小麦フスマの施用、一時的な湛水化およびマルチを組み合わせた土壌消毒法(土壌還元消毒、RSD)の作用機構を明らかにした。室内試験において、RSDにより土壌の酸化還元電位は-200mV以下に低下し、土壌溶液中に9.8 から10.8 mMの酢酸およびn-酪酸が48時間で検出された。この10mMの揮発性脂肪酸(VFAs)にサツマイモネコブセンチュウ
Meloidogyne incognitaを24時間接触させた結果、高い殺線虫活性が認められた。酢酸およびn-酪酸の殺線虫活性の程度はほぼ同じで、両者の混合溶液には相加効果が認められた。また、pHが低いほどVFAsの殺線虫活性は高くなったことから、殺線虫活性とVFAsのイオン化との関連性が示唆された。イオン化していない酢酸のLC
50は5.6 ± 0.2 (SEM)mMと推定された。野外試験において5.7 mMの酢酸と1.5mMのn-酪酸が検出されたが、土壌pHは殺線虫効果が発揮される値よりも高かった。還元条件下で土壌微生物によって生成されたVFAsが、RSDの殺線虫効果における一要因と考えられる。
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