超音波医学
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45 巻, 5 号
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総説
  • 岡庭 信司, 岩下 和広
    原稿種別: (第16回教育セッション)(消化器)
    2018 年 45 巻 5 号 p. 471-480
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/18
    [早期公開] 公開日: 2018/06/28
    ジャーナル 認証あり
    超音波検査は簡便で低侵襲なことから,人間ドックや集団検診といったスクリーニングにも広く用いられている.しかし,膵胆道領域は解剖学的な位置関係が複雑であるだけでなく,肥満や消化管ガスにも影響を受けやすいことから超音波による描出が困難な領域である.胆道は仰臥位よりも左側臥位の方が容易に描出できることが多く,病変の拾い上げには拡大観察や高周波プローブが必須である.胆嚢は多重反射やサイドローブといったアーチファクトに注意が必要である.肝外胆管の描出は,逆“く”の字の形状で走行していることを頭に入れ,プローブを時計方向に回転させ,患者の外側(右側)に向けながら足側に進めると,乳頭近傍の遠位胆管も描出できる.膵臓は,左側臥位では膵頭部が,右側臥位では膵尾部が体表方向に移動するため,プローブを強く押すのではなくこまめに体位変換を行うことが重要である.頭部のgroove領域と鉤状突起部の病変は主膵管や胆管の拡張といった間接所見を伴わないことが多いため特に注意が必要である.さらに,膵管拡張や膵嚢胞も膵管癌の高危険群として積極的に拾い上げ,高危険群に対しては様々な体位変換や飲水法を活用して可能な限り膵全体を描出するように努力すべきである.
  • 豊野 学朋
    原稿種別: (第16回教育セッション)(小児)
    2018 年 45 巻 5 号 p. 481-490
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/18
    [早期公開] 公開日: 2018/07/12
    ジャーナル 認証あり
    先天性心疾患の発生頻度は出生数の1%程度とされ,小児の日常診療で関わることが多い病態である.代表的な左右短絡先天性心疾患である心室中隔欠損症と心房中隔欠損症はいずれも発生頻度が高く,両疾患で全先天性心疾患の約40%を占める.心室中隔欠損症は肺動脈弁下部,膜性周囲部,流入部,筋性部に分類される.これらの解剖学的分類は,自然閉鎖の予測,大動脈弁合併症の危険性,そして外科的閉鎖術施行時の術式に影響する重要な因子である.また心室中隔欠損を通過する短絡血流による肺高血圧や肺うっ血の評価も不可欠である.一方,心房中隔欠損症は,二次中隔型,一次中隔型,静脈洞型,単心房型に分類され,それぞれが異なる治療法や合併疾患を有している.これから先天性心疾患のエコー診断を学ぶ方にとって,これらの代表的な左右短絡性心疾患を正しく理解し検査における必要な基礎事項を整理することは重要である.実際に心エコー検査を施行するに当たり,考えながら記録を進めることは必要な技能であるため,本論文では心エコー所見に加え,各疾患の病態生理,症状,身体所見,胸部単純X線や心電図の検査所見,治療についても解説を行う.心エコー検査の上達には知識のみでは不十分で,経験が必要である.経験を得るためには,自らの手を動かすことに加え,正しい画像を描出してくれる上司の存在も不可欠である.読者の身近によきお手本がいることを願う.
シリーズ どうすれば超音波の生物学的作用に関する実験ができるか
原著
  • 多田 明良, 谷口 信行
    2018 年 45 巻 5 号 p. 495-502
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/18
    [早期公開] 公開日: 2018/08/21
    ジャーナル 認証あり
    目的:へき地診療における領域横断的なPoint-of-Care超音波検査(POCUS)の有用性について検討する.対象と方法:2016年7月から2017年7月までに当診療所を受診後,医師の臨床判断により高次医療機関への紹介を考慮し,引き続き医師がその場でPOCUSを行った 136例を対象とした.POCUSは症状に関連した領域を原則系統的に精査したが,緊急時や時間的制約のある場合は関心疾患へ焦点を絞って検査した.POCUS施行後の紹介・非紹介,紹介の妥当性,その後の転帰などの項目を診療録から後方視的に抽出し検討した.結果と考察:対象者136例のうち,POCUSの契機となった症例(全164症状)は,運動器の痛み30件(18.3%),腹痛20件(12.2%),発熱11件(6.7%)などであった.施行した領域(全165件)は,腹部49件(29.7%),運動器46件(27.9%),心臓 35件(21.2%)などであった.ハンドヘルド型装置を使用したのは13例(9.6%),関心領域に焦点を絞って行ったのは54例(39.7%)であった.その結果,POCUS後に紹介と判断したのは56例(41.2%),POCUS後に紹介不要と判断しそのまま診療所で経過観察または治療を行ったのは80例(58.8%)であった.紹介判断の妥当性については,紹介群では妥当35例(87.5%),不適当5例(12.5%),非紹介群では妥当69例(93.2%),不適当5例(6.8%)であった.結論:へき地診療において領域横断的にPOCUSを利用することで,高次医療機関への紹介の必要性をより確実に判断でき,患者負担の軽減だけでなく,治療へ迅速に繋ぐことができると考えられた.
症例報告
  • Tomoko KUDO, Satoshi YUDA, Shoko YAMAGUCHI, Yuji OHMURA, Kosuke UJIHIR ...
    原稿種別: CASE REPORT
    2018 年 45 巻 5 号 p. 503-506
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/18
    [早期公開] 公開日: 2018/07/20
    ジャーナル 認証あり
    We report a case of chronic type B aortic dissection in a 70-year-old man. At an outpatient hospital, he was found to have an expanded dissecting descending aortic aneurysm and was transferred to our hospital for thoracic endovascular aortic repair (TEVAR). A stent graft was successfully placed in the proximal descending thoracic aorta (DTA) to close the primary entry. Postoperative computed tomography (CT) revealed persistent contrast enhancement of the false lumen in the DTA that was suggestive of an endoleak. However, the origin and flow direction of the endoleak were uncertain, and classification of the endoleak was difficult. Hence, the echocardiographic paravertebral approach (PVA) was performed. Both the true lumen and false lumen were clearly visualized and retrograde flow from the intercostal artery into the false lumen was demonstrated by color Doppler examination. These findings suggested that the endoleak originated from the intercostal artery (type II) rather than the proximal end of the stent graft (type Ia). Hence, it was concluded that the patient should be observed conservatively. Follow-up CT at 8 months post-TEVAR showed no expansion of the maximal diameter of the DTA. In this case, the utility of PVA for detection and classification of an endoleak after TEVAR was confirmed.
今月の超音波像
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