超音波医学
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36 巻, 3 号
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特集「び慢性肝疾患の超音波診断」
  • 石田 秀明
    2009 年 36 巻 3 号 p. 275
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/29
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  • 長井 裕
    2009 年 36 巻 3 号 p. 277-288
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル 認証あり
    超音波診断装置の特徴であるグレースケールによる断層像表示は,輝度情報の中に含まれる重要な診断情報を表現出来ることであり,それが医療現場における超音波診断装置の大きな信頼に繋がっている.本解説は,輝度表示であるBモード法の歴史に触れながら,その基礎的な原理と特徴について説明をする.また,超音波自体の減衰との関係や,肝実質に見られるスペックルパターンの発生メカニズムについても,技術的観点から説明をする.また,最後に最新技術としての組織弾性計測についての概説も付け加えたい.
  • 小川 眞広, 廣井 喜一, 松本 直樹, 阿部 真久, 森山 光彦
    2009 年 36 巻 3 号 p. 289-300
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル 認証あり
    びまん性肝疾患に対する主な画像診断の目的は,(1)形態変化から見た病態の把握と重症度の判定,(2)合併症および肝外病変の有無の観察,(3)原因疾患の推測の三点である.腹部超音波検査では,通常の3‐5MHzコンベックスプローブを用い観察を行うが,我々の施設ではこれに引き続きリニア型の高周波プローブでの観察を加えることでさらに詳細な情報が得られるため活用している.びまん性肝疾患の診断において重要点は,障害部位がどこなのか?また,その部分にどのような変化が起こったのか?(破壊性か?異常沈着か?流入・排泄障害か?)を推測しながら検査を進めていくことである.ここでは,びまん性肝疾患に対する超音波診断法のポイントを,実際検査をする際着目する項目ごとに具体的に述べる.
  • 住野 泰清, 和久井 紀貴, 高山 竜司, 中島 早苗, 渡辺 学
    2009 年 36 巻 3 号 p. 301-318
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル 認証あり
    びまん性肝疾患の診断は,肝実質の組織性状解析から始まる.それにはBモードによる詳細な検討が必須であるが,腫瘤性病変と異なり肝全体が病変であるびまん性肝疾患では,病変と非病変を同一画面上で比較出来ない.このように多少とりつきにくいびまん性肝疾患の超音波診断ではあるが,すでに臨床現場では欠くことの出来ない最も身近な診断ツールとなっていることも事実である.本稿ではこのお役立ちツールをいかに使いこなすか,筆者の経験を通じ,Bモードを中心に述べる.また近年,組織歪みを応用した肝線維化診断,造影超音波による肝組織性状診断,スペックルシグナル解析による組織診断など様々な補助診断法が検討されているので,後半ではそれらにも触れる.
  • 松谷 正一
    2009 年 36 巻 3 号 p. 319-327
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル 認証あり
    び漫性肝疾患では進行に伴って門脈圧亢進症(食道胃静脈瘤出血,肝性脳症,腹水,脾機能亢進症)を来たすようになる.本論文では腹部エコーによる門脈圧亢進症の診断について概説する.門脈圧の上昇に伴って超音波により門脈の拡張や呼吸性変動の低下,脾腫が捉えられるようになる.さらに,門脈側副血行路が検出されるようになると,腹部エコーにより進行した門脈圧亢進症の診断が可能となる.門脈側副血行路は,その発達様式により臨床病態が異なり,最も形成頻度が高い左胃静脈や短胃静脈の発達は食道胃静脈瘤の形成に関与する.また,門脈大循環短絡路径が10mmを越えるようになると,高アンモニア血症を来たして意識障害を起こし易くなる.このような門脈側副血行路の発達は,門脈圧亢進症の諸症状に直結することからも,腹部エコーによる診断はび漫性肝疾患の診療を的確に行う上できわめて重要と言える.また,腹部エコーによる診断の際には,Bモードに加えて超音波ドプラ(FFT,カラードプラ)法を活用して,血行動態の把握に努めることが大切である.
  • 加藤 隆佑, 石田 秀明
    2009 年 36 巻 3 号 p. 329-340
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/29
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    本稿ではまず門脈の解剖とその超音波像について述べ,それを基盤に門脈圧亢進症における変化について解説する.門脈と肝動脈は肝臓に血液を送り,末梢類洞にて動脈血と門脈血は交わる.脾静脈と上腸間膜静脈は合流して門脈本幹を形成し,そこから右と左の門脈枝を出す.肝硬変などにより門脈圧亢進症が亢進すると門脈の血行動態は変化する.まず,血管抵抗が増加する.それを代償しようとして側副血行路が出来る.しかし,門脈圧を正常化させることは出来ず,血管抵抗は増加し続ける.門脈圧が増加するにしたがい,血行動態は求肝性からto-and-froを経て遠肝性になる.肝内もしくは肝外の短絡路を通して門脈から下大静脈や上大静脈といった大循環系の静脈に浄化されない門脈血は流れ込む.上大静脈に繋がる短絡は胃や食道の静脈瘤の形成に寄与する.下大静脈に繋がる短絡は傍臍静脈や脾腎短絡などが挙げられる.本稿ではさらに門脈血栓・門脈ガス・門脈肝内静脈短絡といった門脈系異常が腹部エコーにおいてどのように描出され,どのようにそれを解釈するかに重点をおいて補足的に解説する.
症例報告
  • 三村 貴志, 長谷川 潤一, 市塚 清健, 松岡 隆, 大槻 克文, 関沢 明彦, 岡井 崇
    2009 年 36 巻 3 号 p. 341-345
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/29
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    EXIT(ex utero intrapartum treatment)とは,出生直後の気道確保が困難であると予測される頸部腫瘍などの症例に対して,児娩出に際し胎児・胎盤循環を維持しながら児の一部を子宮外に露出し気道確保を行い,肺呼吸への移行を円滑,かつ安全にする方法である.症例は30歳,女性.1回経妊,0回経産.前医より頸部腫瘍を指摘され当院を受診した.経腹超音波にて胎児の頸部に9.0cm×7.7cm大のlow echoで内部に隔壁を伴うhypovascularな多嚢胞性腫瘤を認めた.下顎の輪郭は保たれ,頸部前面を覆う様な腫瘤であった.さらに,MRI検査を追加し頸部lymphangiomaが疑われた.巨大頸部腫瘍があるため,出生後の気道狭窄が懸念され,安全に児の気道確保を行うためEXITの方針とした.妊娠37週1日で帝王切開術を施行した.児娩出時にEXITを施行し気道確保後,安全に児を娩出することが出来た.児は女児で,体重3,145g,Apgar scoreは1分後4点,5分後5点で,臍帯動脈血ガスpHは7.233であった.頸部にはソフトボール大の腫瘤を認め,穿刺吸引による内容はリンパ液であり,lymphangiomaと診断された.その後の児の経過は良好である.
今月の超音波像
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