目的:慢性肝疾患で最も初期に起こる形態変化として肝左葉内側区域(S4)の萎縮が報告されている.Bモード画像によりC型慢性肝炎患者のS4の萎縮を評価し,FibroScan
®(以下,FS)による肝線維化指標との比較を行った.
対象と方法:対象はC型慢性肝疾患で腹部超音波検査とFSを同日に施行した52例.S4形態は,門脈左枝横行部‐S4辺縁間距離(以下,S4距離)で評価した.肝線維化は,FSのStiffnessの中央値をgold standardとして判断した.S4距離とStiffness,各血液検査データ,脾腫との相関を検討した.
結果:S4距離をFSにおける肝線維化staging毎に評価するとF0,F1,F2,F3,F4では平均4.0 mm,4.2 mm,7.6 mm,7.9 mm,9.5 mmと長くなり,F0とF2・F3・F4間,F1とF2・F3・F4間に有意差を認めた.Cut off値を5.6 mmとするとF2以上はsensitivity 91.3%,specificity 80.0%で区別できた.S4距離と各血液検査データとの間に相関を認めた.脾腫との間には相関は認めなかった.
結語:S4距離での肝線維化評価は,簡易的かつ客観的肝線維化stagingの新しい評価法の1つとなり得ることが示唆された.特に,F1以下とF2以上を高率に検出できる点で臨床的に有用な手段と考える.
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