日本線虫学会誌
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33 巻, 1 号
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  • 山田 英一, 橋爪 健, 高橋 穣
    2003 年 33 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2003/06/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ダイズシストセンチュウの密度低減効果を有するマメ科作物を探索し、これらの内、圃場の春播き栽培において、クリムソンクローバ、ウーリーポッドベッチおよび抵抗性ダイズ「スズヒメ」栽培後の線虫密度は当初の乾土1g当り約120卵から5卵程度に低下し、後作の感受性ダイズ「スズマル」の収量は回復した。アカクローバの密度低減効果は上記3作物と同等であったが、後作ダイズの収量はやや低かった。なお、上記のマメ科4作物はともにキタネグサレセンチュウの密度を高めた。
  • 山田 英一, 高倉 重義
    2003 年 33 巻 1 号 p. 14-22
    発行日: 2003/06/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1980年9月16日、北海道根室支庁、標津町古多糠のジャガイモ栽培圃場からジャガイモシストセンチュウと異なるGlobodera属線虫が検出された。この線虫はシストが卵形に近く、グラネク値は1.7と小さく、2期幼虫の口針長は24μmと長いうえ、節球が錨状を呈するなどの特徴を有する。この線虫について従来の調査結果に加え、保存標本についても形態を再調査した結果、長崎県で発見されたヨモギシストセンチュウG. hypolysiに最も近似していた。また、オオヨモギArtemisia montanaには寄生するが、ジャガイモ、タバコ、セイヨウノコギリソウには寄生しないなど寄主植物にも共通性が認められた。以上のことから、本線虫をGlobodera hypolysiと同定した。本種は同町のジャガイモ栽培4圃場、網走市の澱粉工場沈殿池(1978年)およびジャガイモ栽培の1圃場(1979年)からも検出されている。
  • Wasim Ahmad, 荒城 雅昭
    2003 年 33 巻 1 号 p. 23-40
    発行日: 2003/06/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本邦各地で採集した土壌試料から, Qudsianematidae科に属する未記載の線虫4種および2種の本邦未記録種が検出されたので記載を行った。新種Eudorylaimus intermediusは, 体長が0.76-0.84mm, 口唇部が胴部からはっきりと区別され, 双器が大きく, 歯針長10-11μm, 陰門は体の中央からやや後よりに体を横断するように開口し, 陰門環 (pars refrlingens vaginae) は強く骨化すること, 尾部が腹側に曲ること, 雄では, 前腹部補助器 (ventromedian supplement) が3~4個である。新種E. niaesiは, 体長が1.85-236mmで細長い体を持ち, 口唇部が胴部からわずかに区別され, 双器は小さくあぶみ型, 歯針は長さ19-20μmで, 食道腺背側の核が著しく大きく, 陰門の開口は横断型で, 膣は球形, 陰門環はよく骨化すること, 前後の生殖巣の発達がともに悪く小型であること, 尾部が円錐状で腹側に曲ることが特徴である。新種E. hyotoensidは, 体長が1.90-1.96mmと細長い線虫で, 唇乳頭が突出して口唇部が胴部から顕著に区別され・双器は大型, 歯針は長さ22.5-23.5μm, 陰門は横断型で開口し, 陰門環は小型で, 前後の生殖巣は発達がよく, 円錐状の尾部は腹側にカーブする。新種Paramnchium japonicumは, 体長が0.66-0.80mmの線虫としてはずんぐりした体形で, 口唇部は丸く顕著で, 双器は大きく, 非対称な歯針は長さ20-21μmで, 先端の開口は短い。食道腸間弁には大きな3つの腺細胞が付属し, 陰門は体の中央から後よりに体を横断するように開口, 陰門環は強く骨化し, 卵巣は両卵巣型, 尾部は短く円錐状, ほとんど曲らない。Ecumenicus monohysteraMylodiscus nanusもわが国で初めて見出されたので計測値を報告した。
  • 虫体解剖による直接的観察
    真宮 靖治
    2003 年 33 巻 1 号 p. 41-43
    発行日: 2003/06/28
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    マツノザイセンチュウ (Bursaphelencs xylopmus) 分散型4期幼虫はマツノマダラカミキリ (Monochamus alternatus) 羽化成虫の気管内に保持されてマツ枯死木から健全なマッへの移動を果たす。マツノマダラカミキリ成虫が健全なマツ枝を後食するとき、虫体を離れてマツ枝へと移り、枝組織内に侵入する。マツノマダラカミキリ成虫気管内に気門から潜入したマッノザイセンチュウ分散型4期幼虫は、そのほとんどすべてが頭部を虫体内部に向けている。これらが虫体から離脱するに当たって、気管内で方向転換することが、気管内における線虫頭部の向きの変化で指摘されてきた。本報では、このような方向転換がどのようにして起こるのかについて、虫体の解剖による直接的観察によって明らかにした。すなわち、分散型4期幼虫は気管内で旋回することにより方向転換して、頭部から虫体外へと出て行く。
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