目的:乳房温存療法(breast after breast conservation therapy : BCT)では超音波画像に様々な変化が生じる.しかし,その経過は患者によって異なる.本検討では,BCT後の画像所見の遷延に影響を与える因子について検討した.
対象と方法:対象は2010年1月から2014年12月までにBCTを受けた患者101名(103乳房)である.放射線治療終了後18ヵ月で乳房超音波を行い,患側乳房の皮下浮腫/液体貯留および皮膚肥厚の有無について評価を行った.また,画像所見の遷延に影響を与える因子の候補として,手術時年齢,BMI,乳房の大きさ,乳房の構成,術式,切除長径,腫瘍の占拠領域について評価を行った.
結果と考察:放射線治療後18ヵ月で皮下浮腫/液体貯留を認めたのは29例(28%),皮膚肥厚を認めたのは60例(58%)であった.皮膚肥厚は,脂肪性の乳房で残りやすく(p=0.041),切除長径が40 mm以上で残りやすい傾向があった(p=0.041).皮下浮腫/液体貯留は,腫瘍の占拠領域が乳房下部領域で残りやすい傾向があった(p=0.006).また腫瘍の占拠領域が乳房外側領域であると皮膚肥厚が残りやすい傾向があった(p=0.027).
結論:BCT後の皮下浮腫/液体貯留と皮膚肥厚の遷延には腫瘍の占拠領域が影響していることが示唆された. 皮膚肥厚は,脂肪性の乳房と切除長径が大きい場合に残りやすい傾向があった.
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