目的:甲状腺髄様癌には超音波Bモード断層像上,乳頭癌を疑わせる不整形の結節として描出される例と濾胞腺腫を疑わせる卵円形の結節として描出される例があることが知られている.組織像との比較を行うことにより甲状腺髄様癌の超音波像の特徴とその成り立ちについて検討した.
対象と方法:甲状腺髄様癌22例を超音波像の形状をもとに卵円形群と不整形群の2群に分け,切除標本のCongo-red染色,Elastica van Gieson染色を行い,腫瘍内のアミロイドおよび膠原線維の占める割合を比較検討した.また,超音波像で腫瘍内に高エコー部を認めた症例についてアミロイドとの関連を比較検討した.
結果と考察:超音波像での形状の内訳は22症例中,卵円形群8(36.4%),不整形群14例(63.6%)であった.アミロイドと膠原線維の占める割合は卵円形群に比べ不整形群に有意(p=0.0195,p=0.0014)に高かった.超音波像で高エコー部が認められた症例は22例中15症例あり,そのうち13例が不整形であった.高エコー部を呈していた症例は切除標本にて全例石灰化を確認した.石灰化はアミロイド内や膠原線維内に存在しており,アミロイドの多い症例ほど高エコー部が多発していた.
結論:アミロイド,膠原線維を含む間質の量が多い甲状腺髄様癌は不整形を示すことが多い.アミロイド沈着が高度な例に高エコー部が多い.
抄録全体を表示