目的:近年,僧帽弁血流波形(TMF)は左室拡張機能評価の第一歩としてルーチンに記録される.健常者のTMFは,若年者ではE>Aだが加齢とともにE/Aは小さくなり,やがてE<Aとなることが知られている.また,高血圧患者では左室コンプライアンスの低下により左室充満における心房収縮の寄与が高まり,より若い年齢でE/Aが小さくなると考えられるが,これに関する国内のデータは少ない.そこで高血圧患者のTMFにおけるE/Aの加齢による変化を明らかにしたいと考えた.
対象と方法:当院の心エコー検査報告書のデータベースを検索し,高血圧患者(
n=553)および対照群(
n=394)を対象とした.各群で年齢による区分けをし,E/Aを群間また年齢別に比較検討した.
結果:対照群では加齢とともに緩やかなE/Aの低下を認め,60歳代でE/Aの平均値が1以下となった.一方,高血圧患者ではE/Aの低下が早期に認められ,50歳代でE/Aの平均値が1以下となった.
結論:高血圧患者では対照群に比べてE/Aの平均値としては約10歳早くE/Aの逆転が見られた.
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