目的:乳房超音波検査においてエラストグラフィの有用性は増してきている.しかし現在までにGE Healthcare(GE)社製装置のElasticity Index(E-Index)およびElasticity Ratio(E-Ratio)の具体的カットオフ値はほとんど示されていない.そこで今回,その値を探ることを目的とし,検討を行った.
対象と方法:GE社製LOGIQ E9を用いて,E-Index,E-Ratioを測定した連続症例で,良性病変,浸潤癌,各50症例のE-Index,E-Ratioを後方視的に確認した.それぞれに対してYouden indexを作成し,適正なカットオフ値を検討した.
結果と考察:E-Indexのカットオフ値は3.15が,E-Ratioでは2.95と3.1の間が最適となった.通常の検査ではE-Ratio,E-Indexともに3程度とするのが妥当と考えられた.日立製作所製の装置では,良悪性のカットオフ値はStrain Ratio(FLR:Fat Lesion Strain Ratio)で4.3~5.0とされており,今回の結果とは相違があった.装置による相違にも注意して使用することが必要であると考えられた.
結論:GE社製装置ではエラストグラフィの良悪性のカットオフ値はE-Ratio,E-Indexともに3程度とするのが妥当と考えられた.
抄録全体を表示