非瘢痕子宮に発症する子宮破裂は診断に難渋することが多い.今回非瘢痕子宮の妊婦が分娩後に原因不明のショックのため産褥搬送となり,超音波検査により子宮破裂と診断した2例を経験した.1例目は34歳の初産婦に対し妊娠41週1日に分娩誘発を行った.胎児機能不全のため子宮底圧迫法を併用した吸引分娩で3,370 g,Ap 9/10の女児を娩出したが,分娩2時間後ショックとなり搬送されてきた.来院時血圧106/66 mmHg,心拍数153/分,Shock Index(以下SI)1.5であった.経腹超音波上,子宮水平断で左側筋層の連続性の途絶を認め,子宮破裂と診断した.造影CT検査を行った後,開腹し破裂部分を縫合止血した.2症例目は40歳の3経妊1経産の妊婦に対し,妊娠40週5日に分娩誘発を行った.胎児機能不全のため子宮底圧迫法を併用した吸引分娩で2,670 g,Ap 2/2の女児を娩出したが,分娩20分後にショックとなり搬送されてきた.来院時血圧101/73 mmHg,心拍数123/分,SI 1.2であった.経腹超音波上,子宮水平断で右側筋層の連続性の途絶を認め,子宮破裂と診断した.造影CT検査を行った後,開腹したが子宮の温存は困難であったため,子宮全摘出術を行った.分娩後ショックとなった場合,非瘢痕子宮であっても子宮破裂を鑑別すべきであり,診断には超音波検査で子宮水平断の子宮筋層の連続性を確認することが簡便で有用である.
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