よりも体表温度に近い35℃の方が早く,湿度は90%以上であることが必要である.しかし,外傷部では早期に侵入し,特に湿度90~100%では,0.5日で侵入が始まり,また,湿度80%でさえも1日で侵入が観察された.しかし日常生活で足底に皮膚糸状菌が付着しても足白癬を発症する可能性は低いと思われる.そこで角質に菌を侵入させた後,洗浄することで菌を除去することが可能か検討した.
    温度は35℃とし,家で靴下を履いている場合(湿度100%16時間,湿度90%8時間)と裸足の場合(湿度100%16時間,湿度80%8時間)に分けた.前者では,洗浄前では何れの菌株とも1日で角質内に侵入し,洗浄しても菌を除去することができなかった.後者でも,洗浄前では1日で角質内に侵入が認められたが,洗浄によりほとんどの菌が除去されていた.
    足白癬を予防するには,足の湿度を低く保つこと,連日の足底・趾間の洗浄が必要と考えられ,この何れか或いは両者を怠ることで足白癬の発症の可能性が高まるものと思われた.
  • 古賀 哲也
    2003 年 44 巻 4 号 p. 273-275
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    A delayed-type hypersensitivity (DTH) response to a dermatophyte antigen is one of the host defense mechanisms. Peripheral blood mononuclear cells from patients with dermatophytosis produce a high level of IFN-γ in response to stimulation with trichophytin. The presence of IFN-γ mRNA in skin lesions of dermatophytosis was detected using reverse transcription-polymerase chain reaction. IFN-γ-positive cells were observed immunohistochemically in the upper dermis of the skin lesions. These findings support the hypothesis that the skin lesions of dermatophytosis are associated with a Th1 response. The Th1 response, which is characterized by IFN-γ release, is thought to be involved in the host defense against dermatophytes and to reflect cutaneous reaction in dermatophytosis.
    The stimulation of trichophytin significantly enhanced the release of IL-8 from keratinocytes. These findings account for the accumulation of neutrophils beneath the stratum corneum. The capacity of trichophytin-stimulated keratinocytes to release an enhanced level of IL-8 thus suggests that these cells can indeed help to induce the acute inflammatory response seen in dermatophyte infection. It therefore appears that keratinocytes not only play an important structural role in the formation of a physical barrier to dermatophytes but may also play an important functional role in initiating cutaneous inflammatory reactions, which might be involved in the host defense againt dermatophytes.
    The production of IFN-γ by peripheral blood mononuclear cells from patients with tinea unguium in response to stimulation with trichophytin was not impaired in contrast to that from patients without tinea unguium. Comparable lymphocyte proliferation with trichophytin was observed in both groups. No deficiency in Th1 response to dermatophyte antigen was shown in patients with tinea unguium by measuring the release of IFN-γ, which plays a role in the effector phase of the DTH reaction. A deficiency of Th1 response to dermatophyte antigen, therefore, does not appear to play an important role in the establishment of tinea unguium.
  • 江上 徹也, 野口 美和, 上田 成一
    2003 年 44 巻 4 号 p. 277-283
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科領域の真菌症について総説的に述べた.最も一般的なものは外耳道真菌症で自験例について臨床的,菌学的検討を加えた.同定菌種はAspergillus(A.)terreusが最多で,A. flavus, A. nigerの順であった.アスペルギルス属は手術顕微鏡や内視鏡で外耳道を観察すると分生子頭と菌糸が認められるので,外来での視診時に診断が可能である.Candida属はイースト状の白色耳漏が治療に反応せず頑固に続く際に真菌検査を行って診断される事が多い.市販された抗菌剤の中ではアスペルギルス属に対してはラノコナゾールが抗菌力,殺菌力共に優れていた.A.terreusについて環境由来株と比較すると,外耳道真菌症由来株は麦芽寒天培地での生育速度が遅く,ゲノム上にも相違を認めた.
    副鼻腔真菌症ではアスペルギルス症が一般的でCT所見で上顎洞に石灰化様の濃痰まだらの粘膜肥厚像を認める.内視鏡下に中鼻道を拡大して,fungus ballと呼ばれる乾酪状物質を除去し,副鼻腔のdrainageと換気を改善すれば予後良好である.稀ではあるが眼症状,脳神経症状を合併する場合は致死的疾患としてムコール症を忘れてはならない.
    咽喉頭カンジダで成人の場合は免疫不全,特にエイズに注意が必要である.
  • 安部 茂, 佐藤 祐一, 井上 重治, 石橋 弘子, 丸山 奈保, 滝沢 登志雄, 大島 治之, 山口 英世
    2003 年 44 巻 4 号 p. 285-291
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    アロマテラピーとして経験的に利用され,真菌症に効果があるといわれる植物精油12種について,牛胎児血清を含む培地でのCandida albicansの発育形態に及ぼす作用を調べた.C.albicansをRPMI1640培地で3時間培養して,germ tubeを形成させた後,様々な濃度の精油を添加して,更に16時間培養し,発育菌糸量をクリスタル紫染色法にて測定した.その結果,100μg/mlの濃度で加えた場合には,レモングラス(Lemongrass),タイム(Thyme),パチュリ(Patchouli),シダーウッド(Cedarwood)の各精油が明確な菌糸形発育抑制作用を示した.レモングラス精油の主要構成物質であるcitralは,25~100μg/mlの濃度で菌糸形発育を阻止し,200μg/ml以上では菌糸形発育のみならず,酵母形発育に対しても抑制的に作用した.これらの結果は,C.albicansの発育,とくに菌糸形発育を強く阻止する作用をもつレモングラス精油,もしくはcitralが表在性カンジダ症の局所療法に有用である可能性を示すものである.
  • Reiko Tanaka, Kazuko Nishimura, Yumi Imanishi, Ichiro Takahashi, Yoko ...
    2003 年 44 巻 4 号 p. 293-297
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Cryptococcus neoformans is a pathogenic basidiomycete with a defined sexual cycle involving mating between haploid yeast cells with a transient diploid state. We examined F1 progeny from a crossing between the urease-negative strain (environmental isolate, serotype A, mating type α, haploid) and a tester strain (B 3502 from NIH of USA; urease-positive, serotype D, mating type a, haploid) for serotype, mating type, ploidy and urease activity, and performed partial sequencing of the urease gene. Phenotypes of the F1 progeny and results of SSCP analyses suggested that the serotype AD strain of the F1 progeny is a hybrid of the parental serotype A and D strains.
  • Shahana Sharmin, Akira Ohori, Ayako Sano, Katsuhiko Kamei, Masashi Yam ...
    2003 年 44 巻 4 号 p. 299-306
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    A strain of Histoplasma capsulatum var. duboisii (deposited as IFM 50954 in Chiba University) was isolated from the cerebrospinal fluid of a female Ugandan patient infected with HIV. The isolate had in vitro urease activity on Christensen's urea agar slants, although the common belief is that H. capsulatum var. duboisii is urease negative, and is, considered one of the characteristic markers that distinguishes the three varieties of H. capsulatum. Forty H. capsulatum var. capsulatum, five H. capsulatum var. duboisii, and five H. capsulatum var. farciminosum isolates were evaluated for urease activity on Christensen's urea agar slants and for other qualitative and quantitative urease assays of activity. All 50 isolates of H. capsulatum used in this study were positive for urease activity, suggesting that urease activity may be universal characteristic of H. capsulatum. We also compared the urease activity and pathogenicity of seven H. capsulatum isolates that convert into yeast-form cells. Although isolate IFM 50954 showed moderate virulence in mice and moderate urease activity among tested H. capsulatum isolates, there was no correlation between level of urease activity and pathogenicity. In addition, scanning electron microscopy revealed that some microconidia of isolate IFM 50954 formed “double-cell” configurations that were attached to each other by narrow bases.
  • 室井 栄治, 濱崎 洋一郎, 西本 勝太郎, 毛利 忍, 相楽 裕子, 田辺 恵美子, 亀田 典章, 鈴木 直仁, 手島 伸一, 倉島 篤行 ...
    2003 年 44 巻 4 号 p. 307-319
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
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