目的:近年の機器の進歩により,脂肪肝における各Bモード所見の出現頻度が変化している.また,non alcoholic fatty liver disease activity score(NAS)では組織脂肪化を5%以上と分類しているため,Bモードでの各脂肪化所見に関して,NASの脂肪化分類に準拠し検討を行った.
対象と方法:肝組織診断と超音波検査を施行した75症例.東芝製Aplio XGを使用しBモードの脂肪化所見である肝腎コントラスト,bright liver, 深部減衰の増強,脈管不明瞭化に加え限局性低脂肪化域の出現頻度とNASの脂肪化分類を比較検討した.
結果:NASとUS脂肪肝の比較;肝腎コントラストおよびbright liverの両方を認める例,ないしはそれらの所見が軽微な場合,限局性低脂肪化域を併せて認める例をUS脂肪肝とすると,NAS脂肪化分類のGrade0/1/2/3(S0‐3)では0%/52%/100%/100%がUS脂肪肝となった.また,5‐33%の軽度脂肪化例では組織脂肪化を5‐10%/11‐20%/21‐33%に細分類すると,21%/88%/100%がUS脂肪肝となった.Bモードでの各脂肪化所見の有無;高度脂肪肝の所見である深部減衰の増強はS2:10%/S3:75%,脈管不明瞭化はS2:0%/S3:38%に認められ,限局性低脂肪化域はS1/2/3では32%/70%/88%と高度になるにつれ認められた.
まとめ:機器の進歩により深部減衰の増強と脈管不明瞭化の出現頻度は減少した.また,bright liver,肝腎コントラストはもちろんのこと,限局性低脂肪化域の所見も重要であり,10%程度の軽度脂肪化から指摘可能と考えられた.
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