超音波医学
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47 巻, 2 号
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総説
  • 位藤 俊一
    2020 年 47 巻 2 号 p. 53-59
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/13
    [早期公開] 公開日: 2019/11/25
    ジャーナル 認証あり

    ソナゾイド造影超音波が乳房腫瘤性病変に対して2012年8月に保険適用となった.ソナゾイドはペルフルブタンからなる直径2‐3μmの微小気泡である.中低音圧の超音波照射によるバブルの共振で発生する非線形信号の映像化により造影効果が得られるためリアルタイム性に優れた造影画像が得られる.診断基準では,病変が均一に染影されるかまたは全く染影されない場合には良性の可能性が高く,不均一に染影される場合は悪性の可能性が高い.染影欠損を伴う場合やBモード画像で判定する病変の範囲を越えて染影される場合も悪性の所見である.乳房病変に対する造影超音波の撮像方法や臨床応用についても言及する.

  • 白石 周一
    2020 年 47 巻 2 号 p. 61-68
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/13
    [早期公開] 公開日: 2020/03/06
    ジャーナル 認証あり

    超音波診断装置や超音波プローブの改良によって,体表領域の超音波検査が普及してきている.超音波検査は低侵襲であるため,以前より精巣疾患の検索のために陰嚢超音波検査が行われてきたが,近年,超音波画質が向上したことにより,さらに詳細な陰嚢内部の観察が可能となっている.本稿では,一歩進んだ陰嚢超音波検査を行うことを目指して,陰嚢超音波検査時に観察する超音波所見や,陰嚢部(精巣,精巣上体,精索など)の疾患における超音波検査での鑑別のポイントについて解説する.

  • 亀田 徹
    2020 年 47 巻 2 号 p. 69-80
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/13
    [早期公開] 公開日: 2020/03/06
    ジャーナル 認証あり

    Point-of-care ultrasound (POCUS)はショックの初期診療に有用である.外傷初期診療の場面では,ショックの原因となる心タンポナーデ,血胸,腹腔内出血の早期検出のためにfocused assessment with sonography for trauma (FAST)が行われる.また多くの臨床研究を通じて,心臓超音波検査を専門としない臨床医が行う心臓POCUSの有効性,実行性が明らかになり,focused cardiac ultrasound(FOCUS)と呼ばれるようになった.さらにショックの分類に基づいた包括的な評価法としてrapid ultrasound in shock (RUSH)が知られている.POCUSは呼吸困難の迅速評価,急性期診療で必要な手技の確認やガイド下手技としても有用性は高い.気道(airway),呼吸(breathing),循環(circulation)アプローチに基づいたPOCUSフレームワーク(ABC-POCUS)は,ショックと呼吸困難の初期診療で有効な領域別POCUS全体を系統的に示したものであり,臨床推論に基づきフレームワーク内の領域別POCUSを使い分けるか,プロトコルとして利用するのが妥当である.

原著
  • 西郡 修平, 沼田 和司, 入江 邦泰, 福田 浩之, 中馬 誠, 前田 愼
    2020 年 47 巻 2 号 p. 81-91
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/13
    [早期公開] 公開日: 2020/02/10
    ジャーナル 認証あり

    目的:Bモード超音波で等エコーまたは境界不明瞭で同定困難な多血性肝細胞癌(HCC)に対する経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)の,造影CT(CECT)またはガドキセト酸ナトリウムMRI(EOB-MRI)との融合画像を用いた造影超音波(CEUS)による早期治療効果判定の有用性を検討した.方法:平均径13.7mmのHCC40結節(22結節:等エコー,18結節:境界不明瞭)に対して融合画像を用いたCEUSガイド下でRFA治療を行った.RFA翌日に融合画像を用いたCEUSによって治療効果を判定した.CECTまたはEOB-MRIはRFAの1ヵ月後に実施された.両方法で得られた所見を評価した.結果:RFA1ヵ月後のCECT またはEOB-MRI での治療効果判定を参考基準とした場合,RFA翌日の融合画像を用いたCEUSでの治療効果判定の感度,特異度,正診率はそれぞれ97%,100%,98%であった.両方法を使用した結果の一致度を示すカッパ係数は0.655であった.結論:CEUSを用いた融合画像はBモードUSで等エコーもしくは境界不明瞭で同定困難な多血性HCCに対するRFA の早期治療効果判定に有用であると考える.

症例報告
  • 板垣 有紀, 西田 睦, 常田 慧徳, 佐藤 恵美, 工藤 悠輔, 表原 里実, 渋谷 斉, 岡田 宏美, 松野 吉宏, 蒲池 浩文
    2020 年 47 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/13
    [早期公開] 公開日: 2020/02/25
    ジャーナル 認証あり

    50代女性.膵癌術後,直腸カルチノイドで内視鏡的粘膜下層剥離術後の経過観察のCTにて肝S6に低吸収域を指摘された.超音波検査では,肝S6に境界明瞭輪郭不整な低エコー結節でカラードプラでは中心部から辺縁に向かって車輻状に走行する血流信号を認めた.造影超音波検査(Contrast enhanced ultrasonography: CEUS)では,動脈優位相血管像にて背面から内部に流入する蛇行した線状の造影効果を認め,還流像にて結節全体にびまん性の造影効果を呈し,造影効果は周辺肝実質より明らかに強かった.門脈相にて造影効果は比較的遷延しており,早期のwashoutは見られなかった.積算画像では中心部から放射状に広がる車輻状の血管構築を認めた.肝部分切除を施行し,病理組織所見にてNET (G2)と診断された.NETの肝転移腫瘍の典型的なB mode所見は,均一なやや高エコー腫瘤で,CEUSでは動脈優位相での均一な強い増強効果,門脈優位相でwash outされ,後血管相で境界明瞭な造影欠損を示すことが多いと報告されている.しばしば肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma: HCC)や限局性結節性過形成(Focal nodular hyperplasia: FNH)との鑑別が問題となる.HCCではwash outが遅いこと, FNHではカラードプラやCEUSにて車輻状の血管構築を示し,多くは後血管相で造影欠損を呈さないことが鑑別点とされる.しかしながらFNHの中には後血管相で造影欠損を呈する報告もあり,慎重な鑑別診断が必要とされる.今回我々は,CEUSで車輻状の血管構築を呈し,鑑別に苦慮したが,生検にてNETの肝転移であった症例を経験したので報告する.

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