超音波医学
Online ISSN : 1881-9311
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45 巻 , 2 号
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総説
  • 亀田 徹, 小林 英夫, 山田 博胤, 谷口 信行
    2018 年 45 巻 2 号 p. 125-135
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/14
    [早期公開] 公開日: 2018/02/16
    ジャーナル 認証あり
    Point-of-care超音波では,胸膜ラインから深部に向かって減衰することなく伸びる線状のアーチファクトは「Bライン」と呼称され,肺水腫や炎症性疾患で顕在化する.近年Bラインを用いた肺超音波の診断能について検討した前向き臨床研究が数多く報告され,Bラインは心原性肺水腫の診断に役立つことが明らかになった.肺超音波は,病院前救急や救急室における心原性肺水腫の迅速な診断,集中治療室や一般病棟におけるモニタリングとして利用が期待されている.その普及にあたり,肺超音波用のプリセットの導入や,Bラインの定量化についての検討が必要であり,他の画像診断との使い分けも考慮すべきである.さらにBラインを用いた超音波診断が患者ケアの向上に寄与するかについて質の高い大規模臨床研究が求められる.
超音波診断・治療支援システム開発の最先端
  • 青木 悠祐
    原稿種別: 超音波診断・治療支援システム開発の最先端
    2018 年 45 巻 2 号 p. 139-148
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/14
    [早期公開] 公開日: 2018/01/26
    ジャーナル 認証あり
    超音波プローブ走査をロボットに代行させることによる診断支援システムが注目されている.ロボットによる超音波検査が実現することで,より精密なプローブ位置決めが可能となるだけでなく,離島や無医村を対象とした遠隔超音波検査への応用,さらにはロボット単独による自動検査,未熟検査者へのトレーニング等が期待できるため,これまでも様々な部位を対象とした超音波診断支援ロボットが開発されている.本論文では,国内外で取り組まれている超音波診断支援ロボットについてまとめると共に,筆者が取り組んできたロボットについて述べる.本研究では患者のみならず医師・検査技師の肉体的・精神的負担を軽減する創発的医療支援ロボットシステムを実現することを目的としている.本論文ではまず,側臥位診断に対応可能なシリアルリンク型超音波診断・治療補助ロボットReDATについて述べる.次に,超音波診断において医師・検査技師が潜在的に持っているメンタルローテーション能力について評価する.熟練者特有のコツを解析しメンタルローテーション能力を定量的に示すことで未熟者の課題を示すことや検査者の負担軽減の支援へとつながる.次に,検査者がロボットと協調動作する際に,検査者の意図したプローブ走査の方向・大きさを計測する意図推定行列を提案し,算出実験を行った.これにより,ロボットと検査者の位置関係によらず,検査者のプローブ走査の意図の推定に成功した.
  • 中楯 龍, 橋爪 誠
    原稿種別: 超音波診断・治療支援システム開発の最先端
    2018 年 45 巻 2 号 p. 149-157
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/14
    [早期公開] 公開日: 2016/10/31
    ジャーナル 認証あり
    本稿では,プローブを把持するロボットを用いた超音波画像誘導システムについての著者らの研究を紹介する.一つ目は自動検査システムである.ロボットが超音波画像を認識しながら目的の患部を自動で探索し,明瞭画像を得るプログラムについて解説する.二つ目は患部の動きにリアルタイムに追従するシステムである.一般的な2次元Bモード画像のみを用いて3次元追従を実現する手法を解説し,それらの生体組織での動作実験について解説する.
  • 中村 亮一
    原稿種別: 超音波診断・治療支援システム開発の最先端
    2018 年 45 巻 2 号 p. 159-166
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/14
    [早期公開] 公開日: 2016/11/08
    ジャーナル 認証あり
    近年の外科手術は最小侵襲での精密治療の実現を目指している.精密で安全な手術を遂行する上で最も重要な事項の一つは対象を視認することである.術野確認の困難な低侵襲手術において医用画像による治療対象認識は重要であり,医用画像情報を術中に積極的に応用する技術が必須である.手術ナビゲーションは解剖と位置の正確な客観情報により手術を支援し安全性を向上させるために目標部位への術具の誘導を行うシステムである.脳神経外科を始め様々な領域で応用されるナビゲーションシステムの課題は術中の軟性臓器の変形・移動への対応であり,「最新の地図」を術中に獲得し誘導情報を更新することが重要である.超音波診断画像は,特別な設備を必要とせず,術中に簡便に利用でき,撮像の時間分解能もMRIやCTなどに比べて高い特徴から術中画像誘導において最も有用性が期待されるデバイスである.超音波画像による精緻な手術ナビゲーションとして2次元画像を用いた多くの方法が登場したほか,我々は3D超音波による胎児内視鏡外科ナビゲーション,そしてこれを腹部一般外科に応用する等張液灌流式内視鏡外科手術と3D超音波ナビゲーションの開発を進めている.精緻さと安全性を担保した画像誘導下低侵襲手術において超音波はその中心となるモダリティであり,その応用に向け医学・工学双方向のシーズ・ニーズ連携による術式と支援技術の革新が求められている.
  • 桝田 晃司, 保坂 直斗, 出町 文, 宮澤 慎也, 澤口 冬威, 夏目 薫, 望月 剛
    原稿種別: 超音波診断・治療支援システム開発の最先端
    2018 年 45 巻 2 号 p. 167-172
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/14
    [早期公開] 公開日: 2016/09/16
    ジャーナル 認証あり
    我々は,超音波と微小気泡によるセラノスティクス技術の確立を目指している.微小気泡は診断だけで無く,治療媒体となる可能性がある.生体の血管は分岐を繰り返す複雑な構造であり,疾患部位にて微小気泡の濃度を局所的に高めるため,微小気泡は音響エネルギーの高低差に起因するBjerknes Forceを利用する.生体内での制御の自由度を高めるため,超音波音場を自在に設計することのできる2次元アレイトランスデューサを開発し,血管形状や血流方向に依存しない微小気泡の誘導法を開発中である.複数の焦点を形成し,さらにそれらの位相差を調整することにより,音響エネルギーで押すだけで無く,引き込む力を形成する試みを紹介する.さらに微小気泡の誘導を免疫細胞療法に応用するため,治療用の細胞の周囲に微小気泡を付着させた凝集体を誘導するための技術を開発している.同凝集体の懸濁液を人工血管流路に流し,超音波照射による制御の可能性を,蛍光顕微鏡にて観察した.最後に,上述したセラノスティクスを生体内で実現するため,超音波音源を体表面で把持し,超音波の照射位置を調整するための手段として,パラレルリンクロボットを用いた位置制御の現状を紹介する.
  • 小泉 憲裕, 徐 俊浩, 李 得熙, 栢菅 篤, 近藤 亮祐, 冨田 恭平, 細井 泉澄, 西山 悠, 月原 弘之, 宮嵜 英世, 福田 浩 ...
    原稿種別: 超音波診断・治療支援システム開発の最先端
    2018 年 45 巻 2 号 p. 173-182
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/14
    [早期公開] 公開日: 2018/03/02
    ジャーナル 認証あり
    医学および生物学に数理,情報,制御,人工知能,ロボット技術など,さまざまな理工学技術の交差点にはきわめて大きな可能性が秘められているのではないかという期待は日々急速に高まり,膨らみ続けている.ビル・ゲイツは『もしいま自分が学生ならバイオを学ぶ』といい,ニコラス・ネグロポンテは『Bio is new Digitals.』とバイオとIT技術の融合により生物学が再構築されることをきわめて明快なフレーズで予測・表現している.ここでいうバイオとはbiotechnologyを含めた広い範囲でのバイオを対象とするものとする.本報では,前記の医療・バイオのデジタル化(医デジ化)のうち,特に超音波医学分野におけるデジタル化およびこのためのコア基盤技術を取り上げ,その現状を概観するとともに将来への期待も含めて議論する.
  • 福田 浩之, 沼田 和司, 田中 克明, 前田 愼, 伊藤 龍
    原稿種別: 超音波診断・治療支援システム開発の最先端
    2018 年 45 巻 2 号 p. 183-186
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/14
    [早期公開] 公開日: 2016/10/17
    ジャーナル 認証あり
    目的:高密度超音波を微小な焦点域に集める集束強力超音波(high-intensity focused ultrasound: HIFU)は,癌組織を熱凝固により壊死させる,穿刺のいらない低侵襲治療法である.現在,最も一般的な治療である経皮的ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation: RFA)と比較しその長い治療時間が課題である.HIFU治療機のモニターは,画質の点や2次元超音波画像のため,照射や効果判定の立体的把握に限界があった.今回,US(ultrasonography),CTの3次元画像を用い,その有用性を検討した.方法:対象は,3D Dual imagingを施行しHIFUを施行した腫瘍径20 mm以下の肝細胞癌10例である.3次元超音波はAplio(東芝)を用いた.3次元CT(Light Speed Ultra, GE),の立体情報は,3次元画像作成ワークステーション(ZioM900)に入力し,HIFU装置の超音波プローブの角度情報から3次元US,3次元CTの同一断面を作成した.HIFU装置は,重慶Haifu社製JC200.超音波造影剤はレボビストを用いた.成績:集束超音波治療施行の10例について,US,CTの3次元画像のアシストにより完全凝固された.考案:HIFUは,安全で有効な治療であり,US,CTの3次元画像のアシストが有用であった.
シリーズ どうすれば超音波の生物学的作用に関する実験ができるか
原著
  • 林 あかね, 荒川 元孝, 金井 浩
    2018 年 45 巻 2 号 p. 191-198
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/14
    [早期公開] 公開日: 2018/02/09
    ジャーナル 認証あり
    目的:虚血性心疾患の初期段階である心筋虚血部は,速やかに再灌流を図ることで壊死を回避できる.そのため,虚血部の範囲の迅速な同定が,虚血性心疾患の治療や診断において重要である.本研究は,心臓内の電気的興奮の伝播特性の解明を目的として,ヒト心臓の心室中隔壁と左室後壁両方の各点における壁の微小速度波形を超音波によってin vivo計測し,心筋の収縮応答伝播の描出を試みた.方法:ヒト心臓の心室中隔壁および左室後壁に対して400 Hz以上の高フレームレートで超音波計測を行い,取得したRF信号に位相差トラッキング法を適用して心筋の微小振動速度波形を得た.さらに,各計測点における微小振動速度波形に対して相互相関法を適用し,基準位置における収縮応答からの遅延時間を算出することで心筋の収縮応答伝播を描出した.結果:心室中隔壁における心筋収縮応答は,心基部側から心尖部側へ約1.9 ~ 3.8 m/sの速度で伝播することが示された.一方,左室後壁における心筋収縮応答は,心尖部側から心基部側へ約2.0 ~ 3.2 m/sの速度で伝播することが示された.これら両壁の計測を同時に行っているため,合わせることで,心筋収縮応答は,心室中隔壁を心基部側から心尖部側へ伝播した後に,左室後壁を心尖部側から心基部側へ伝播することが確認され,プルキンエ線維の走行と対応していた.結論:提案する手法を用いることで,心室中隔壁と左室後壁の両心筋の収縮応答伝播が超音波によって同時に描出できることが示された.
  • 市川 奈央子, 椎名 由美, 村上 智明, 西畑 庸介, 小宮山 伸之, 丹羽 公一郎, 阿部 恒平
    2018 年 45 巻 2 号 p. 199-206
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/14
    [早期公開] 公開日: 2018/02/22
    ジャーナル 認証あり
    背景と目的:腹部大動脈瘤(abdominal aortic aneurysm: AAA)術後遠隔期に,胸部大動脈が拡大・瘤形成(thoracic aortic aneurysm: TAA)に至り侵襲的治療が必要となる症例を少なからず経験する.さらに冠動脈狭窄病変の合併がなくとも心機能が低下する症例を認める.TAAに関する危険因子として高血圧,脂質異常などの動脈硬化因子が知られているが,AAA術後におけるTAA発症や心機能低下に関する危険因子は十分に知られていない.本研究では,AAAに対する治療としての人工血管置換やステントグラフト留置が血管コンプライアンスの低下やkinkingを生じることでTAA発症や心機能低下に関与するか否かを検討した.方法:AAAに対し人工血管置換術またはステントグラフト内挿術を施行した50例を対象に後ろ向き研究を行った.同年齢の15名をコントロール群とした.Computed tomographyと心臓超音波検査を用いて,術前後および遠隔期における胸部大動脈の拡大と血管stiffnessの変化,心筋リモデリングと心機能低下の有無を検討した.結果と考察:術後平均観察期間6.0±4.1年で,50例中10例(20.0%)に弓部大動脈の拡大を認めた.血管拡大群における胸部大動脈のstiffness indexは遠隔期に増大しており(p=0.02),人工血管・ステントグラフトのkinking(>60°)の進行が著明であった(p=0.03).また拡大群において遠隔期に左室global longitudinal strain は低下し(p=0.02),左室心筋重量の増加を認めた(p=0.02).単変量ロジスティック解析においてkinking,遠隔期の血圧,脈圧,脂質異常が胸部大動脈拡大に関与する因子であった.結論:AAA術後患者において人工血管置換やステントグラフト留置による血管コンプライアンスの低下やkinkingがTAA発症や心機能低下と関与している可能性が示唆される.特に胸部大動脈拡大群において遠隔期に血圧の上昇を認め,遠隔期の厳密な血圧コントロールは重要な要素と考えられる.
  • 檜垣 里江子, 齋藤 実, 西尾 静子, 今井 美咲, 和氣 大輔, 河内 好子, 永尾 彰子, 諸藤 徹, 稲葉 慎二, 住元 巧
    2018 年 45 巻 2 号 p. 207-214
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/14
    [早期公開] 公開日: 2018/02/09
    ジャーナル 認証あり
    目的:経胸壁ドプラ心エコー(transthoracic Doppler echocardiography: TTDE)による左冠動脈近位部血流計測は,同部の冠動脈病変の推定に有用である.本研究の目的は,その検出率と検出時間における機種および検者依存性の検討である.対象と方法:1)機種依存性 2010年から2016年までに,同一検者によりGE社のVivid7とVivid E9でTTDEが施行された連続患者325名を対象とした.2)検者依存性 同期間に,3名の検者により(検者1,検者2:TTDE経験5年,検者3:TTDE経験2年),同一患者にGE社のVivid7でTTDEが施行された連続患者100名を対象とした.両検討共に,対象としたTTDEの期間中に冠動脈バイパス術や左冠動脈近位部にインターベンションが行われた症例は除外した.左冠動脈近位部血流検出の定義は同部の血流速度波形を保存できた場合とし,検出時間の定義は通常の心エコー検査における最終画像保存時間から左冠動脈近位部血流の速度波形保存時間までとした.結果:1)機種依存性 検出率はVivid7に比し,Vivid E9で有意に良好であったが(60% vs 68%,p=0.01),検出時間は両機種間に有意差を認めなかった(73秒vs 72秒,p=0.10).2)検者依存性 検出率は各検者間で有意差を認め(検者1:77%,検者2:70%,検者3:65%,p=0.0486),検者1と検者3の間に差を認めた(p=0.03).また,検出時間も検者間差を認め(検者1:57秒,検者2:65秒,検者3:86秒,p<0.01),検者3と他の検者間に有意差を認めた.結論:左冠動脈近位部血流検出には機種および検者依存性が存在することが示唆された.また,検者依存性はTTDEの習熟度に関連する可能性が示唆された.
症例報告
  • 森本 恭子, 河岡 友和, 相方 浩, 盛生 玲央奈, 盛生 慶, 中原 隆志, 濱田 麻紀, 有廣 光司, 横崎 典哉, 茶山 一彰
    2018 年 45 巻 2 号 p. 215-221
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/14
    [早期公開] 公開日: 2018/02/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は80代,男性.便通異常で経過観察中,肝機能異常を認め,腹部CTにて肝右葉に40 mm大の腫瘤性病変を認め入院精査となった.腹部超音波検査(US)では肝S7に40 mm大の類円形の腫瘤を認めた.腫瘤の境界はやや不明瞭,辺縁は不整,内部不均一な高エコーを呈した.Sonazoid®造影超音波検査(CEUS)では動脈優位相で腫瘤辺縁に不整にまばらな濃染,門脈優位相で辺縁から中心部に徐々に不均一な染まりを認め,後血管相10分では淡い欠損像を呈したが内部に不均一な染影像を認めた.濃染パターンは肝血管腫と類似していた.入院3ヵ月前に他臓器の評価を目的とした単純CT画像と比較すると急速な腫瘤の増大と左胃動脈領域のリンパ節転移が認められたため,肝血管肉腫が疑われた.超音波ガイド下肝腫瘍生検が施行され病理組織所見では肝血管肉腫と診断された.今回,CEUSにて評価しえた肝血管肉腫の1例を経験したので報告する.
今月の超音波像
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