超音波医学
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特集「Ultrasound diagnosis of breast non-mass abnormalities Including diagnosis with other modalities」
  • 植松 孝悦
    2026 年53 巻3 号 p. 143-148
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/15
    [早期公開] 公開日: 2026/01/29
    ジャーナル 認証あり

    乳房超音波(ultrasound:US)画像上の非腫瘤性病変の用語は,臨床的管理を明確に規定して乳房US画像を解釈する医師および超音波検査技師を支援する目的で日常診療に用いる.乳房画像研究の分野では,乳房USで同定された非腫瘤性病変を表す一貫した標準化用語が必要であり,これは特に良性病変と悪性病変を鑑別する際に重要である.医師および超音波検査技師は用語の有用性と限界を認識し,適正に用語を使用すべきである.次版のBreast Imaging Reporting and Data System(BI-RADS)の用語集には乳房USで検出された非腫瘤性病変を表す標準化用語が収録されることを期待している.

  • 渡辺 隆紀
    2026 年53 巻3 号 p. 149-152
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/15
    [早期公開] 公開日: 2026/01/19
    ジャーナル 認証あり

    非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ:DCIS)の超音波画像は,腫瘤から非腫瘤性病変に至るまで大幅なバリエーションが認められる.本稿では,日本乳腺甲状腺超音波医学会(The Japanese Association of Breast and Thyroid Sonology:JABTS)が実施したBC-02研究に基づくDCISの超音波画像の特徴について述べる.BC-02研究では,705例のDCIS症例の超音波画像を画像所見によって分類した.その結果,全病変の60%が非腫瘤性病変,40%が腫瘤であった.各亜分類を見ると,乳腺内の低エコー域が最も多く(全体の50%),次いで充実性腫瘤(31%),混合性腫瘤(9%),乳管の異常(8%)の順であった.これら4つの分類が全体の98%を占めていた.低エコー域を伴わない点状高エコー,構築の乱れおよび小嚢胞集簇は非常に稀であり,全体の約1%であった.DCISの超音波画像は,腫瘤から非腫瘤性病変に至るまで大幅なバリエーションを呈し,乳腺内の低エコー域が最も多く,次いで充実性腫瘤が多かった.

  • 何森 亜由美, 國分 優美
    2026 年53 巻3 号 p. 153-163
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/15
    [早期公開] 公開日: 2026/03/05
    ジャーナル 認証あり

    磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging:MRI)で新たに検出される病変は,初回超音波検査ではカテゴリー2または3の病変である場合が多い.セカンドルック超音波(second-look ultrasonography:US)においては,微量の分泌物貯留を伴う乳管拡張病変,単一の短い乳管拡張病変,5 mm未満の嚢胞様病変,8 mm未満の乳腺症様病変,および非常に不明瞭な病変も対象病変となり,変形している乳房でこれらを同定することは通常よりも困難になると考えられる.現在,MRI検出病変のセカンドルックUSの適応に関する明確な統一基準は存在しないため,正確な比較は不可能であるが,最近の研究によれば腫瘤と非腫瘤性病変のMRI検出病変の比は7:3であり,悪性病変の比率はそれぞれ約30%であると報告されている.2012年頃までは,US同定率は約70%であり,US非同定病変にMRIガイド下生検を行うとわずかに悪性病変が認められた.したがって,USで同定されなかった病変はフォローアップするべきという見解もあれば,MRIガイド下生検を実施すべきという見解もある.しかし最近,セカンドルックUSのランドマークに周囲の解剖学的構造を使用することで,同定率は87~99%まで上昇しており,これらの悪性病変の割合はMRIガイド下生検の報告と同様である.さらに,ハイリスク乳癌に対する最近のサーベイランスではMRI検出病変のUSによる経過観察も推奨されている.本レビューでは,MRI検出病変に関する文献について考察し,周囲の解剖学的構造をランドマークとしたMRIセカンドルックUSの観察法について述べる.

  • 久保田 一徳, 森 美央, 藤岡 友之, 渡邊 馨, 伊藤 悠子
    2026 年53 巻3 号 p. 165-170
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/15
    [早期公開] 公開日: 2026/03/13
    ジャーナル 認証あり

    Breast Imaging Reporting and Data System magnetic resonance imaging(BI-RADS-MRI)では,病変を腫瘤,非腫瘤性病変(non-mass enhancement:NME)またはfocusに分類している.BI-RADSの超音波用語集にはこれまでは,非腫瘤のコンセプトはなかった.また,MRIにおけるNMEのコンセプトを理解することは重要である.そのため,本研究では乳房MRIによるNME診断のナラティブレビューを行うことを目的とした.用語集の用語(レキシコン)は,NMEにおける分布(限局性,線状,区域性,領域性,多領域性およびびまん性)および内部増強パターン(均一,不均一,clumped patternおよびclustered ring enhancement)で規定されている.これらのうち,線状,区域性,clumped pattern,clustered ring enhancementおよび不均一が悪性を示唆する用語である.悪性頻度の報告を対象としてハンドサーチを実施したところ,NMEの悪性頻度の範囲は広く25~83.6%であり,各所見の頻度には変動がある.近年は,拡散強調画像や超高速造影ダイナミックMRIなどの最新の方法によるNMEの鑑別が試みられている.また,術前の広がり診断においては画像所見や浸潤の有無に基づいて病変進展を判定する試みがある.

  • 榊原 淳太, 長嶋 健, 藤本 浩司, 高田 護, 大塚 将之
    2026 年53 巻3 号 p. 171-177
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/15
    [早期公開] 公開日: 2026/03/13
    ジャーナル 認証あり

    超音波フュージョンシステムは,超音波画像診断装置に装備された磁場式位置ナビゲーション機能である.磁場発生装置から発出される空間的位置情報をプローブに装着した位置センサーが感知し,US画像とMR/CT画像がリアルタイムで同期し,モニターに並列表示される.本システムを用いることで,従来のUS検査では観察が困難な非腫瘤性病変などの同定が可能となる.また,US検査では部位の同定が困難でMRIガイド下生検の適用となるMRI偶発病変に対しても,部位の同定が可能となることから,MRIガイド下生検を回避しUSガイド下で組織生検を実施することができる.非腫瘤性病変だけでなく,従来のUS検査では同定が困難な微小病変も検出可能であるため,より精密な術前画像診断が可能となり,再現性が高い検査および安全な外科的手技を行える.本稿では,乳癌診療における超音波フュージョンシステムの臨床応用について概説する.

  • 山口 倫, 渡邊 秀隆, 三原 勇太郎, 山口 美樹, 田中 眞紀
    2026 年53 巻3 号 p. 179-184
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/15
    [早期公開] 公開日: 2026/03/19
    ジャーナル 認証あり

    超音波検査(ultrasound: US)での非腫瘤性(non-mass-like: NML)病変の研究は,Uematsuがこのアプローチを最初に報告して以来いくつか発表されており,乳房検査に関する比較的新しいコンセプトである.しかし,結果にはばらつきがあり,USでのNML病変の詳細な病理組織学的特徴に関する研究は少数にすぎない.本稿では,NML病変の病理組織学的特徴についてレビューする.NML病変は病理学的に良性,異型病変または悪性である.USにおける主要所見は,構築の乱れおよび石灰化である.構築の乱れとは,病理学的には乳管内増殖を伴う線維性変化,浸潤性乳癌および上皮内癌を表す.病理組織検査では,良性病変と悪性病変の両方に微小石灰化が認められ,NML病変(特に良性病変の場合は腺症および過形成を含む線維嚢胞性変化,悪性病変の場合は上皮内癌[乳管および小葉])の中でこれらの病変を鑑別することが重要である.鑑別の重要なポイントはNML病変に多くの点状高エコーが認められるか否かであり,これは組織学的には面疱壊死を表す.これらは通常はHER2陽性またはトリプルネガティブの高異型度上皮内癌である.最近の報告によれば,低異型度上皮内癌は高異型度上皮内癌より生存期間が長い.高異型度上皮内癌は面疱壊死の組織学的所見を伴う場合が多く,これはUSで認められる微小石灰化を反映している.NML病変にはある程度の比率で低異型度上皮内癌が含まれると考えられる.したがって,最近の「低リスク乳管上皮内癌」のコンセプトの結果として過剰診断および過剰治療を避けるために,NML病変の検出および管理の際は特に注意が必要である.

症例報告
  • 牧尾 悟, 月原 悟, 鬼塚 哲, 南 星旭, 髙石 清美, 申神 正子, 金森 康展
    2026 年53 巻3 号 p. 185-191
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/15
    [早期公開] 公開日: 2026/03/25
    ジャーナル 認証あり

    遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer:HBOC)の管理では,一次予防としてリスク低減卵管卵巣摘出術(risk-reducing salpingo-oophorectomy:RRSO)が診療ガイドラインで推奨されている.一方,RRSOを施行しない/延期する症例に対するサーベイランスとしての経腟超音波検査(transvaginal ultrasonography:TVUS)は,死亡率低下を示す明確なエビデンスに乏しく,診療ガイドライン上は「考慮」にとどまる.しかしTVUSは低侵襲かつ即時性に優れ,壁在結節・充実成分・血流などの形態学的情報を早期に提示し得る.本症例ではHBOC乳癌患者の術前化学療法施行中,遺伝カウンセリング後に実施したTVUSで右付属器腫瘤を検出し,迅速な精査・外科的介入につながった.病理組織は卵巣明細胞癌で,術中少量漏出を伴うFIGO IC1と診断した.その後,乳癌治療を再開し最終的に残存浸潤癌は認めなかった.本症例は,RRSO非施行例における一律のスクリーニングとしてのTVUSを推奨するものではない.遺伝学的診断を契機として婦人科へ紹介された症例において,個々の臨床状況に応じてTVUSを併施することで,早期診断や専門医療への円滑な橋渡しに寄与する可能性がある.

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