目的:携帯型超音波装置の普及により,救急外来や一般診察室で超音波検査が手軽に利用出来るようになった.救急外来における携帯型装置を用いた腹部超音波検査の有用性について検討した.
対象と方法:事前に診断されていない非外傷患者で,救急外来にて病歴・身体所見を取得された後,著者により2種類の携帯型装置のいずれかを用いて腹部超音波検査を施行され,さらに単純X線検査を除く画像診断,内視鏡,手術いずれかが施行された144例を抽出し,病変部位の特定に関し携帯型超音波装置の精度をretrospectiveに検討した.
結果:116例(81%)の超音波所見は,原発・主病変の部位について最終診断と一致したが,28例(19%)は一致しなかった.28例中25例では原発・主病変を描出出来なかったが,そのうち4例は治療方針決定に寄与する重要な間接所見が得られた.一方,主病変の部位を誤って判断したのは28例中3例とわずかであった.
結論:救急外来にて病歴と身体所見を取得後に施行した携帯型装置による腹部超音波検査は,病変部位を特定するのに有用である.
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