目的 : 肝USスコアが, 病理学的に診断された進行慢性肝炎 (F3) と初期肝硬変 (F4) との鑑別にどの程度有用であるかを, 陽性感度, 特異度, および尤度比を算出して明らかにする. また, 脾サイズ (超音波による脾係数) および血液・生化学検査項目についても同様の算出を行って結果を対比する.
方法 : 慢性肝疾患患者100症例 (F3:45症例, F4:55症例) を対象とした. 腹部超音波所見の肝辺縁の鈍化度, 肝表面不整度, および肝実質の粗造化度について観察した結果をスコア化した肝USスコアを用い, 適切と思われる閾値を設定してF4陽性感度, 特異度および陽性尤度比を求めた. 脾係数および血液・生化学的検査項目についても同様の算出を行い, 成績を比較した.
結果 : 肝USスコアで閾値を6以上とすると, F4を診断する際の陽性感度は98%, 特異度は91%, 陽性尤度比は11.05であった. この成績は, 脾係数および血液・生化学的検査結果において適切と思われる閾値を設定した場合より良好であった.
結論 : 肝USスコアのF4陽性感度, 特異度, 尤度比は, 脾係数や血液, 生化学検査のそれと比べ, いずれも良好であり, 初期肝硬変 (F4) と慢性肝炎 (F3) の鑑別に肝USスコアは有用であると思われた.
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