目的:子宮内膜ポリープと粘膜下筋腫は子宮内腫瘤として頻度が高い.一方,strain elastographyは組織の硬度を定性的に判定する画像検査である.子宮内膜ポリープと粘膜下筋腫は組織硬度が異なるため,strain elastographyは有用な検査となりうる.対象と方法:2016年から2019年に当院で子宮内腫瘤に対し子宮鏡下経頸管的腫瘍切除術(TCR)を施行した例を対象とした.手術施行前日に経腟的にstrain elastographyを施行した.超音波専門医と産婦人科医がそれぞれ独立して子宮内膜ポリープか粘膜下筋腫であるかを判定した.以上の結果からB modeとstrain elastographyの検査精度,ならびにstrain elastographyの検者間誤差と,産婦人科医の判定による病理診断との正診率を検討した.結果と考察:病理診断上,子宮内膜ポリープは17例,子宮筋腫は5例,子宮内膜ポリープと子宮筋腫を合併した例は1例であった.B modeとstrain elastographyの検査精度に有意差を認めなかった.検者間のKappa係数は0.61であった.病理診断との正診率は95%であった.Strain elastographyによる両者の鑑別は可能であった.結論:Strain elastographyは産婦人科医が子宮内腫瘤を鑑別するのに有用な検査である可能性がある.
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