Sporothrix schenckii, dematiaceous fungi さらには
Petriellidium boydii (
Scedosporium apiospermum), dermatophytes などによる稀有な内臓真菌症について自験例を含めてreviewを行つた. さらに, これらの疾患の治療に有効と思われる薬剤4種 (ketoconazole, clotrimazole, amphotericin B, 5-flucytosine) について
in vitro での抗菌価測定試験を行つたが, 温度の影響を加えることによつてどのような結果が得られるかを検討した.
Sporothrix schenckii は, 温度による影響が大で, 37℃では全く発育を示さなかつたが, 27℃の条件下では ketoconazole が最も秀れた効果を示した. 黒色真菌の各菌種に関しては, 4薬剤のうち ketoconazole が全般に良い成績を示したが,
Fonsecaea pedrosoi と
Exophiala dermatitidis の一部の菌株では, 温度が上がるにつれて抑制傾向が見られるものがあつた. Amphotericin B の抗菌効果は菌種によつて大きな差が見られるが, 高温条件下では著明な抗菌効果を示すものが少なくなかつた.5-FCも amphotericin B の場合と同様, 温度の影響がかなり見られた. また2薬剤の相乗効果を同様に
in vitro で検討したが, ketoconazole+amphotericin B, ketoconazole+5-FC で若干の抗菌活性増強が見られた.
P. boydii (
S. apiospermum) に対しては4薬剤の中でketoconazoleが最も秀れており, 次いで clotrimazole で, 他の2種は殆んど抗菌力を示さなかつた. 温度による影響も見られなかつた. なお, これら一連の
in vitro の実験において Sabouraud dextrose agar と Bacto-Yeast-Morphology agar の培地の差は殆んど認められず, むしろ温度による影響の方が注目された.
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