超音波医学
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41 巻, 1 号
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総説
  • 片山 博視, 岸 勘太, 尾崎 智康
    2014 年 41 巻 1 号 p. 3-16
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/24
    [早期公開] 公開日: 2014/01/09
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    左室心筋緻密化障害(left ventricular noncompaction: LVNC)は比較的最近認識されるようになってきた心筋症で,過剰な肉柱形成と深い肉柱間の間隙を有する.その臨床像は無症状の症例から高度の心機能障害を有するものまであり,きわめて多彩である.本疾患の認識が広まるにつれ,以下のような幾つかの解決すべき問題点が明らかになってきた.
    1) どのように診断するのか?(診断基準の問題)
    2) 病因は何か? 発生段階の異常によるものなのか? 後天的なものなのか?
    3) 特異的な心筋疾患なのか? 他の心筋疾患とのオーバーラップは?
    4) 神経筋疾患との関連は?
    5) 自然歴,予後決定因子は?
    6) 症状のない症例に機能異常が潜んでいるのか?(超音波検査による心筋機能評価)
    今回,我々はこれらの問題点と新たな知見を中心に,小児の自験例も交え,概説する.
原著
  • 太田 志代, 日高 庸博, 山本 亮, 笹原 淳, 石井 桂介, 米田 光宏, 川原 央好, 窪田 昭男, 稲村 昇, 光田 信明
    2014 年 41 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/24
    [早期公開] 公開日: 2013/12/02
    ジャーナル 認証あり
    目的:先天性左横隔膜ヘルニアにおける出生直前の超音波胎児肺胸郭断面積比(LT比)の短期予後予測因子としての有用性を検討した.対象と方法:2005年9月から2012年3月の間に当院で管理した孤発性左横隔膜ヘルニア症例を対象に,診療録より後方視的に検討した.出生直前のLT比の値0.08未満と0.08以上で対象を2群に分け,重篤な合併症なき生存退院の割合,人工換気・酸素投与期間,パッチ必要例・手術不能例の割合を両群間で比較検討した.LT比0.08未満で予後不良を予測する場合の陽性適中率,陰性適中率を算出した.LT比と生後の人工換気・酸素投与日数の相関関係を評価した.結果と考察:LT比<0.08群に12例,LT比≧0.08群に28例が分類,計40例の対象のうち重篤な合併症なき生存退院例は34例(85%)であった.合併症なき生存退院の割合は,LT比<0.08群で7/12(58%),LT≧0.08群で27/28(96%)であり,前者で有意に低かった.生存例における人工換気・酸素投与日数は前者で有意に長く,手術不能例・パッチ必要例は前者で有意に多かった.LT比0.08未満で予後不良例を予測する場合の陰性適中率は96%,陽性適中率は42%であった.出生直前のLT比と生後の人工換気・酸素投与日数に負の相関関係を認めた.結論:出生直前のLT比は左横隔膜ヘルニア児の短期予後の予測因子として有用である.
症例報告
  • 森 宏樹, 北出 和史, 守安 謙志, 物部 真子, 長谷部 愛, 有田 勝, 水谷 哲, 柏瀬 一路, 上田 恭敬, 榊 雅之
    2014 年 41 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/24
    [早期公開] 公開日: 2013/12/03
    ジャーナル 認証あり
    67歳,男性.2009年1月,他院に入院し,左冠動脈主幹部病変を伴う冠動脈2枝病変と診断された.その後,手術目的のため当院に紹介され,3月に冠動脈バイパス手術が施行された.紹介元に転院となり実施された冠動脈造影にて,吻合部直後の左冠動脈前下行枝に狭窄が認められたため,10月に経皮的冠動脈形成術が施行された.施術中に造影剤の血管外漏出を認め,バルーンによる穿孔が疑われたために手技を中止し,心嚢液の増加に注意しながら経過観察されていたが,心臓超音波検査で前室間溝に嚢胞状の腫瘤を認めたため,同日,再び当院に紹介された.入院翌日に実施した心臓超音波検査では,嚢胞状の腫瘤が50×44×32 mmであった.10月下旬には,57×47×70 mmと著明に増大し,破裂の危険も考えられたため,3日後開胸的冠動脈仮性動脈瘤遮断術が施行された.術後1年の心臓超音波検査では,瘤の消失が認められた.今回,経皮的冠動脈形成術中に発生した仮性冠動脈瘤を経験した.瘤の大きさを超音波検査で経時的に評価し,破裂の危険を回避することができた.
  • 松原 浩, 浦野 文博, 内藤 岳人, 藤田 基和, 山田 雅弘, 山本 英子, 竹山 友章, 田中 浩敬, 田中 卓, 岡村 正造
    2014 年 41 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/24
    [早期公開] 公開日: 2013/12/19
    ジャーナル 認証あり
    症例は70歳代男性.S状結腸癌による腸閉塞で,当院外科にて手術となった.術前の造影CT 検査で膵頭下部領域に濃染する単発の病変を偶発的に認め,S状結腸癌術後に精査目的で当科紹介となった.経腹壁超音波検査で病変は指摘されなかった.超音波内視鏡検査(EUS)では,膵頭下部近傍に5 mm大,境界明瞭で類円形の低エコー病変を認めた.病変はカラードプラEUSで血流シグナルを認めず,充実性病変を疑った.Sonazoid®を用いて造影カラードプラEUSを行うと,強い血流シグナルを有する病変を認め,連続する拍動性の血管を認めた.血管性病変と診断し,3D-CT angiographyを撮影構築したところ,膵十二指腸動脈瘤が認められた.動脈瘤破裂に対する予防目的で,経皮的動脈瘤コイル塞栓術を施行した.超音波造影剤の投与により,ドプラ感度を上げることで診断しえた膵十二指腸動脈瘤の1例を経験した.
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