超音波医学
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36 巻, 5 号
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原著
  • 高見 諭加子, 谷 好子, 衞藤 美佐子, 栗本 美幸, 丸田 淳子, 橋本 裕信, 山下 裕人, 村上 司, 野口 志郎
    2009 年 36 巻 5 号 p. 571-577
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル 認証あり
    目的:甲状腺髄様癌には超音波Bモード断層像上,乳頭癌を疑わせる不整形の結節として描出される例と濾胞腺腫を疑わせる卵円形の結節として描出される例があることが知られている.組織像との比較を行うことにより甲状腺髄様癌の超音波像の特徴とその成り立ちについて検討した.対象と方法:甲状腺髄様癌22例を超音波像の形状をもとに卵円形群と不整形群の2群に分け,切除標本のCongo-red染色,Elastica van Gieson染色を行い,腫瘍内のアミロイドおよび膠原線維の占める割合を比較検討した.また,超音波像で腫瘍内に高エコー部を認めた症例についてアミロイドとの関連を比較検討した.結果と考察:超音波像での形状の内訳は22症例中,卵円形群8(36.4%),不整形群14例(63.6%)であった.アミロイドと膠原線維の占める割合は卵円形群に比べ不整形群に有意(p=0.0195,p=0.0014)に高かった.超音波像で高エコー部が認められた症例は22例中15症例あり,そのうち13例が不整形であった.高エコー部を呈していた症例は切除標本にて全例石灰化を確認した.石灰化はアミロイド内や膠原線維内に存在しており,アミロイドの多い症例ほど高エコー部が多発していた.結論:アミロイド,膠原線維を含む間質の量が多い甲状腺髄様癌は不整形を示すことが多い.アミロイド沈着が高度な例に高エコー部が多い.
  • 橋内 智尚, 桜井 悟良, 酒本 佳洋
    2009 年 36 巻 5 号 p. 579-584
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル 認証あり
    目的:除痛を目的とした肩峰下滑液包(subacrominal bursa: SAB)注射に関して,超音波装置を利用して注射した場合と盲目的に行った場合とで,効果に差が出るかを調査した.対象と方法:肩関節痛の原因が肩峰下滑液包炎に由来すると考えられる症例を対象とした.症例は10例13肩で,平均年齢は57.6歳であった.SABへの注射は盲目的注射と超音波ガイド下注射とも肩峰の前外側よりSABへ向けて1% lidocaineを2ml注入した.施行者は卒後12年目の日本整形外科学会専門医一人で,まず超音波ガイド下に注射を行い,その1週間後同一患者に盲目的注射を行った.評価方法は注射前,注射1分後,注射5分後,注射10分後,注射15分後,注射20分後,注射25分後,注射30分後に疼痛の出る肢位を再現してもらい,疼痛の程度を0‐10まで0.5刻みに21段階に点数表示した疼痛スケールを用いて,各評価時間の疼痛を点数として示してもらった.注射前と各評価時間での点数の差を出して,その値を注射前の点数で除した数値を軽快率として算出し比較検討した.結果:軽快率の平均値は全ての時間帯で超音波ガイド下注射が盲目的注射に勝っており,1分後,5分後,10分後,20分後,25分後,30分後の軽快率において有意差を認めた(P<0.05).結論:除痛を目的にSABへ注射する場合は,盲目的ではなく超音波ガイド下に注射する方が効果を出し易い.
症例報告
  • 桜井 正児, 辻本 文雄, 太田 智行, 北川 博昭, 中島 康雄, 信岡 祐彦
    2009 年 36 巻 5 号 p. 585-590
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル 認証あり
    メッケル憩室は最も頻度の高い消化管奇形であり,合併症としてメッケル憩室に伴う索状構造物によるイレウスがある.今回,我々は腹部超音波検査でイレウスと診断し,メッケル憩室とこれに連続した索状物が原因ではないかと推測しえた症例を経験したので報告する.本症例では,絞扼性イレウスの超音波所見として腸管の拡張と腸蠕動の低下,小腸壁の肥厚と限局した腹水,ケルクリング襞壁の消失および小腸内の腸内容液のto and fro movementの消失を認めた.これら所見に加え,メッケル憩室と思われる盲端に終わる拡張した管状構造物が臍部右側に描出され,これに索状物が連続していることも観察出来た.一般的に術前診断が困難とされているが,メッケル憩室に関連した絞扼性イレウスを疑って注意深く観察すれば,術前診断が十分可能であることが示唆された症例であった.
今月の超音波像
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