超音波医学
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原著
  • 谷 好子, 丸田 淳子, 衞藤 美佐子, 野口 仁志, 檜垣 直幸, 西嶋 由衣, 内野 眞也, 横山 繁生, 村上 司
    2021 年 48 巻 3 号 p. 113-120
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/11
    [早期公開] 公開日: 2021/03/29
    ジャーナル 認証あり

    目的:良性および悪性甲状腺結節における微細高エコーの出現頻度とその原因物質,超音波所見から原因物質の推定が可能かを明らかにする.対象と方法:甲状腺結節性病変144例(乳頭癌56例,濾胞癌4例,濾胞腺腫57例,腺腫様甲状腺腫27例)の超音波所見と組織所見を比較検討した.結果:微細高エコーは乳頭癌の69.6%に認められ,他の組織型と比べ有意に高頻度であったが,濾胞腺腫の21.1%,腺腫様甲状腺腫の25.9%にも観察された.組織学的に,微細高エコーがみられた58例全例に砂粒体,線維組織内小石灰化,シュウ酸カルシウム結晶,コレステリン結晶,砂粒体様物質のいずれかが観察され,微細高エコーのない86例中76例にはこれらの微細構造物は認められなかった.考察:微細高エコーと組織学的な微細構造物の有無は93.1%の症例で一致しており,超音波画像の微細高エコーは5種類の微細構造物を反映していると考えられた.超音波画像のみで原因物質の推定は困難であったが,無エコー結節内でコメットサインを伴い緩やかに移動するものはコレステリン結晶,動きのないものはシュウ酸カルシウム結晶の可能性が高かった.結論:甲状腺良性結節の22.6%に微細高エコーを認め,原因物質は,砂粒体以外の4種の微細構造物であった.超音波像で微細高エコーの原因物質を鑑別することは困難であったが,付随所見を考慮することで,一部の原因物質の推定は可能であった.

症例報告
  • 吉永 仁香, 竹内 陽史郎, 曽我 文隆, 中桐 啓太郎, 高岡 理恵, 堀家 由貴, 上西 正子, 藤田 淳子, 山崎 正之, 志手 淳也
    2021 年 48 巻 3 号 p. 121-126
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/11
    [早期公開] 公開日: 2021/03/29
    ジャーナル 認証あり

    症例は70歳代女性.半年前から下肢浮腫,数ヵ月前から労作時息切れを認め,近医での心エコー図検査にて心膜液貯留を指摘されたため,当院紹介受診となった.来院時の聴診では連続性雑音を聴取し,心電図は心房細動,胸部レントゲンで心拡大を認めた.精査目的に経胸壁心エコー図を施行した.左室は軽度拡大し両心房は著明に拡大し,三尖弁は不完全閉鎖で弁尖は離解し高度の三尖弁逆流を認め,連続波ドプラでは38 mmHgの圧較差であった.前医で指摘された心膜液は僅かであり,代わりに心周囲に管腔構造物を認め,内腔にはカラードプラで血流シグナルが検出された.この管腔構造物は数珠状に拡大しており,血流は拡大した冠静脈洞から右房へと流入しているように観察された.大動脈弁レベルでの短軸像で,左冠動脈起始部の拡大とそれに続く蛇行血管が認められ,左冠動脈回旋枝と思われる血管から続く管腔は左室後方で巨大な瘤を形成していた.冠動脈CTでも同様の所見が認められ,以上より動脈瘤を合併した冠動静脈瘻と診断された.心不全症状の進行のため手術適応となり,冠動静脈瘻および瘤根治術,冠動脈バイパス術および三尖弁形成術が施行された.経過は良好で,第37病日に軽快退院となった.経胸壁心エコー図検査により数珠状の蛇行した冠動脈瘻と巨大な冠動脈瘤を詳細に観察でき,診断に有用であった貴重な症例を経験したのでここに報告する.

  • 山﨑 麻子, 土井 茂治, 川滝 元良
    2021 年 48 巻 3 号 p. 127-132
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/11
    [早期公開] 公開日: 2021/04/02
    ジャーナル 認証あり

    総肺静脈還流異常(Total anomalous pulmonary venous drainage: TAPVD)は胎児診断が最も難しい先天異常のひとつであるが,病型によっては出生後すぐに手術をすることが児の予後に大きく関わることが知られており,胎児診断が非常に重要である.今回,胎児スクリーニングで冠状静脈洞拡大をきっかけにTAPVD type Ⅱa型の診断に至った症例を経験したので,その診断へのプロセスを報告する.25歳女性,1妊0産.妊娠20週の妊娠中期スクリーニングにてmidlineに一部欠損を認め,房室弁の高さは同一レベルに見えたことから,部分房室中隔欠損症(partial AVSD)を疑った.その他四腔断面(Four Chamber View: 4CV),三血管断面(Three Vessel View: 3VV),三血管気管断面(Three Vessel Trachea View: 3VTV),大動脈弓(Aortic arch)は正常像,左右1本ずつの肺静脈が左心房に流入していると判断した.初回の検査では欠損孔血流方向が不明瞭であり,児の成長を待って再度検査を施行することとした.26週の超音波にて,欠損孔を通過する血流方向が左‐右であることから,partial AVSDは否定的であり,midlineの欠損は拡大した冠状静脈洞であることが判明した.冠状静脈洞拡大をきたす疾患として最も多い左上大静脈遺残(Persistent Left Superior Vena Cava: PLSVC)は認めなかった.また,左右の肺静脈が接近して拡大した冠状静脈洞に還流していることが判明した.以上から,TAPVD type Ⅱaと診断し,高次医療施設へ紹介とした.Midlineの欠損をきっかけに当初partial AVSDと診断したが,血流方向の左右方向であること,PLSVCを認めないことなどから,TAPVDのtype Ⅱaと診断した1例を経験したので報告する.

  • 林 彩世, 小澤 克典, 室本 仁, 杉林 里佳, 小杉 洋平, 柴田 優花, 池ノ上 学, 和田 誠司, 伊藤 裕司, 左合 治彦
    2021 年 48 巻 3 号 p. 133-137
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/11
    [早期公開] 公開日: 2021/03/31
    ジャーナル 認証あり

    胎児巨大肝血管腫は動静脈シャントによって高拍出性心不全を呈し,胎盤循環も悪化する.そのため胎盤循環を含めた胎児循環の評価を行い適切な娩出時期を決定する必要があるが,いまだ確立した評価方法がない.臍静脈血流量(UVFV)の総心拍出量(CCO)における割合(UVFV/CCO)は胎盤循環の指標となることが報告されており,この指標を含めた心循環機能評価を行うことで早期に病状の変化をとらえた胎児巨大肝血管腫の症例を報告する.妊娠27週に心胸郭断面積比(CTAR)48.5%の心拡大と軽度の僧帽弁・三尖弁逆流を認めた.CCO 1,214 ml/min,UVFV 350 ml/minと増加を認めたが,UVFV/CCOは28.9%と保たれ,羊水量は正常で胎児水腫を認めなかった.しかし,妊娠30週1日にCTAR 62.9%と増悪,CCO 1,620 ml/min,UVFV 236 ml/minとなり,UVFV/CCOは14.6%に低下した.胎児水腫は認めなかったが羊水過少となり,Biophysical profiling score 2/10点と低値であった.妊娠30週4日に胎児心拍数陣痛図において基線細変動の減少が出現し,胎児機能不全と診断,緊急帝王切開術を施行した.児は2,340 g,Apgar score1点(1分値),5点(5分値),臍帯動脈血pH 7.254で出生した.日齢1.5に肝血管腫に対してコイル塞栓術を行ったが原病のコントロールがつかず,グラム陽性球菌による敗血症で日齢70に永眠した.UVFV/CCOの減少が巨大肝血管腫による胎児胎盤循環の悪化を反映すると思われた.

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