乳管内進展を伴った乳癌症例では,一般的に造影MRIが広がり診断に有用と考えられている.造影MRIは,重篤な腎障害や気管支喘息のある患者は原則禁忌であるが,超音波造影剤ソナゾイド
®は,安全性が高く腎障害や喘息の既往があっても使用できる.今回我々は,ソナゾイド
®造影超音波で広範囲な乳管内進展を描出できた2例を報告する.1例は喘息,もう1例は透析患者で造影CT/MRIは実施できなかったが,ソナゾイド
®造影超音波では副作用を認めなかった.症例1は73歳女性.マンモグラフィ(MG)で腫瘤から連続する淡く不明瞭な石灰化を区域性に認め乳管内進展が示唆されたが,Bモードでは乳管内進展を疑う所見を認めなかった.症例2は67歳女性.MGで腫瘤近傍に多形性不均一な石灰化が区域性に分布し,Bモードで腫瘤から連続する低エコー域を認め,乳管内進展が示唆された.いずれの症例も,ソナゾイド
®造影超音波で乳管内進展は腫瘤から連続する帯状濃染域として描出され,時間輝度曲線(time intensity curve: TIC)では主腫瘤と同様のピークとwashoutを示した.造影超音波での濃染の広がりの結果から,症例1は部分切除術を症例2は乳房全摘術を選択した.病理では広範囲に拡張乳管内に増殖した乳管内癌成分を認め,病変断端は陰性であり治療方針にも寄与した.
抄録全体を表示