日本線虫学会誌
Online ISSN : 1882-3408
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40 巻, 2 号
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本報 (英文)
  • 吉田 睦浩
    2010 年 40 巻 2 号 p. 27-40
    発行日: 2010/12/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    生物防除に供しうる土着のSteinernema属昆虫病原性線虫を選定するために、ヤガ類幼虫に対する病原性を調査した。最初に、土着種10種17アイソレートの病原性をニセタマナヤガ中齢幼虫を使って比較した結果、S. feltiaeS. litoraleが選定された。次いで、前者2、後者8アイソレートの病原性をカブラヤガ中齢幼虫を使って比較した結果、えりもアイソレートと北茨城アイソレートがそれぞれ選定された。両種とも25℃以下で高い病原性を示したが、30℃では低下した。そこでS. abbasi西表島アイソレートを加えて、3アイソレートのカブラヤガ・ハスモンヨトウ老齢幼虫に対する病原性を導入種S. carpocapsae Allと比較した。S. litorale北茨城は7~25℃で両ヤガ類に対し高い病原性を示し、S. carpocapsae Allと比較して7・10・15℃でカブラヤガ、7・10℃でハスモンヨトウに対し有意に高い病原性を示した。S. abbasi西表島はS. carpocapsae Allと比較して30・35℃でカブラヤガ、35℃でハスモンヨトウに対し有意に高い病原性を示した。
  • 後藤 圭太, 佐藤 恵利華, 李 方剛, 豊田 剛己, 杉戸 智子
    2010 年 40 巻 2 号 p. 41-45
    発行日: 2010/12/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    土壌締固めとリアルタイムPCRからなる定量方法を、土壌中のジャガイモシストセンチュウ(PCN)の定量に適用した。また、線虫細胞の破壊と均一な土壌サンプルの入手の効率について、2つの前処理法(ボールミルと土壌締固め)を比較した。3種類の黒ボク土を用いてこれらの実験を行った。いずれの土壌、いずれの前処理方法でも、土壌20 g当たり5頭のPCNの2期幼虫(J2)を検出でき、Ct値とJ2の添加数との間には、r2 > 0.8697の有意な相関が認められた。Ct値と土壌中のJ2密度との関係を示す検量線は、2つの土壌では2つの前処理間でほぼ同じであったが、1つの土壌ではCt値がボールミル法で絶えず1、2回低い値を示したことから、DNA抽出効率はボールミル法の方が良好であると推察された。ボールミル法で得られた検量線は3土壌でほぼ同一であったが、締固め法では異なっていたことから、ボールミル法の方が線虫の直接定量には相応しいと考えられた。
  • 田中 龍聖, 奥村 悦子, 吉賀 豊司
    2010 年 40 巻 2 号 p. 47-52
    発行日: 2010/12/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    Caenorhabditis japonica Kiontke, Hironaka and Sudhausはベニツチカメムシに随伴する細菌食性線虫である。休止状態のC. japonica耐久型幼虫は主にカメムシ雌成虫体表面から一年を通じて検出されることから、カメムシ上で長期生存することが考えられるが実際の生存期間は明らかでない。形態的特徴をみるためクライオ走査電子顕微鏡観察をおこなったところ、カメムシ上の線虫は緩やかな脱水状態であったが、無水生存性を有するイネシンガレセンチュウのような側帯の収縮はみられなかった。野外から採取したカメムシを実験室内でいくつかの湿度条件下におき、3か月間保持後に解剖し、カメムシ上の耐久型幼虫の生存を調べた。その結果、湿度100%においてはカメムシ上にほとんど線虫は残っておらず、湿度97%では1頭のカメムシあたり19頭の線虫が検出され、その生存率は33%であった。一方、木製の箱で維持したカメムシではカメムシの生存率は100%となり、1頭のカメムシあたり67頭の線虫が検出され、その生存率は55%であった。以上の結果より、C. japonica耐久型幼虫はベニツチカメムシ上で緩やかに乾燥した休止状態になり、数か月間生存可能であることが明らかになった。
短報(英文)
日本線虫学会18回大会講演要旨(特別講演・一般講演)
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