超音波医学
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40 巻, 4 号
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総説
  • 鴨井 和実
    原稿種別: 第11回教育セッション(泌尿器)
    2013 年 40 巻 4 号 p. 383-392
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/23
    [早期公開] 公開日: 2013/06/05
    ジャーナル 認証あり
    超音波エラストグラフィーは非侵襲的な方法で組織の硬さの違いを表示する技術であり,直腸面から離れた部分の「触診」を可能にする.前立腺癌の診断におけるエラストグラフィーの有用性については,腫瘍組織が周囲の正常組織よりも硬いことを根拠としており,その他の超音波画像診断と比べても高い前立腺癌検出の感度を期待されてきた.本稿の目的は,エラストグラフィーの前立腺癌診断における有用性についてレビューを行うことである.
  • 金川 公夫
    原稿種別: 第11回教育セッション(小児科)
    2013 年 40 巻 4 号 p. 393-398
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/23
    [早期公開] 公開日: 2013/06/05
    ジャーナル 認証あり
    小児の表在臓器の病変の多くは頸部に認められるが,他の部位に生じる皮下組織の病変にも知っておきたいものがある.頸部病変を先天性疾患,嚢胞性腫瘤,充実性腫瘤,感染,血管腫と血管奇形に分類して,その他に頸部以外の病変を含めた.それぞれの領域の疾患の超音波検査所見を解説した.先天性疾患では発生学を踏まえて診断する必要があるため,発生についても要点を解説した.また,血管腫と血管奇形は臨床的に重要なISSVA(the international society for the study of vascular anomalies)分類に準じて述べた.
原著
  • 大瀬 寛子, 長谷川 潤一, 仲村 将光, 濱田 尚子, 三科 美幸, 松岡 隆, 市塚 清健, 大槻 克文, 関沢 明彦, 岡井 崇
    2013 年 40 巻 4 号 p. 399-405
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/23
    [早期公開] 公開日: 2013/06/05
    ジャーナル 認証あり
    目的:妊娠中の胎児発育は推定体重によって評価されるが,母体の体型は考慮されず,小さい体型の母体では,見合った適正な発育であっても胎児発育遅延と診断されることがある.母体の体型が胎児推定体重にどの程度影響を与えるか知ることを目的として本研究を行った.対象と方法:2005‐2010年に在胎28週以後に当院で分娩した症例の,在胎日数,出生体重,経産回数,性別,母体体重,母体身長および分娩直前に測定された胎児推定体重を診療録より後方視的に調査し,胎児推定体重との関連を検討し,重回帰分析を用いて母体体型による児体重推定式を作成した.結果と考察:3,417例を検討した.在胎日数,性別,母体体重,母体身長は分娩直前に測定された胎児推定体重と関係する因子であった.また,推定体重に影響を与える因子の重回帰分析の結果,推定体重=-4,825+4.7×母体身長+5.7×母体妊娠前体重+24.2×在胎日数+62.5×性別(男子=1,女子=0)(標準偏差=0.7513×在胎日数+127.91)のモデルで表されることが分かった.結論:児の予後との関連は別途に検討すべきであるが,胎児発育評価においては小さい母体では,分布が小さい方へシフトすることが明らかになった.本研究結果を用いて,母体体型を考慮した胎児発育の臨床評価を行い,今後の管理に役立てたい.
症例報告
  • 高橋 信, 佐藤 陽子, 鳥谷 由貴子, 中野 智, 早田 航, 小山 耕太郎, 千田 勝一
    2013 年 40 巻 4 号 p. 407-412
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/23
    [早期公開] 公開日: 2013/06/05
    ジャーナル 認証あり
    今回,心室中隔欠損と僧帽弁狭窄を合併し高度の肺高血圧を来たした11ヵ月の男児を経験した.心臓超音波検査で,大きな膜様部心室中隔欠損とcomplete bridge typeの重複僧帽弁口がみられ,左室流入血流圧較差は増大し,顕性化した僧帽弁狭窄の所見を認めた.心臓カテーテル検査でも高度の肺高血圧を呈し,NO負荷試験で肺血管閉塞性病変は否定した.相対的僧帽弁狭窄の程度が不明のため外科的治療として心室中隔欠損閉鎖術を行った.術後に肺高血圧が軽減し,僧帽弁狭窄の程度は軽度のため経過観察とした.心室内左右短絡を伴った重複僧帽弁口の評価において,術前に様々な方法で有効僧帽弁口面積を推測することが,治療方針決定に重要であり,その方法として心臓超音波検査は有用であった.
  • 石川 祐子, 池田 克実, 木下 優佳, 西澤 輝彦, 中通 由美, 横田 重樹, 上川 禎則, 福島 裕子, 井上 健, 小川 佳成
    2013 年 40 巻 4 号 p. 413-417
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/23
    [早期公開] 公開日: 2013/06/05
    ジャーナル 認証あり
    症例は75歳,男性で,2008年に左腎細胞癌(T1bN0M0)で左腎摘除術を受けている.病理診断はrenal cell carcinoma(clear cell carcinoma)であった.術後3年目のfollow up CTで,左乳房内に径7mmの高濃度結節を認めた.さらに,半年後のCTでは径13mmと増大傾向を認めた.USは左乳房CD領域に境界明瞭で,内部血流の豊富な低エコー腫瘤を認め,針生検で腎癌と類似した組織像を認め,renal cell carcinomaの乳腺転移と診断した.男性の原発性乳癌は全乳癌の1%程度であるが,転移性乳癌はさらに稀少である.また,転移性乳癌の原発巣は本邦では対側乳癌,胃癌,白血病,悪性リンパ腫の順に多いが,腎癌からの乳腺転移はほとんど報告例をみない.今回我々は,男性で腎癌の乳腺転移と診断した非常にまれな症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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