超音波医学
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44 巻, 2 号
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血管エコーで知っておきたい典型的な「サイン」
  • 高坂 仁美, 濱口 浩敏
    原稿種別: 血管エコーで知っておきたい典型的な「サイン」
    2017 年 44 巻 2 号 p. 129-136
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2017/03/02
    ジャーナル 認証あり
    頭頸部領域の超音波像でみられる血管炎のサインとしては,高安動脈炎において頸動脈の短軸像でみられるマカロニサイン,巨細胞性動脈炎において浅側頭動脈の短軸像でみられるhypoechoic haloサインが特徴的である.いずれも大動脈から全身の大血管に炎症を及ぼし様々な症状を呈するが,頭頸部エコーでの異常所見を契機に発見され,診断につながる症例が少なからず存在する.高安動脈炎でみられる超音波所見としては,血管周囲の低輝度病変,等~高輝度の内中膜複合体(intima media complex : IMC)肥厚,外膜不明瞭化,縮窄,閉塞など多様性がある.これらは時相により変化するものと考えられるが,縮窄,閉塞に至ると,変化することはほとんどなくなる.巨細胞性動脈炎でみられるhypoechoic haloサインは,血管周囲に低輝度な全周性の広がりを観察することで判断する.他にもIMCの肥厚,拡張・蛇行,瘤形成,内腔の狭小化・閉塞など多様な画像が認められる.
  • 西上 和宏
    原稿種別: 血管エコーで知っておきたい典型的な「サイン」
    2017 年 44 巻 2 号 p. 137-139
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2017/02/13
    ジャーナル 認証あり
    大動脈解離をエコーでスクリーニングし,さらに精査・治療につなげることは,臨床的に極めて重要である.大動脈の描出に関して,上行大動脈には上位肋間(Superior sternal view),下行大動脈には小さいscale(small scale view)で心臓ウインドウに,腹部大動脈は心窩部(Sub-xiphoid view),大動脈弓部は胸骨上(Supra-sternal view)の4Sアプローチが有用である.救急で致死的胸痛関連疾患に対応する際のEASY (plus) screeningを提唱している.偽腔開存型のフラップは自動車会社MAZDAのシンボルに似ており,再解離で3腔の場合はBenzのシンボルに似ている.偽腔閉塞型は壁在血栓や粥状巣と類似しているが,表面は平滑(Smooth),形態は三日月状(Crescent),エコー性状は均一高め(Lucent),範囲は(Extensive)となることからSclerosisと憶える.大動脈解離の合併症の一つに血栓塞栓性急性動脈閉塞があるが,1)内中膜複合体が外膜に接して描出される(Manifestation of the intima-media complex next to the adventitia.),2)血管内構造物のエコー輝度が軽度から中等度である(Mild to Moderate echolucency of the intravascular structure.),3)血管内構造物が可動性を有する(Mobility of the intravascular structure.),4)血管壁に拍動性の動きがみられる(Pulsatile Movement of the arterial wall.)の特徴(4Ms)がある.
  • 山本 哲也, 岩永 史郎
    原稿種別: 血管エコーで知っておきたい典型的な「サイン」
    2017 年 44 巻 2 号 p. 141-147
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2016/10/31
    ジャーナル 認証あり
    マントルサイン(mantle sign)とACサイン(AC sign: anechoic crescent sign)は,大動脈瘤でみられる代表的なエコー所見である.マントルサインは腹部大動脈瘤の前方,または前側方にみられる低エコー輝度領域の壁肥厚所見であり,炎症性の大動脈瘤を疑う所見である.ACサインは瘤壁と壁在血栓との間に形成される三日月状の無エコー領域であり,大動脈解離と間違いやすいエコー所見である.臨床診断に有用なサインではあるが,これらに類似する別のエコー所見もあり,しばしば鑑別に苦慮する症例もある.検査の際には,代表的疾患の特徴的所見や類似画像との鑑別のポイントなどを念頭に置いて,他の画像診断や血液検査所見,臨床症状などを参考に注意深く観察する必要がある.
    本稿ではこれらのサインの由来や意義,類似するエコー所見と鑑別するポイント,治療法などについて述べる.
  • 吉牟田 剛, 岡島 年也, 柳生 剛, 久保田 義則, 山岸 正和
    原稿種別: 血管エコーで知っておきたい典型的な「サイン」
    2017 年 44 巻 2 号 p. 149-151
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2017/01/13
    ジャーナル 認証あり
    バージャー病は,四肢の中,小血管に好発し,非特異的な原因不明の慢性血管炎により,狭窄,閉塞を来す疾患である.本疾患は50歳未満の喫煙者において発症し,虚血症状に伴う冷感,知覚異常,間歇性跛行,安静時疼痛,潰瘍等の症状を呈する.診断は,血管造影検査による動脈の形態学的所見が重要で,末梢動脈の閉塞と側副血管路の所見からなされる.特にコルク栓抜き状の側副血行路の所見はcorkscrew signと称され,本疾患の特徴的な所見である.本稿では,corkscrew signについて言及する.
シリーズ どうすれば超音波の生物学的作用に関する実験ができるか
原著
  • 蘆田 玲子, 川畑 健一, 丸岡 貴司, 浅見 玲衣, 吉川 秀樹, 高倉 玲奈, 井岡 達也, 片山 和宏, 田中 幸子
    2017 年 44 巻 2 号 p. 157-166
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2017/02/24
    ジャーナル 認証あり
    目的:本研究の目的は,腫瘍の局所治療におけるパルスHIFU(pHIFU)の機械的効果の効率的な生成および抗がん剤による増殖抑制の増強に関して,増感剤としての相変化ナノ液滴(PCND)の効果を検証することである.方法:以下の処置を行った際の,CDF1マウスに移植されたColon26腫瘍組織の増殖抑制効果を評価した.(1)60秒間のpHIFU照射(1.1MHz,3.2kW/cm2,300サイクルおよび50 ms間隔),(2)PCND(1%)の注入,(3)アドリアマイシン(4mg/kg)の注入,(4)PCND注入+pHIFU照射,および(5)PCNDとアドリアマイシンの同時注入+pHIFU照射.結果:腫瘍の増殖において,単独療法群では有意差はみられなかったが,pHIFUとPCNDを組み合わせた群に有意な抑制効果がみられた.Real-time Tissue Elastographyによる観察によって,PCNDはpHIFUによる機械的な組織構造破壊を促進することが示された.さらに,pHIFUとPCNDの組み合わせにアドリアマイシンを併用することで,腫瘍の増殖が2週間抑制され,かつ,30日間の観察期間中,4匹のうち3匹おいてに再増殖が認められなかった.結論:pHIFUとPCNDの組み合わせは,有意な抗腫瘍効果を示したことから,局所進行がんに対する新たな治療法確立に道を開くものである.
  • 小泉 洋平, 廣岡 昌史, 越智 裕紀, 徳本 良雄, 武智 恵, 平岡 淳, 池田 宜央, 熊木 天児, 松浦 文三, 阿部 雅則, 日浅 ...
    2017 年 44 巻 2 号 p. 167-174
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2017/02/13
    ジャーナル 認証あり
    目的:本研究は,胆管の解剖学的構造を超音波検査で評価することと, Gd-EOB-DTPA(gadolinium ethoxybenzyl diethylenetriamine pentaacetic acid)造影MRIの肝細胞相において肝内胆管の描出能を解析し,仮想超音波像を局所療法支援画像として用いたラジオ波焼灼術(RFA)の安全性と有用性を明らかにすることを目的とした.方法:本研究は施設内倫理審査委員会によって承認され,本研究に参加することに対するインフォームドコンセントを書面で得た.Gd-EOB-DTPA造影MRIを施行した肝腫瘍を有する201例で,胆管の解剖学的構造を評価した.これらの患者のうちの81例に,超音波とGd-EOB-DTPA造影MRIから構築した仮想超音波を支援画像に用いてラジオ波焼灼術(RFA)を施行した.また,23例で腫瘍が中部胆管から半径5 mm以内に存在していた.結果:Gd-EOB-DTPA造影MRIで構築した仮想超音波画像によって,総胆管,左肝管,右肝管をそれぞれ96.5%,94.0%,89.6%で描出することができた.仮想超音波検査装置を使用して,標的とした肝細胞癌と胆管を全患者で描出することができ,重篤な合併症はみられなかった.結論:Gd-EOB-MRIによる仮想超音波像を構築することで腫瘍と胆管の位置関係を把握し胆管損傷を予防できる.
症例報告
  • 田端 強志, 星 裕美, 蓮沼 絵里香, 高橋 憲子, 稲岡 努, 東丸 貴信
    2017 年 44 巻 2 号 p. 175-178
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2017/02/03
    ジャーナル 認証あり
    食道粘膜下血腫はまれな疾患で,保存的治療で治癒する予後良好な疾患である.症例は47歳女性.主訴は腹痛,嘔吐(吐血).他院で骨形成不全症と診断されていた.心エコー図検査では心機能に問題なく,弁膜症も認めなかったが,左房後方に左房を軽度に圧排する腫瘤像を認めた.胸部CT検査では食道壁の肥厚を認めた.上部消化管内視鏡検査では胃噴門部に暗赤色の巨大腫瘤を認め,腫瘤は上部食道へ連続していた.食道粘膜下血腫と診断し,保存的治療を行った.第7病日には症状は改善され,心エコー図検査を利用して血腫の消褪を観察することができた.第14病日の上部内視鏡検査で血腫の消褪を確認した.
  • 萬谷 直樹, 南 康平, 山本 昇進, 木村 容子, 伊藤 隆
    2017 年 44 巻 2 号 p. 179-184
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2017/02/22
    ジャーナル 認証あり
    山梔子含有漢方薬を長期服用し,山梔子の総服用量が6,300 gに達した無症状の63歳男性.超音波検査で上行結腸壁の肥厚が指摘され,CTや大腸内視鏡で腸間膜静脈硬化症と診断された.超音波検査では,(1)3ヵ月で結腸壁が急に肥厚する像,(2)初期には粘膜下層主体の肥厚から始まる像,(3)結腸壁内や結腸壁外に沿った粒状~線状の高エコー像などの所見が観察された.腸間膜静脈硬化症の超音波像はほとんど報告されておらず,今回の所見の意義や超音波検査がスクリーニング検査として利用できる可能性について議論した.
  • 江夏 国宏, 日高 庸博, 城戸 咲, 村田 将春, 藤田 恭之, 加藤 聖子
    2017 年 44 巻 2 号 p. 185-189
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2017/02/17
    ジャーナル 認証あり
    双胎貧血多血症候群 (TAPS) は胎盤表面に細い数本の動脈静脈(AV)吻合を有することがその特徴で,動脈動脈(AA)吻合を認めることは稀である.今回我々は,胎盤表面に1本のAA吻合と2本のAV吻合を有するTAPS症例を経験した.妊娠34週に一児の胎児発育不全を認め,妊娠35週に中大脳動脈血流速度の異常から発育不全児を供血児,正常発育児を受血児とするTAPSと診断した.胎児心拍数陣痛図で貧血児に繰り返す遅発一過性徐脈を認めたため,緊急帝王切開術を施行した.発育不全児の出生体重は1,762 gで,外観は貧血様で血清ヘモグロビン値は4.2 g/dl,網赤血球数は220‰であった.正常発育児の出生体重は2,056gで,外観は多血様で血清ヘモグロビン値は21.9 g/dl,網赤血球数は43‰であった.加療の後に両児とも生存退院した.色素を注入後に胎盤上の吻合血管を観察したところ,細いAV吻合を2本認めた以外に1本のAA吻合が存在していた.一絨毛膜胎盤において,AA吻合は一般にAV吻合を介した双胎間の血流移動を代償する方向に働くことが多いと考えられているが,今回の症例により,AA吻合が存在したとしてもTAPSは起こりうることが示された.また,妊娠後期に発症した一絨毛膜二羊膜双胎1児発育不全ではTAPSの合併に留意した経過観察を要する可能性がある.
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