ジャガイモシストセンチュウ2期幼虫の感覚応答と口針伸出筋活性、およびセンチュウ侵入時の植物側で発生する電気信号の研究に電気生理学的手法が用いられた。
2期幼虫の感覚応答において、アセチルコリンの濃度依存性を調べ、応答時間の遅延効果を計測した。ジャガイモ根浸出物 (PRD) を用いて2期幼虫を刺激すると、スパイク信号の有意な活性増加を引き起こした。一方、非寄主植物根浸出物あるいは雌の性フェロモンでは、この反応は起きなかった。2期幼虫を、双器特異的抗体やDiTera (生物的殺センチュウ剤) 中で培養した後は、PRDへの応答が阻害された。
種々の濃度のセロトニンへの応答において、口針伸出筋活性のEPG (咽頭電図) を解析し、ビデオ解析を用いた口針の運動と関連づけられた。セロトニンに拮抗化合物gramineを混合すると、口針の伸出運動がほぼ完全に阻害され、Diteraで2期幼虫を前もって処理すると、続く口針の活性が有意に低下した。
感受性及び非感受性のジャガイモ品種に2期幼虫を接種すると、根からの電気的活性の異なる信号図形が記録された。さらに、より価値のある応答信号が、抵抗性品種よりも感受性品種の根から得られた。機械的及び細菌の細胞外酵素の刺激への応答は、感受性品種の根から記録された応答信号とは異なり、その原因を説明できなかった。
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